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chapter11 そして旅行へ


夏休みの楽しみの旅行と言う名のキャンプに合わせて必死にバイクを買ったモッコリ。

でもモッコリ1号機が星になった今、モッコリはどうやってキャンプへ行くつもりなんだろうか…。

楽器屋の帰りにとりあえずモッコリ1号機を確認する事にした。

ひょっとしたら望みあるかも。
明日乗ってキャンプ行けるかも。
今晩何とか直せば明日乗れるかも。

多分、きっとそう思ってたはず。
俺、そう思ってたもん。


モッコリ1号機は見るも無残な塊になってた。


お前偉いよな…。
本当は泣きたかったはず。
俺ならきっとキーボードにブチ切れるもん。
しかも支払いはバイトで分割ってさ、
そりゃ無いよな。

日本記録叩き出す代金としては、ちょっと余りにも高すぎだよな。

人が良いんだなぁ…。
って言うか、人良すぎじゃないか?…

このモッコリの仏の様な人の良さは、今後の彼の人生に於いてかなり大きなキーワードになって来る事をまだ2人は知る由も無かった。

『ちょっと寄って欲しい所があるんだけど』

モッコリ1号機を残しての帰り道、バイクの後ろからモッコリが声をかけてきた。

「ん?どこ?別に良いけどさ。」

『スミっ家に。』

スミって言うのは、モッコリの親戚で俺も知ってる近所の人で。
1こ上で、女子高生。
森三中の真ん中の人にそっくり♪
でも顔はやはり見栄晴に似てる。
どんだけ親族見栄晴なんだ?
ま、良いか♪


しばらく走ってスミちゃん家に着いた。
モッコリがスミちゃん家に消えて行く。

ちょっと離れた場所でタバコ吸いながらモッコリを待った。


10分。20分。どのくらい待ったかなぁ。
戻って来ないモッコリ。

いい加減待ちくたびれた時にモッコリが戻って来た。
満面の笑顔でバイクを押しながら。


『借りてやった』


借りてやったって何だよ(笑)


『明日行けるぜー♪えへへ』



無理矢理拝み倒して借りたんだろうな。
時間かかったもんね。良かったね♪

暗かった路地裏から表道の街灯の下に。

「これ、借りて来たん?」

『そ♪まぁ良いさ♪』


俺は別にいいんだけどね。
凄く時間かかったしね。
キャンプ楽しみにしてたもんね。
行きたいもんね。
1号機も星になっちゃったしね。


でも、モッコリ。
一言だけ言っても良いかなぁ…。 

モッコリ。このバイクさ、








タイヤが3つあるんだけど…


この当時でも珍しかったバイク。
カゴ付きなのは言うまでもない。
あまりに素敵過ぎて笑う訳にもいかず…。
1人になった帰り道でしこたま笑った。

よっぽど行きたかったんだなぁ。

『じゃ!サンキューね!』

「また明日!遅れんなよ!」

弾んだ声で帰路に着くモッコリ。
あんた立ち直り早くね?(苦笑)
俺も朝遅れない様に頑張りますわ♪


こうしてモッコリはタイヤが3つあるバイクで
キャンプへ行く事になりました。

以後、またまた登場するこのタイヤが3つあるバイク。

モッコリ2号機と呼ぶ事にします。



さぁ、楽しいキャンプの始まり始まり♪


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