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Ⅱ-#2 部分最適化する学校

部分最適化する学校

  学校にかぎらず、組織に余裕がなくなってくると進行してくるのが、組織の「部分最適化」です。部分最適化とは、組織成員が個々の役割に目を向ける結果、組織全体としての最適解を模索するはたらきが失われる現象のことです。

イメージを使って説明しましょう。

学校組織の部分最適化

左側の状態が正常状態の学校組織の状態です。大きな円が学校全体の仕事、ABCの各教員の仕事分担です。

通常の状態では、教員が協力し合いながら学校全体の仕事を大体手カバーしています。もちろん学校のように生身の人間、特に子どものように行動を型にはめることがむずかしい対象を扱う組織ではすべて計画通りというわけにはいきません。

日常的に複数の目で子どもを見守りながら、教員それぞれが全体の動きを把握し、お互いに一部仕事を重ねながらも協力して職務を遂行していくことが求められます。

ところが今日の多くの学校のように業務が肥大化してくると、一人一人の教員は、仕事が手一杯になってきます。すると真面目な人ほど他の教員には迷惑をかけないよう、自分の分掌業務の範囲を明確化してそれだけはきちんとこなそうとする志向性が働きます。

すると図の右側のように結果として多くの教員は学校全体に目配りをする余裕がなくなり、自分の職務を定義してその内側だけで仕事をするようになってきます。このようになってしまうと多くの教員は「組織を運営するのは管理職の仕事」と見なすようになって、教員間の調整や相互協力も働きにくくなっていきます。

これが「組織の部分最適化」です。

今日のように、学校全体として対応か求められる課題は増加しているのに組織が部分最適化してしまうと、何か始めようとしても身動きがとれなくなってきます。

このように、部分最適化しつつある学校でも、教職員間で課題を俯瞰し、学校組織全体として諸課題に対応するために開発したのが「課題対応マップ」です。