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【手帳と暮らしてきた#4】青春と愛着を思い起こさせる、クオバディスの手帳

本連載では、主宰のおおやまが実際に自分や家族のために使ってきた手帳と、当時の使い方を振り返ります。

今回の手帳…クオバディス エグゼクティブノート

今回紹介する手帳は、クオバディスの「エグゼクティブノート」です。

クオバディス社は、1952年にフランス・マルセイユで誕生したダイアリーのメーカーです。
同年にバーチカル手帳の元祖である「アジェンダプランニングダイアリー」を考案、以後人々の暮らしに応じたさまざまなフォーマットを販売。
現在も研ぎ澄まされたデザインと高い品質を誇っています。

1957年に発売された「エグゼクティブ」の姉妹品が、「エグゼクティブノート」です。
真っ白な用紙にセリフ体(ゴシック体)のエグゼクティブとは対照的なデザインで、主に女性が好みそうなしなやかさ、美しさを備えています。

使い始めたきっかけ

この手帳を知ったきっかけは、雑誌「日経WOMAN」の2012年の手帳特集でした。
料理家の青山有紀さんが愛用している手帳(当時)として紹介されており、一目ぼれしたのです。

まず何より、本文のフォントが洗練されていて美しい。
明朝体に似た「サンセリフ体」を基調にしたフォント使いは海外製ならでは。クオバディスの美学を感じさせます。

フォーマットは週間バーチカル式。
バーチカルの時間軸はビジネス用途に重きを置いているためか、土日は平日の半分です。
その代わり、2010年代の日本製の手帳ではあまり見かけなかった横罫のメモ欄が幅広く設けられています。

加えて特徴的なのが、紙質です。
クリームがかった厚みのある本文用紙は、手ざわりがなめらかで裏うつり・裏抜けなく使うことができます。
実際に使っていて、裏抜けしたのは浸透性のスタンプくらいでした。

また、サイズは国内・海外メーカーを見渡してもまれな16cm×16cm(本体のリフィル)。見事な正方形です。
カバーは凹凸のある合皮製の「クラブ」が主流となっています。

唯一無二の存在感と、当時国内メーカーの手帳にはなかったあか抜けたデザインに魅了され、2年連続で使いました。

実際の使い方

当時の中身とともに、使い方を振り返ります。
プライベートな内容が多いため、ぼかしが入っています。ご容赦ください。

○マンスリー

マンスリーは1Pにつきひと月のタイプです。
一日のマスが狭いため窮屈さを感じましたが、簡潔に予定を書き、ミニシールで飾りつけて楽しんでいました。

○ウィークリー

使っていた当時は完全内勤のDTPオペレーターを勤めていました。
仕事関連の予定がないため、その週のシフトを左上にスタンプ付きで記入。
バーチカルの使い方はかなりざっくりしており、当日の予定、朝昼晩の食事、出かけた記録が主でした。

右ページの横罫メモ欄には、一日2行の日記を書いていました。
当時はuniのスタイルフィットを筆記具として愛用しており、以下のように色分けしていました。

・ブラウンブラック…通常の書き込み
・ピンク…嬉しかったこと、現在の夫との出来事
・オレンジ…頑張ったこと
・緑…家族や友だちとの出来事
・水色…悲しかったこと、ストレスが溜まった出来事

色分けについてはひとつ失敗がありました。
水色は子どもの頃から好きな色だったのですが、マイナスの出来事を書くときに使っているうちにそのイメージが強くなり、昔より好きではなくなってしまったのです。

また、この手帳が好きだったからこそ続いていましたが、やはりプライベートの予定が多い土日の時間軸が狭く、ネックでした。

○フリーページ

巻末の横罫のメモページには、年末に書いたと思われる一年の振り返りがぎっしりと書き記されていました。
几帳面な字で書いてあり、良くも悪くも今より真面目だったのがうかがえます。

純粋にふれあうよろこびを与えてくれた手帳

ここ10年はさまざまな手帳を試していた時期でした。
そのうち2年連続で使った手帳は、「ジブン手帳Biz」、「torinco11」、そして今回紹介した「エグゼクティブノート」のみです。

当時は今ほど凝った内容を書いておらず、スケジュール、日記、食事の記録と、振り返ると使い方はごく平凡です。

ですが、書くモチベーションを支えてくれたのは間違いなく「この手帳そのものが好き」という、純粋にふれあうよろこびでした。

また、人生においてはちょうど現在の夫と過ごし始めた時期でもあります。
ピンクのインクで書かれた日記は字が弾み、当時なりのストレスも多かったけれど、充実した日々を過ごしていたのが筆致からうかがえました。

フォーマットへのストレスや、ほかの手帳を試したい気持ちが高まり、以後は使わなくなってしまいましたが、いまでも私のなかで最も美しいデザインの手帳であることに変わりはありません。

エグゼクティブノートは、人生における青春と、手帳そのものへの愛着をいつまでも思い出させてくれる大切な2冊なのです。


連載「手帳と暮らしてきた」は月イチ更新です。
今後も筆者の過去の手帳や当時の使い方を1冊ずつ紹介します。

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