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国内株式投資戦略

先週金曜日の日経平均株価は33,533円で引け、今年ザラ場高値を付けた7/3の33,762円に迫ってきた。一方、TOPIXの方は先週末高値が2,438.02と既に年初来高値を更新しており、直前のボトムになった8/17のザラ場安値2,227.62から約1ヵ月で9.4%の値上がりとなっている。
今年に入ってからは如何に大型株が中心に買われてきたかが分かる。中でも半導体を中心とした輸出関連株に加え、長期に渡り高値を取れなかった資源株、そして日本の金融政策変更の思惑による利上観測で(低バリューに沈んでいた)銀行株も買われている。1年ほど前を振り返れば様変わりである。
スタンダード指数も高値圏にはあるがグロースやマザーズは低迷している。
 注意点としては有名企業が株主還元を打ち出す一方で、中堅どころの低バリュー銘柄では今のところ株主還元策は余り見かけないこと。

 9/4のコラムでは当面日経平均で31,000円~33,000円台のレンジで推移しそうだと書いたが、現状その上限水準で推移している。
 
足元、今期の日経平均ベースでのEPS(1株当たり利益)予想は2,080円~2,090円程度であり、PERは16倍になる水準である。昨年までと比べて高めに買われている理由は、もちろん企業業績の伸びへの期待もあるが、どちらかと言えば割安銘柄による株主還元策への期待などではないかと思われる。
つまり、業績面はさておき、日本株への評価が正常化するであろうとの期待感が広がった故に、PBRの改善と言う言葉が大きく影響しているのではないか。

面白いことに9/7には『PBR1倍割れ解消推進ETF(2080)』が上場した。
このETFに採用される銘柄はある意味、経営も株主対策にも消極的な企業とのレッテルが張られる可能性がある。「プライム銘柄」と謳いながら投資価値の低い会社と言われるようでは困るのではないだろうか。
このようなETFが人気となり売買高が増えることで市場が活性化し、将来的に株式市場全体が買われていくのか、またはこのようなETFが出てきたこと自体が相場の転換点になるのか、とても興味深いところだ。この変化についていける企業が何処まで広がるのかと言う辺りがキーになりそうだ。

 今月9月の相場は半期の配当取りの動きも強く出ているように見える。
 以前は8月~9月は夏枯れ相場などとも言われていたが、今年は増配に動く企業が増えていることが影響しているためか、8月中旬にボトムを付けてから相場が活況となっているため何とも見通しが難しい。
このままのトレンドが続くと考えるほど楽観的な材料は思いつかない。金曜日のNY市場は下げており、当面は荒っぽい外資ファンドの動向を上手く利用したいところである。

 <銘柄紹介>

泉州電業(9824)
同社は電線専門商社として電線・ケーブル等の販売及び情報関連機器等の販売を主力事業としている会社である。9/5に発表した第3四半期決算は経常利益が約19%増益と好調であったが材料出尽くしとの評価とともに、大株主であるSWCC(旧昭和電線電纜、昭和電線ホールディングス株式会社)による株式売り出しの発表を受けて急落した。
売り出されるのはSWCCが保有する200万株のうち半分(議決権割合5.64%)であるが、9/11の発表日大引け3,800円から15日の大引け3,385円まで約10.9%の下落となり、9/4の大引け(高値)の4,060円からは約16.6%もの下落となった。

発行済みの100万株(約5%)の売り出しと共に、約27万株の自己株買いを発表しているが、これほど下げた理由としては、まだ政策保有の100万株が残っており、90日間のロックアップ期間中の売り出しが無いとは言え、残りが再び売り出される懸念があると捉えられているからと思われる。

泉州電業は電線を主力として技術商社として多彩な事業領域にチャレンジしている。 
FA機器、通信、電力、そして光ファイバーなど電線の専門商社としてて幅広い品揃えを持ち、電線加工やネットワーク工事、さらにはシステムソリューションなどへと事業領域を広げて来た会社である。
泉州電業の強みは、業界随一の電線商品の流通システムとして非常に高い評価を得ているジャスト・イン・タイム・システムである。
 国内外のメーカーと強いパイプで結ばれており、グローバルな商品調達ネットワーク、及び調達した数10万種以上の商品アイテムを巨大な倉庫に確保し、多種、多様な製品の一つ一つを迅速・確実に、ユーザーが指定する場所にジャスト・イン・タイムで届けるシステムを構築している。

 流通業として特徴のある会社であり、コロナによる落ち込みも少なく業績が順調に拡大していること、且つ増配余力がある辺りを評価しているが、今回の急落が悪材料をどの程度織り込んだのかを見定めつつ買いのタイミングを探したい。

20230919執筆 社長兼助言部長 満平隆志


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