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20240625投資戦略

【これまでの国内株式動向】

日経平均株価は4月30日から既に2ヵ月近く38,000円台の狭い値動きとなっている。
TOPIXも同様に2,700台で推移しているが、これと言った材料が無く、米国市場の動向を受けた値動き程度で主体性が見られない。

3月までは日本企業の変化に期待した外国人の現物買いがあった模様だが(プライム市場&スタンダード市場)、この春の業績予想が余りに保守的であったため、5月の連休後からは失望売りを招いている印象だ。
売られても38,000円前後では割安銘柄への押し目買いが続いている様子だが、グロース指数が低迷しているところをみると、依然としてリスクオンの相場にはなっていない。前回は徐々に売られ過ぎのグロース銘柄にも資金が流れていくのではないかと書いたが、まだ時間が掛かりそうだ。
バリュエーション面からは割安な銘柄が多いのだが、いかんせん企業統治改革や株主還元策に小粒なものが多く、投資家が前向きになれない雰囲気が続いている。

PBR1倍割れETF(2080)を見ても今月初めに一時的に買われたが、3月下旬以降は概ね1,200前後で推移しており割安銘柄のトレンドも出ていない。

【今後の国内株式動向】

この春は6割近くの企業の業績予想発表があったが、相当数の企業が保守的な予想となった。但しこれらの理由としては、①為替相場の不透明感(いつ円高に振れるか分からない)や、②中国経済の低迷リスク、③国内金利の上昇懸念、④資源価格や賃金(労働コスト)の上昇、といったマクロ上のリスクを懸念したものが大半ではないだろうか。
筆者の考えでは、これらの懸念シナリオは既に株価に織り込まれているはずである。更に、米中対立などによる世界的なサプライチェーンの再編が、日本企業の追い風になりつつある現状を踏まえれば、市場の懸念は悲観的過ぎるのではないかと考えている。

ドル円相場についても、想定為替レート平均144円程度(2025年3月通期)の前提と比較して160円なら11%もの円安となっている。最近の「円安が悪い」と言う論調にも疑問を覚える。円高が良いとは言わないが、円安によるコストプッシュインフレに押されて賃金も上がり易くなり、日本経済の問題点が炙り出されて良かったと考えるからだ。

型式に関する国交省の立ち入り検査問題による自動車メーカーの減産も長くは続かない。このような見方から日本の株式市場が大きく下落するリスクは限定的であり、2月~3月に見られた急な上昇が海外ファンドなど短期資金による一時的な現象と見なせば、総会シーズンが過ぎれば、もう少しで日柄整理も終わる可能性が高いと見ている。

今後も自社株買いや増配などの株価対策が増えるであろうし、アクティビストも活発に動いている。海外事業を拡大している日本食レストランチェーンなどは今週から決算発表が増えてくる。
日本企業の業績動向を注意深く見ていきたい。

20240625
 
執筆 社長兼助言部長 満平隆志


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