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日経平均のダウ超えは定着するのか?!

2/26日経平均株価が、8年ぶりにニューヨークダウを追い越した(為替レートを考慮しない単純比較ベース)。日経平均のダウ超えが定着するのか、解説する。


1.日経平均株価高騰の背景

昨年来、図表1の通り、日経平均株価を押し上げた主因は、海外投資家による日本株買いによるものである。その背景は、昨年3月の東京証券取引所によるプライム、スタンダード上場企業に対するPBR改善要求に端を発した日本企業の構造改革への取り組みを、海外投資家が評価し始めたことが大きい。更に、円安が日本企業の経常利益を押し上げていることや、インフレ率の上昇が日本の名目GDPを押し上げ、長期間続いたデフレからの脱却が現実となってきていることが評価されたものと考えられる。

(図表1 日経平均株価推移チャート 右軸:単位 円 Trading View提供のチャート)

2.ニューヨークダウ上昇の背景

図表2の通り、昨年後半以降のニューヨークダウ上昇の背景は、米国の利下げ観測が高まったことを好感し、大型ハイテク株中心に物色が進んだことがベースとなっている。加えて、今年に入ってからは、新NISA開始に伴い日本の個人マネーが米国株中心に海外株式市場に月間1兆円に達するペースで資本投下されていることや、中国市場の低迷により、中国人投資家が米国株式市場に資金を振り向けていることなど、需給面から支えられている側面もある。

(図表2 ニューヨークダウ推移チャート 右軸:単位 ドル Trading View提供のチャート)

3.日米株価の上昇持続性比較

日経平均株価は、34年ぶりに史上最高値を更新したことで、海外投資家中心に買い越し基調が続いており、更なる買い余力は十分にあるといえる。しかしその一方で、日本の個人投資家は昨年来の日経平均株価上昇局面において、一貫して日本株を売り越しており、日本からの投資意欲は海外株式ほど盛り上がっていないのが現状である。また、今年は、日本のマイナス金利解除が視野に入ってきており、日米金利差縮小が、ドル安円高をもたらすとの見方も根強いことから、現在の日経平均株価は行き過ぎとの見方もある。一方、米国株式市場については、夏場以降の利下げ局面入りを見越して、内外投資家からの押し目買い意欲が強いことに加え、エヌビディア株の高騰に見られるようにAI関連のイノベーションへの期待感が根強いことから、ニューヨークダウは、4万ドルを超えて上昇するとの見方が一般的となっている。

4.日経平均株価がニューヨークダウを上回るための条件

日本は、21ヵ月実質賃金マイナスが続いており、今年の春闘での賃上げを経て、実質賃金がプラス転換して行かなければ、足元のマイナス成長から脱却することは難しい。堅調な内需がGDPを押し上げる好循環が発生し、日本の投資家が日本株への投資を増やすトレンドに入ってこそ、現在の堅調な日経平均株価の持続性が担保される。従って、日経平均株価がニューヨークダウを恒常的に上回るには、ファンダメンタルズにおいても、需給面においても、なお一層の改善が必要な状況と言える。

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20240228執筆 チーフストラテジスト 林 哲久


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