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ニューヨークダウ4月上昇アノマリーと日経平均株価の今後!

ニューヨークダウは、毎年4月に上昇しやすいというアノマリー(理論では説明できないが、経験則上継続的に反復される市場現象)が存在する。上昇の背景に米国の確定申告の期限が絡んでいるという説がある。その背景と今後の日経平均株価動向を解説する。


1.米国の確定申告の期限と米国民の投資行動

米国の確定申告期限は、毎年4月15日である。確定申告を電子申請する場合、1ヵ月以内に税還付が行われるため、3月中に納税を完了できれば、4月中に税還付を受けられるのが通例である。また、米国民の投資行動において、日本の様に税還付金を現預金においておくことは稀であり、家計の金融資産の過半を株式や投資信託で運用するケースが一般的である。そのため、受け取った税還付金の多くを株式投資に回すため、4月は株価が上昇しやすいという見方が有力となっている。

2.4月上昇のアノマリーの実態と日経平均株価への影響

図表1で一部を示した通り、過去20年のニューヨークダウの月足チャートを見ると、4月は8割以上の確率で陽線となっており、陰線の場合も、月央にかけて一旦上昇をみせるケースが多い。米国民としては、納税が完了し心理的余裕が生まれることで、株式投資に関心を向ける国民が増えるとの観測もある。
このようにニューヨークダウが4月に上昇すると、リスク許容度の増した海外投資家が日本株式市場への物色を強める傾向も確認されており、日経平均株価が3月からの上昇トレンドを引き継いで4月もつれ高となるケースが多く観測できる。

(図表1 ニューヨークダウ長期チャート 右軸:単位 ドル Trading View提供のチャートを基に筆者作成)

3.今後の日経平均株価予測

年初からの海外投資家による積極的な日本株買いにより、日経平均株価は、図表2の通り一本調子に上昇し、1989年末の史上最高値38,915円を上抜け、今月に入り一時40,000円の大台に乗せる場面もあった。その後は、来週の日本銀行の金融政策決定会合でのマイナス金利解除の思惑から一時38,000円台前半まで下押す局面もあったが、安値では値ごろ感からの押し目買い意欲も強く、38,000円台でのもみ合い相場となっている。
この1、2年コロナ禍以降の世界的なインフレ高騰も鎮静化の傾向が顕著となっており、欧米諸国では、6月以降の利下げ局面入りを見込む向きが多数派を占めるまでに至っている。こうした金融緩和観測は、日経平均を含む世界の株式市場にとっては追い風であり、堅調な増益見通しと相まって、日経平均株価は、4月以降、40,000円を超えて高値更新を続ける公算が大きいと考えられる。

(図表2 日経平均株価チャート 右軸:単位 円 Trading View提供のチャート)

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2024年3月15日執筆 チーフストラテジスト 林 哲久


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