ドイツ@Sars-CoV-2 コロナウィルスアップデート(74)  2021/2/2(和訳)

ベルリンシャリテ ウィルス学教授、クリスティアン・ドロステン
聞き手 コリーナ・ヘニッヒ

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昨日のワクチン首脳会議でも明らかになったように、今年の第一四半期のワクチン計画は困難を極めるであろう、と思われます。それでも、ワクチンの入手可能な数については様々な情報がでていますので取り上げていきますが、勿論、ワクチンがパンデミックを克服するにおいてどれだけの役割を果たすことができるのか、という点にも注目したいと思います。そして、ワクチン計画は滞りなく進むのか、というところです。
疫学的にみた子供の問題は何なのか。子供には予防接種は必要ないのか。今日は集団免疫についてももう一度考えてみようと思います。インフルエンザは基本的に状況が異なります。そして、変異も忘れてはいけません。ブラジルをもう少しよくみてみる価値はあります。これらのテーマについて今日も、ベルリンのウィルス学教授、クリスティアン・ドロステン氏にお話いただきます。聞き手はコリーナ・ヘニッヒです。

今日は、まずは日常から始めたく思います。対策が強化され、これからロックダウンから更なるロックダウンへの無限ループにしないためにも、私たちの協力体制がさらに重要となってきていると思うのですが、例えば、先日ここハンブルグでは雪が降りました。ハンブルグで雪が降ることは大変珍しいので、大勢の家族が数少ない斜面を利用してそり遊びに打ち込んでいました。これは、厳格には人と会うことには含まれなく法的には許されている行為だとは思いますが、このように日常のシチュエーションのなかでの危機管理が難しいと思うのです。実際に、今のような寒い時期での屋外でのリスクはどうなのでしょうか。夏にも何度もお話いただいていることですが、屋外では飛沫の粒子は乾燥するのははやく風で飛ばされますが、冬の気温は低いですし、ウィルスが低温を好むことはわかっていることです。そして、現在の発生数は高いので、、、屋外の問題はどうとらえるべきなのでしょうか。

勿論、問題はあると思います。これについては科学的な研究からの経験ではお話できませんが、、文献から得た知識から説明すると、、屋内では屋外に対して19倍の感染伝播が起こる、とあります。一年前のポッドキャストで取り上げた論文は武漢でのものでしたが、あの研究がされた時期も寒い時期でした。この論文の後には、ほとんどこの分野での論文は他には発表されていません。少なくとも私は知るなかにはありません。ですから、これに関する憶測をするのは困難ですが、私は、そこまで気温の影響が激しく出るとは考えていなくて、というよりもここから気温が低い場合には外に出る意味がない、という結論を出せないでしょう。冬でも基本的には夏と同じように飛沫粒子の乾燥ははやく、風も常に吹いていますし、そり遊びの際に隣に誰かが立っていたとしても、これは公共交通機関やイベントでの状況とはまた別なものだと考えます。

ということは、子供同士が会う場合も野外のほうが良い、ということですね。

子供達には出来るだけ普通のことができるようにしてあげなければいけないと思いますし、今のような緊急事態で制約があるなかでは特に的確な自己判断が必要でしょう。

以前、R値が0、9では、半減するのに計算上1ヶ月かかる、というお話だったと思うのですが、R値0、7になると、そこから半減させるのに1週間待てば良い、とのことでした。ロベルト・コッホ研究所によると、現在のR値は継続して1、とのことです。このゆっくりしか減少しない原因には、イギリス型変異種による影響がある、ということも考えられますが、今、どのようなところまでわかってきているのでしょうか? ドイツ国内でもうすでにどのくらい拡がっているのでしょう?

うーん、勿論、私は数値を把握していますが、、、このポッドキャストで数だけを公表することは避けたいのです。というのも、もう少しデータがもっと大きな地理的範囲において集まってくるのを待ったほうが賢明だと思いますし、集められたデータの分析もされなければいけません。RKIが近々出すと思いますし、現在分析されている最中です。この分析作業もRKIの仕事であって、シャリテで働く教授がやることではありません。ですから、今、この場で数値をあげることはできません。強いてあげれるとすれば、、、1桁範囲の%だ、ということでしょうか。そこまでまだ高くはありませんが、変異ウィルスは入ってきています。ここで念を押しますが、はじめに出てくるデータは鵜呑みしないほうが、良いということ。たとえそれがRKIが出してくるデータでも、です。RKIが発表する際にも、その辺りの制限はするでしょう。制限付きのデータと、そして、注目効果、という点での制限です。簡単に考えて、今、検査された誰かのウィルスは特別なものではない、としましょう。現時点での医療的構造では、地域全体での検査は困難です。変異種での感染が認められた場合には、その周りの接触者の追跡も行われます。そして、そこで発見された感染者はみな変異種を持っているわけです。現時点ではこのようなところに集中した検査が行われいる、ということなので、はじめに出てくる数値というものをみて慌てないことです。そうではなくて、はじめに出てくる数値はまずは目安としてとらえるべきであり、これからどのように発展していくか、というところをみていかなければいけません。国によっては、国の規模が小さいためにそれが容易であるところもあります。例えば、デンマーク、ベルギーなどがそうですが、これらの国は、イギリスの外にありながら、コントロール可能なシステムを持って、陽性者の多くをシークエンジングし検査することが、中央管理型のラボシステムで可能なのです。しかし、これは国が小さいから出来ることです。この117型は周りの国でどんどん拡がりつつあるのですから、ドイツだけに拡がらない、というようなことは考えられません。

これからもイギリスの変異種には注目していかなければいけません。あらゆるところで心配の声が聞こえますが、この変異種は、免疫回避はしない、ということでした。つまり、回復後やワクチンでつくられた抗体が効かないことはない、ということですよね。

最新のアップデートをするならば、、まず、その通りです。可能性的に、免疫回避は強く起こらないであろうと思われます。多分、あってもごくわずかです。しかし、これも断言することは今の時点ではできません。その点に関しては決定的となるデータがまだ出ていなく、いまのところは、感染伝播率の増加、という点だけです。同時に言っておかなければいけなことは、巷では、特にSNSで、他の変異、これも117クレードに属する変異ですが、別の場所での変異も加えて起こっている変異種についての議論がされていました。いわゆる、E484K変異型です。これが、免疫エスケープ変異体である可能性が極めて高いのです。つまり、進化が進んでいる、ということで、このウィルスはB117クレード内で少なくとも2回、独自の E484変異を遂げています。これまでの知識から言うと、ここには免疫回避があるでしょう。これらの考察は大変重要であることには変わりはありませんが、ここでもまずは落ち着いてデータを待つことです。事実としては、これらが収束性に同じクレードの中でお互いに関係なく同じ変異が起こっている、ということは、これは実際に淘汰圧がかかっている、という証拠でもあるからです。生物学的にも意味があることです。二つ目には、これも言っておかなければいけないことですが、これは極めて稀な減少で、とても稀なのでまだドイツ国内にはないかもしれません、ということ。概要として言うならば、念を押してもう一度言いますが、現時点における非医薬的介入がどれだけ重要か。全て外から国内に入ってきている、という点をしっかりと自覚するべきです。ですから、入国審査の意味合いも第一波の時、もしくは第一波後とは異なるのです。変異、という視点からももう一度入国状況について検討する必要性があります。

この変異種 E484Kは、ブラジル型と南アフリカ型にもみられるものですよね。

そうです。これらの変異種にもみられます。南アフリカやブラジルでは国民の大多数が免疫を持ってきています。この免疫的な淘汰圧によってこれらの変異体が発生した、と考えるのが自然でしょう。

もう少し後でブラジルについては取り上げたくおもいますが、先ほど、落ち着いて考える必要がある、と仰いましたが、今、予防接種を打ち始めた高齢者、1回目の接種を終えた人たちの間で、自分たちが打ったワクチンに効果がないのではないだろうか、という不安が広がっています。先ほどご説明はいただきましたが、もう一度確認すると、現時点でのワクチンは変異にたいしてどのくらいの価値があるのでしょうか?

現時点でのワクチンといえば、バイオンテック、ファイザーのワクチンです。その後にモデルナ、そしてアストラゼネカがきます。しかし、高齢者を対象とした予防接種はバイオンテックのものですから、このワクチンは大変強い免疫反応を誘導します。ここにあるデータからは、イギリス型117、ここには追加された変異は含みませんが、、、この変異種では免疫回避はみとめられません。そして、免疫は中和抗体だけではなく、T細胞免疫からもつくられます。この484型がどのような影響を与えるのか、という点に関してはまだよくわかりません。しかし、これは今日、明日の問題ではありませんから、ここに危機感を今持たなくても良いでしょう。今の時点で幸いなことにもすでに予防接種をすませた人への効果があるでしょう。昨日、新しい数がメディアで発表されました。ワクチン首脳会議の情報書です。保健省の書類が公に出ました。新聞で読むことができますが、ここに載っている情報によると、メルケル首相が第一四半期の会見で9150万人分のワクチンを確保した、と言っています。2回分、ということです。つまり、9150万人の2回分。莫大な量です。こえでハイリスク患者もまかなえます。

先ほど、ドイツ国内での変異種の割合は1桁の範囲である、とのことでしたが、基本的に野生型、いま循環しているウィルスへの予防接種は引き続き重要ですよね。

それがまず優先順位の上です。しかし、私はワクチンが117への効果もあると思っています。

変異についてもう一つのテーマを少し話しあいたく思いますが、先ほども少し触れたように、変異の感染力が強化されたという点で心配をする保護者の声を聞きますが、子供での感染は不自然に増えてはいませんよね?

そうです。この間の、、今年に入って初めてのポッドキャストだったと思いますが、、この現象について話しています。インペリアルカレッジの論文でも出ているように、117型は子供の間で流行りましたが、新年の回で考えたのは、これがどのように起こったのか?この変異種が子供に感染しやすい、ということを意味するのか、それとも、ロックダウン州で学校だけが開いていたからなのか。新たに分析された統計から、後者が正しかった、ということが明らかになってきています。この変異は特別に子供に感染しやすいわけではなくて、あの時は学校が開いていたために子供に感染が集中したのです。

イギリスの統計データからわかることですよね。

その通りです。これはかなり明らかです。つまり、変異種の感染力は増しましたが、全ての年齢層に同じだけ増している、ということです。

子供については、ドイツ国内で全く別の内容でも話題になりました。小児科医達が、学校を閉鎖することによって生じる弊害、特にそもそも社会経済的な理由によるハンディーキャップを持つ家庭が抱える問題と、根本的に子供が隔離されることによる影響を指摘しています。理論的には、倫理的にも教育の優先順位も尊重されるべきだとは思いますが、実践の面では、学校が閉鎖されている間のサポートがどのくらい充実しているのか。地域によっては学校の再開の検討がされています。ここで、科学的な視点から、学校内での感染を防ぐにはどのような対策が考えられるのか、これから学校を開けていく際でのシナリオに必要な要素を何か。子供については、このポッドキャストで何度も話し合ってきていますがが、子供も感染流行の一部である、というところで意見は一致しています。多くの論文もとりあげてきましたが、とりこぼし率が配慮されていなかったり、発生数が低い際に調査された、などのソースエラーがあったり、という研究が多いのもたしかです。それよりも具体的な内容がオーストリアの研究で出てきました。まだこのポッドキャストでも取り上げていないものです。ここでは、8年生を対象にうがい法で検査がおこなわれています。今の所、2クール目、それぞれの間隔が数週間です。ここからでた結果は他の研究結果よりも現実に近いものだと思われますか?

これはオーストリアで行われた大変重要な研究です。このテーマに関しては、今導入していただいたように、 子供達にとって、大きな負担となっています。そのためにも、学校内での感染状況に関しては注意深く検討していかなければいけません。今、世間の流れは大きく分けて2つある、と思っていて、、、小児科医達が指摘していることは、小児科としての経験からのものでもあり全く正論だと思います。子供達が出来るだけはやく学校に通えるようにすることも大変重要です。この点に関しては何も言うことはありません。正しい主張であり、優先順位も大変高い。この内容に関しては多分別の分野での経験から、例えば、ウィルス学など、私もウィルス学と疫学のデータを持って、事実に近くにはどのようにすればよいのか。これからも2、3週間ごとに新しい情報も追加されてくるでしょう。今、人々の間、そして専門家の間にある2つの流れをみていくと、まずは、論文のなかには、いまだに子供はあまり感染しない。感染した子供の数は少ない、という内容のものがあります。学術的にもここには2つの種類があって、一つは原本の論文、もう一つは、まとめ論文で、これは元の論文をまとめてもう一度分析されているものです。この分析は基本的に秋休みの時点でのものです。まずは、元々の論文でみていきますが、このオリジナルのほうでは、2つカテゴリーに分かれていて、学術的な研究と登録された統計データですが、このデータは、例えば、イギリスの国立統計局のもので、クリスマス前に実行された部分的ロックダウンの際に開かれていた学校内でその地域の大人に比べて子供達の感染が4倍であった、という結果がはっきりとでていて、祭日の間から後にかけて劇的に減っている。これは、子供が大人と同じ感染能力を持っていることの証拠です。この調査は大変良く行われたもので、このようには通常の登録システムだけではなかなかできません。これは、学術的な研究とSurvey、とイギリスでは呼ばれるもののミックスなのです。

基本的な監視のことですよね。

そうです。そして同時に新しい論文がオーストリアから出てきましたが、数週間前にプレプリントとして発表されています。こちらも大変似ていますし、似たような印象を受けます。つまり、学校が開いている状況ではそこで感染が起こる、ということが秋休みの後に明らかになっています。生徒達の感染率はその他の年齢層と同じです。オーストリアでは2回調査されていて、目標は250の学校の調査、ランダムに選ばれた学校から60名ずつ、10%の先生もランダムに選びます。1回目はそのように実行できたのですが、2回目はこれよりもやや対象者数がすくなっています。というのも、その頃には発生数も上がり、R値も十分に下がらなかった為に多くの学校で一部の学年を閉鎖せざる得ない状況になっていたからです。ここに制限は発生しています。しかし、比較に必要な数としては十分です。1回目には245の学校が参加し、全体で1万人以上、11000人の参加者がいました。1回目は9月末から10月22日まで、2回目は、11月10日〜11月16日までです。ここでは3754名の参加者がいましたが、ロックダウンが原因で中断されています。それでも、ここから出た結果は決定的なもので、1回目のPCRの陽性率は0、4%、2回目は1、42%でした。

つまり、1ヶ月以内に3倍になった、ということですね。

そうです。これは、イギリスで観察された現象と大体一致します。学校が開いている状況では、感染もそこで起こる。他の場所が閉鎖されているなか、学校だけを開けておくと、そこでの感染は通常以上に増える。この結果はまずは、中立的に冷静に受け止めるべきでしょう。過去には、少し混乱を招くような意見、学校では感染は起こらないから学校を閉鎖する必要はない、というような方向に向かわせる意見がありました。これに関しては数ヶ月に渡って何度もこの場で話してきましたが、これらの(学校での感染はない、という)論文の欠点は、発生数が少なく、感染者があまりいない時期と場所で調査されたものが多く、その他理由からも正確なデータを割り出すことができなかった、というところであり、このようなことは科学分野ではごくごく普通にあることであって、そのような研究がされた際には、これをどう解釈するべきか討論がされます。しかし、普通ではないのは、科学分野内でも、科学分野以外でも、なんらかの言葉が悪用される、特に政治的に利用されることです。この何度も聞かれた、「学校、子供達はパンデミックの『増進者』ではない」

聡明な教育学者が先日ツイッターで、これは、2020年の悪言葉に選ばれるべきものであったであろう、と発言していました。この言葉によって、議論の柔軟性が失われ、学校と子供達に関する具体的な実践における討論が不可能になってしまった、と。

私はこの言い方が確実に様々な所において問題の深刻さを奪い、解決に向けて速攻に実践重視での行動を抑制したものだと思っています。これによってかなりことが阻止されてしまった。つまり、この言い方、誰かがパンデミックを増進しているとかしていないとか、そのような事のせいで、です。私たちは疫学的な理解をもって、この背景に何があるのか、ということを自覚しなければいけないでしょう。

それが何か、ということでしょうか?関係性からみていくと、パンデミックの増進者というものはそもそも存在するのでしょうか?

存在はします。一部の人は疫学の教科書のインフルエンザの章が頭にあるのではないか、と思うのです。つまり、まず、インフルエンザには流行性インフルエンザ、季節的に大きな流行に繋がるもの、エピデミックなインフルエンザがあり、そして、パンデミックなインフルエンザがありますが、パンデミック型の歳には新しいウィルスが発生して、今私たちのSARSウィルスのように全国民の大人に拡がるものです。ここでの疑問は、これらが本当に同じであるのか、ということです。流行性インフルエンザでの効果は明らかでしょう。流行性インフルエンザは、大人の大部分とある一定以上の年齢の子供にはもうすでにウィルスと接触した経験がありそこそこの免疫を持っていますが、小さな子供にはありません。そのために、小さな子供でのウィルスの増殖が激しい。免疫的に未熟である層をターゲットにウィルスは増えていきます。そこから大人に感染していくのです。このような理由から季節的に流行するインフルエンザにおいては、子供が増進者といえます。そして、学校、いわゆる社会施設も感染を増進させるものである、といえます。多くのパンデミックプランの思考モデルは、インフルエンザを元にして考えられていますが、ここでも流行性インフルエンザとパンデミック型インフルエンザのしっかりとした区別がされていないように思うのです。しかも、パンデミック型インフルエンザを考える際に、特に疫学の分野においてそれがされていない。もしかしたら、免疫学がきちんと考慮されていないかもしれませんが、どちらにしても、時々行間から読めてしまうことは、パンデミック型のインフルエンザであっても、大人と青少年には往来型のインフルエンザによって背景的な免疫が存在する、ということを忘れてしまっているのではないか、ということです。

他のインフルエンザウィルスからの、ですね。

そうです。パンデミック型のインフルエンザの場合、ヘマグルチニン、ウイルスの表面上に存在する抗原性糖タンパク質ですが、そこのかたちが違います。タンパク質が交換され再構成される、つまりインフルエンザ内で新しいゲノムのコンビネーションが生まれるのです。以前、豚でのmixing vesselと、水鳥が病原源ということがありましたが、豚と人間間でもタンパク質の交換は頻繁に行われます。内部のウィルスタンパク質は、同じ遺伝子プール由来のものですから、人間の間で循環しているウィルスと大変よく似ています。このウィルス遺伝子は、ほとんどすべて構造タンパク質ですが、それが全てのウィルス部分にあり、特にエピトープ、免疫認識部分であるT細胞エピトープに保存されます。このような理由から、パンデミック型のインフルエンザにおいては大人は完全には免疫的に未熟な訳ではない、ということです。常に少しは保護されています。この現象が強くみられたのは、2009年の H1N1型パンデミック、これについては昨年の春前のポッドキャストでお話したことがありますが、豚インフルエンザででした。そこでも、特に年齢層が高い大人に背景的な免疫が存在しました。そして、このことはパンデミックの初期にはわからなかったのです。これが、パンデミック初期に大変危険なウィルスである、と認識されていたのにも関わらず、パンデミック全体が比較的軽くすんだ理由です。
また、話を戻しますが、インフルエンザにはこのように子供と大人の間に不安定なバランスが存在します。パンデミック型のインフルエンザにおいても、子供が集中して感染します。パンデミック型でも、子供がパンデミックの増進者、とぎりぎり言えるかもしれませんが、これは、パンデミック型の種類によっても異なるでしょう。とはいっても、これは感染疫学の教科書に載っているパンデミック対策です。ここには重要なレベルがあって、このレベルとは、まずは、封じ込め対策。感染の拡大がしないように阻止すること。次にある一定の段階からは、緩和。つまり状況を緩和するために接触制限などで感染状況を和らげる。これは、感染が一番激しいところで行います。つまりハイリスクグループです。インフルエンザの場合にも、高齢者を保護しなければいけませんし、いくつかのハイリスクグループが考えられるでしょう。それ以外は、、、残念ながら止めることはできません。最終的には、少し成り行きにまかせるしかない。たまに、公の討論で、このモデルが SARS-2ウィルスに当てはめられているのを目にすることがありますが、これをそのまま当てはめるのは正しいとはいえません。というのも、これまでの観察からも、 SARS-2ウィルスは、インフルエンザに比べてかなりまんべんなく全体に、全ての年齢層で拡がることがわかっていますから、そういう意味では、どの年齢層も同じように関与していて、ある一部を感染の増進者だ、ということはフェアではないと思うのです。子供達は、Covid-19の感染増進者ではありません。同じように、レストランに行く人たちやオペラ感染者や、大きな企業の従業員でもないのです。さまざまなことがあらゆる方面から言われていますが、この、増進者、という言葉。子供に対して、そして学校に対して頻繁に使われてきた言葉です。インフルエンザでは確かに子供が感染を増進しますが、これを議論の際に比較に使うのは間違ったところを不必要にヒートアップさせるものだと感じます。

このパンデミックの増進者という言葉が、子供に関する議論において武器的に使われていた感も否めません。 もう一度確認でもありますが、これは疫学的には正しい定義ではあるものの、背景的な免疫が不均一に存在する場合のみに重要である、ということですよね。新型コロナの場合はそうではなく、全員が免疫的に未熟です。

その通りです。しかも、大人のほうが少し小さな子供より感染しやすい、とみられます。データの解釈にもよりますが、小学校と幼稚園、もしくは保育施設のみでは、大人よりも感染率が低い。いくつかの論文からはそう解釈できますが、そうではない論文もあります。詳細に関しては異論はあるでしょう。それと同時に、パンデミック型インフルエンザの反対に、パンデミック型インフルエンザでは子供が増進者であり、子供の感染抑制を集中的にしなければいけなく、それと同じである場合はかなりはっきりとその傾向がみえていなければいけません。これをどのように数値でみていくことができるのか。つまり、どのグループが、全体の何割で、どのくらいのR値に影響を与えているのか。冷静に考えると、、、子供は全体の20%でしょうか。ということは、接触の20%です。今、学校を再開する、ということになれば、全体の感染対策としては、どこか別のところで20%の接触制限を設けなければいけない。

これは、教育の優先、という理由によってですよね。

そうです。そのように説明することができます。子供は把握がしやすいグループで、学校もわかりやすい施設ですが、職場など、成人の日常生活においての他の分野ではそのようなものはありません。ですから、政治的にも、情緒発育的にも教育的にも託児的にも、学校を再開することの重要性を優先し、別の部分でどこかそれを補うところをみつけていかなければいけないのです。例えば、テレワークなどですね。この視点は、多分もう少し明確に理解されなければいけないことだと思いますし、その理解によって議論も落ち着いてくるのではないでしょうか。そして、どこか特定のグループが感染増進者である、というような馬鹿げた話は良い加減やめなければいけません。しかし、だからといって、誰かを増進者ではない、と言い切ることもエビデンスがないのでできないことです。私たちは皆同じようにこの問題に関与しているのです。

よく、逆説的に、「子供はパンデミックの増進者ではないから、学校は問題なく続けることができる」という結論にされることもありますよね。先ほどの、オーストリアの論文に戻りますが、今、教育の場を出来るだけ設けるために必然である学校の再開に向けてどのような具体的な対策がとれるのか、という点でも少し数値的にみていけるチャンスだと思います。この研究の3回目の調査は2月8日からオーストリアで徐々に学校が再開されて通常運営に移っていけば行われる予定でしたが、オーストリアの教育省はこの調査を中止し1ヶ月後に延期しました。研究的な視点では、とても興味深い期間での調査機会が失われたことになります。特にスタート時点では明確な感染者数と対策のひとつひとつが把握できたと思うのですが。

良く実行された研究試験は比較をする、という点でも大変重要です。学校をまた開けていく際に、学校内の感染率が他の年齢層と変わらない、という結果を掲示するためには、これを証明するデータがしっかりと出ていなければいけません。そして、今の時点から感染が進んで、どこかで成人層、現時点ではロックダウン、という対策下ではありますが、そこと同じレベルまでに到着するまでにどのくらいかかるのか。(調査が中止されたことは)学術的な視点からは残念なことですが、政治的な視点からは、ここの情報が足りない部分をどう補うなうか。似たようなデータをみつけるのか、そういうことだと受け入れるのか。イギリスのデータを基準にするなど、考えていかなければいけないでしょう。ここで重要なのは、この自己肯定のために堂々めぐりしている、感染と子供は関係ない、という意見から抜け出すことです。つまり、感染とは関係ない、とするのではなく、その反対です。感染はあります。あるのですから、科学的なデータで事実とは違う解釈をしようとするのではなく、それはそれだ、と受けれなければいけないでしょう。そして、それにとは別にここには大きな価値、理想、これは権利、と言っても良いかもしれません、そのようなものがあり、これは守られるべきものである。そのような理由から学校は再開されるべきなのです。そこで、ウィルスが他の場所と同じように拡大することを知った上で、です。このように取り組んでいくほうがはるかに良いと私は思います。

そして、地域的に異なる印象、無症状の子供に気がつかなかった、という理由から、「私たちの学校では感染者なんか出てない」というのではなくて、もう少し研究データにも目を向ける必要はあるように思います。

これは、今日のポッドキャストの準備の際にリストには載せなかったのですが、、、実はシャリテでも学校の研究をしていて、そこでの結果も基本的には似たようなものでした。秋休みが始まってから感染が突然増えています。この調査の規模は少し小さいものでしたが、クラスの3分の1の割合で1人から数人の感染した生徒がいる、という結果がでています。ここでもメディアでは様々な解釈がされていました。「そのくらいの少人数の生徒が感染している、ということであれば素晴らしい」と書いた新聞もあったくらいです。

「シャリテ論文が証明」とどこかで読んだ気がします。

ここからも、メディアがどれくらい影響を受けているのか、ということがわかると思いますが、私たちは冷静にみていく必要があります。正直に言って、この学校のテーマについては他の専門家が依頼されているので、私はこれ以上話したくないのです。小児科医の意見ももっともですし、感染疫学者がなんと言おうと、子供達をみれば彼らがどれだけの苦悩を抱えているのか、ということは一目瞭然です。身体的にも精神的にもダメージがでています。私も医者としては、子供達の全体的な健康を優先したいですが、教育者ももちろん学校での妥協案を考えてかなければいけない、というところではウィルス学者ができることにも限界があります。このテーマは感染疫学的にはもうすでに解決している、というのが、私の正直な意見です。このインフルエンザ比較テーマについて、違う視点から話したいと思います。これは、私がシュピーゲル誌からインタビューを受けた後にメディアで報道されたことなのですが、私は100000、という数を出したのです。これがメディアで拡散されました。しかし、私が意図としたことは全く違うことだったのです。内容的には、2月にロックダウンの分析をして春に向けてどうなっていくのか、という思案でした。インタビューのなかで、今回は気温でのメリットに期待できないだろう、と言いましたし、ワクチン接種がどのようにされていくのかもわからない、とも言いました。今、幸いなことに少し状況がわかってきましたし、数も発表されました。 保健省がまとめたものがもう公に発表されているのかどうかはわかりません。どちらにせよ、メディアでは取り上げられていますので読むことができると思います。今、確定したのは、第一四半期で、900万人以上にワクチンを打つことができる、ということです。第一四半期とは大体イースターまでですが、計画はそれまでに80歳以上を全員、ということのようです。数的にはそうです。もちろん、このなかには医療従事者も含まれますし、病院勤務者も含まれます。問題は、この時点で、社会のなかでも、政治的な討論でも、接触対策を止めしまう、簡単に言うとパンデミックの終息を宣言してしまったらどうなるのか。

自然に任せる、ということでもありますよね。

そうです。任せる、ということです。問題は、そこから何が起こるのか?何を覚悟しなければいけないのか。ここから、先ほどの数がでてきたわけですが、あの時に私が言ったことは「イギリスの状況をみても、冬の感染の波においては、全国民が6000万人のなか、1日に6万人、7万人の感染者がでる。ドイツの大きさで考えると、大体10万人である」

1日の新感染者、ですね。

そうです。何か数を出せば、すぐこれがニュースになります。「ドロステン教授からの警告、5月には10万人の新感染者!」 このように議論するのはナンセンスです。重要なのは、このようなシナリオについて考え、もしそのようなシナリオが現実になった場合にどのような対策を打たなければいけないのか。これから起こりうることについて、です。

このシナリオについて話すならば、私の視点からは少し集団免疫のコンセプトの方向に行かざる得ないと感じるのですが、それについてはポッドキャストの前半でも少し触れました。子供のテーマと学校から始まりましたが、これも大きなテーマですがあまり議論される機会がないテーマで、子供達の予防接種は必要ないのか、ということです。計画的には、国民全体での免疫が感染によってつくられなければいけませんが、理想的なのはワクチンによってそれがつくられることです。子供用のワクチンはまだありません。しかし、私が調べたところによると、国内には統計では135万人の子供と18歳以上の青少年いる、とのことで、これは統計連邦機関でのデータですが、そうなればワクチンシステムに大きな穴が開くことになるのではないでしょうか。長期においても子供達が予防接種されない、となると、どのような影響が考えられますか?

子供の予防接種に関しては、全くそこが忘れられているわけではない、ということを言っておきます。ワクチンの承認の際には、勿論優先順位というものがありますし、この緊急状況で可能な限り迅速に進めていかなければいけません。そのようなシチュエーションでは、単純に成人からワクチンを打っていくことになるのです。成人の重症化率が高い、という理由からですが、ロンドンスクールのワクチントラッカーでみてみると、156件のワクチン承認治験がリストに載っています。この大多数が活性ワクチンです。それ以外のコンセプトはなく、つまり通常の私たちがワクチン、と呼ぶものですが、そのなかでも子供での試験をしているのは大変少ない。ここにメモをとっておきましたが、、、有名な製薬会社では3件です。バイオンテック、アストラゼネカ、そしてモデルナです。このワクチンは現在子供での治験が行われています。

まずは12歳以上、ですよね?

そうです。バイオンテックとモデルナは12歳以上です。アストラゼネカの治験の1つに5歳まで、というのもあるようですが、これらの治験は夏、秋まで続けられます。その前にはっきりとした効果が認められるようであれば、早期の終了も考えられますし、このことに関しては、私には全く読めません。データもまだみていませんので。今の時点では、夏までにデータが出た後に秋に承認されて子供達にも予防接種ができるようになるのではないかと思いますし、そのようになるように願っています。子供達にワクチンを打つのかどうか、といテーマに関してはそれはそれで討論が行われるでしょう。そのことについては、今は何も発言するつもりはありません。それよりも注目してほしいところは、ワクチンが行き届かない間は子供達のなかでも他の年齢層と同じように感染が多くでる、というところです。このテーマを終える前に、、、実は、子供のワクチンに関する論文はもう少しあって、ここにリストアップしたなかでも5つありますが、最後の1つをのぞいては全て中国のワクチンでのものです。1つだけはベトナムのワクチンをつかったものですが、このワクチンドイツでは承認はされないだろうと思われます。というのも、この研究がはやくても夏までかかるだろう、ということ。秋までにこれらのワクチンが承認されることはないと思うからです。ファウチ氏は、アメリカでは子供ははやくに予防接種を始める、と発言していましたが、これが何を意味するのか、ということは私にはわかりません。もしかしたら、彼は違うデータを手元に持っているのかもしれませんし、この発言の真意を汲み取ることはできませんが、アメリカの事情は私なんかよりも彼のほうがよくわかっているでしょう。

それでも、子供へのワクチンのメリットとデメリットについて話しあっていかなければいけないと思います。先ほど、先生は、このテーマに関しては今はあまり詳しくは話したくない、とは仰っていましたが、子供は感染しない、という根強い意見もあります。子供が感染した場合は、比較的軽症ですが、子供へのワクチン接種がどの程度の効果を発揮するのか、そして、接種後もウィルスの放出があるのかどうか、というところもまだはっきりしません。そして、殺菌免疫という定義があります。つまり、感染が不可能になる、ということですが、これまでのワクチンのデータは全て動物実験でのもので、子供のデータ、例えば、子供が予防接種の後に感染し、自覚のないまま両親に感染させてしまう可能性などではまだなにもわかっていません。ここでの知見はあるのでしょうか?ウィルス学者としての直感的にはどうですか?グレーゾーンであることはわかっていますが、殺菌免疫と、伝播の間のメカニズムを素人でも理解できるようにご説明いただけるでしょうか?

うーん、この場合は、様々なことを考慮しなければいけません。そのなかには、勿論、殺菌免疫を習得できるかどうか、というものも含まれます。この点でも公の議論では、白黒をつけたくなるところでしょうね。ワクチンを打たなければいけない、と言う人がいて、ワクチンを打ったからといって感染伝播率が下がるとは限らない、と言う人がいる。そして、子供の場合は、完全にこの伝播率だけの問題です。そこが確実でなければ、ワクチンを子供に打つ意味がないからです。子供でも重症化することはあります。子供にもハイリスクはいますし、基礎疾患があって感染を阻止しなければいけないグループもいることは確かです。しかし、安心してほしいのは、そのようなハイリスクの子供達には、小児科から普通のワクチンが接種されるということです。つまり、大人で承認されたワクチンを子供に打ってはいけない、ということはありません。ハイリスクの子供の分のワクチンは確保されています。ここでの課題は、それ以外の子供のためのワクチンを通常の承認過程で進める必要性はあるのかどうか、というところです。子供用のワクチンは意味がない、という意見もありますし、子供にメリットがない、という視点もあります。つまり、ドイツ国内で短期間の間に広範囲において子供達を予防接種した場合にどうなるか、ということは誰にもわからないのです。このようなシチュエーションの責任は誰も取りたくないでしょうし、副作用などについても、それがたとえかなり稀なケースであったとしても、慎重にみていくことが必然です。この点は念を押して言っておきます。子供には、多臓器系炎症性症候群というものありますし、

川崎病に似た症状、ですよね。

そうです。以前のポッドキャストでも取り上げました。これは、川崎病ではありません。年齢層が違います。違う年齢層の子供達です。大体、7歳くらいに頻繁に起こるようです。そして、子供にも症状はでます。もっと多くの子供のケースをみていった際にさらにどのような症状がでてくるのか、ということははっきりしませんが、まあ、それは今は置いておきましょう。基本的に、子供に予防接種をしておきたい、という保護者は多いであろう、ということです。

子供達も、ですよね。

そうです。勿論、これから秋に向けて大部分の大人の予防接種が行き渡り、子供が予防接種されていない、という状況になると、感染は子供に集中することになります。そうなれば、また先ほどの、「増進者」というポジションになるわけです。しかし、子供を感染源として社会のなかで注意してみていく必要はあるのです。ここでの疑問は、ワクチンの効果はあるのかどうか。つまり、殺菌免疫という面で、です。殺菌免疫に関しては、まず説明をしたほうが良いですね。これは、ワクチンによって強い中和抗体応答がでる、というものです。

麻疹やおたふくかぜ、とかですよね。

例としてはそのようなものです。他にも、とても強い中和抗体応答、もしくはT細胞応対がある例をあげるのであれば、黄熱病です。ここでは中和抗体を測るまでもありませんが、10年ごとに再接種することは推奨されてはいるものの、一度抗体ができれば、黄熱病に一緒かからない、感染もさせない。もちろん、この感染伝播のメカニズムは複雑ですし、ウィルスは血中に入って蚊によって伝播しますから、伝播自体もそこまで容易ではありません。しかし、予防接種をすればたとえ蚊に刺されたとしても、血中でウィルスが検出されることがないのです。とはいっても、これは全く別の病気です。コロナは、気道から感染しこれは粘膜免疫の問題なので、ここで殺菌免疫をつくる、ということは困難です。これから予防接種をしても、粘膜でのウィルスの増殖は完全には阻止できないでしょう。ここで重要なのは、これが何を意味するか、です。現在のワクチン試験のデータをみてみると、まだ不完全ではありますが、そこから出ているデータによると、ワクチンの接種にも関わらず感染した患者のウィルス量を調査すると、一部からは感染性のあるウィルスが検出されています。並行して行われている動物実験では、そこまでの生きたウィルスは隔離することができていません。これが理由かもしれませんが、ウィルスは粘膜にいるものの、粘膜から出ると同時に抗体がくっつきますから、検査でウィルスの検出はされたとしてもそこに感染性はない。これは、大変簡単な考察です。先ほど、私のウィルス学者としての直感はどうか、ということでしたが、ウィルスの拡大がワクチンによって阻止されるかどうか、という点に関しては、検査でウィルスは検出されることはあっても予防接種者が拡散するウィルスは少なくなっているであろう、と思います。勿論、ワクチンの種類によっても異なるとは思いますが。

ということは、ワクチンの全てが、殺菌免疫をつくるわけではない、ということですね。百日風邪やインフルエンザではそうではないのでしょうか?

そうではないウィルス性疾患はたくさんあります。インフルエンザでは全くそうではありません。有名なウィルス性疾患、小児麻痺、ポリオのワクチンは経口ワクチンの生ワクチンで、素晴らしいワクチンではありますが、接種後に一生その効果が続くわけではないのです。それでも、血中に少しでも抗体が残っていれば重症化することは避けられます。他にも、ワクチンは素晴らしくても、完全な保護は望めない例はたくさんあるのです。しかし、これは多くの場合には決定的な条件ではありません。ちなみに、ポリオの場合の付け足しですが、腸に感染した場合、感染性のあるウィルスを放出し周りに感染させる可能性もあります。この効果が役に立つこともあって、これは生ワクチンにも言えることですが、アフリカのように子供を一人一人接種できないようなところでは、環境を通じてワクチンウィルスを他の子供に伝播させる環境ワクチン効果というものが使われる場合もあります。

ワクチンを打った後にどうなるのか、というところでは、いろいろなことがはっきりとしないために、予防接種をした後でも引き続き気をつけて行動をすることが必要です。そして、世帯内で1人だけが予防接種した場合に、例えば老夫婦の場合などもそうですが、家族に感染させてしまうリスクはあるのだろうか、と不安になります。家のなかでもマスクを着用する、というのは現実的ではありませんので。ここで、引き続き危機感は持たなければいけないものの、家族のシチュエーションにおいて少し安心するような情報を先生のほうからご提供いただけますか?

うーん、、これはまた相談窓口的な質問ですよね、、、

そのような質問がお好きではないことはわかっています。

予防接種者が、安心できるかというと、、、ワクチンにも関わらず感染してしまった場合にも、周りに感染させるか、と言う点では可能性は低いでしょう。それよりも、違う点を強調したいのですが、今、このようにワクチンについて今後の展開とともに話しています。発表されている数については私はポジティブに驚いていますが、、勿論、正確に評価することが困難であることもわかっていますし、全てが推測であり、様々な影響によって変化するのもわかっています。誰にも、今の時点ではどのような問題にワクチン業界がこれからぶち当たるか、ということはわかりません。製造におけるものであったり、工場の問題であったり、そのような問題は常にワクチン製造にはつきまといます。しかし、希望が持てるのは、状況は数日前よりもずっと良い、ということです。ワクチンの納期に関してはそれに伴う責任を追求する世間の議論が騒ぎ立てますが、納入可能である数をみてみると、基本的に政治が常に言っていた通りの数だ、ということを言わざる得ません。以前から、はじめは少なくても、すぐに揃う、と言われていました。 勿論、メディアは他の国、特に小さな国との比較を出すでしょう。もう何%の予防接種が行われた、など。イスラエルとだけではなく、違う国との比較もあります。しかしそこで忘れられていることは、ワクチンの製造量は限られている、ということ。人口が少ない国では、少ない量で高いワクチン接種率を得ることができますが、ここに惑わされてはいけません。ドイツで重要なのは、これから何が起こるのか、ということで、春に向けて変化していく可能性がある。2つのことを言っておきたいのですが、まず、私はこれからのワクチンの納入状況に関してはポジティブに評価していますし、ここから計算していくことも可能です。つまり、第二四半期の予定です。すでに承認されているワクチンをベースにしても、5500万分のワクチンが第二四半期に入ってくることになっています。これを2回分でカウントすると、大体半分、2700万人にワクチンの接種が行われることができる計算です。まだ承認がおりていない会社もありますが、そのなかには1回の接種でも防護効果があるものもあります。

ジョンソン&ジョンソンですね。

そうです。ジョンソン&ジョンソンです。ここには1000万個がリストに載っています。これだけでも大変な量です。それに加えて、バイオンテックの追加入荷分があります。これが6700万個、人数分に計算すると3350万人分が第二四半期に入ってくる。そして、ジョンソン&ジョンソンの分の1000万個。合計で4360万です。これに第一四半期の分の9150万を割ると、5000万人分です。この人数の予防接種が、理論的には第二四半期に可能となります。ドイツの人口は8300万人ですが、接触ネットワークは常にこの8300万人の間には存在しません。そして、集団免疫というものは突然できるものではないので、ここでも白か黒か、という効果ではないのです。

66%か70%に達したら、突然数が減る、ということではないですよね。

そうです。先日、イスラエルから初めのデータが出てきましたが、これはまだ正式には公開されていません。しかし、学者によってまとめられて、SNSやインターネットで読むことができます。ある年齢層の50%の予防接種をすれば、それが1回目であっても、2回目の接種が終了していても、それには関係なく、そこまで接種率が高くない他の年齢層と比較してこの年齢層の入院率が下がる、という結果がでています。これは驚きです。大変希望が持てるデータです。なぜなら、これが、PCRで数えた数ではなくて、つまりグレーゾーンではなく、または、検査で取りこぼした数でもなく、病院の入院の患者数ですから、とても客観的な数です。ここでの数え忘れはありませんから。グループの半分にワクチンを打てば、それだけで入院率が減る。これは素晴らしいことです。しかし、ここではこれ以上はここでは掘り下げません。まだ科学的には公表されていない内容ですので。それでも納得のできる内容です。勿論、この効果は非医療的介入と同時進行させて得られるものだということは言うまでもありません。ワクチンがあればロックダウン対策は必要ない、という意味ではなく、これは白か黒か、ということではなく、一部ではライトグレーになり、他の部分ではダークグレーになるということです。そのように効果はお互いに補われていくものであって、一方で接触削減対策があり、もう一方で非医療的介入がある、ということです。

これは発生数でもどのくらい厳しくしなければいけないか、ということも変わってくると思いますし、もう少しターゲットを絞っても良いでしょうか。

そうですね。No-Covid戦略は、将来的に考えていかなければいけないことだと思っています。そんなにはやくは抜けきることはできません。つまり、これまでたくさんのポジティブな点を上げてきましたが、ここからいくつか言うことはあまり聞きたくない内容かもしれません。一つ目には、例えば近い将来、第一四半期で入荷が予定されている915万のワクチンですが、ここで納入されなければいけないワクチンは、工場から出荷されてワクチンセンターなどに当社区するまでには第二四半期の2週目、3週目になる可能性があること。この予定されている入荷数というのは単なる注文数と納入数です。一定の時間内に行われるべく予防接種を実行しようとすると、ロジスティックはさらに複雑になり、この点は計算にはいっていません。この分野での難易化は激しく、このためだけの学術的なモデリングも必要なくるらいです。全ての因子、ワクチン、患者、ロジスティック、納入、倉庫に到着し、医師との協力体制。つまり、どのくらいの民間の医師たちが、「じゃあ、しばらくは普通の診断はやめてワクチンだけ打ちます」と言うでしょうか。これは信じられないほど大変な課題であって、これは全て短期間で実行されなければいけない。全分野での協力体制が必要です。

そして、診療所では冷凍保存の関係で全てのワクチンを取り扱うことができませんし。

その通りです。その問題もあります。何を診療所で接種することができるのか。何がこれから承認されて、どんな新しいワクチンが使えるようになるのか。近い将来的には、どんな保存状態になるのか。シナリオを加えて計算するとどうなるのか。病院の特殊外来での予防接種はどうなるのか。産業医はどうか。薬局でも予防接種ができるようにする、というアイデアはどうか。第二四半期に予定される大量の予防接種が軌道に乗るまでかなりの問題は起こるでしょう。しかし、これを科学的に予測することによって、可能なシナリオを政治に提供しそこから計画ができる用意をしなければいけないのです。科学は、何をいつ開くことができるのか、という点を考えるでしょうつまり、学校だけではなく、経済分野でも、です。これは大変重要なことなのは確かですが、第一四半期においては残念ながら、915万個、いや、個数はその倍ですから、915万人分のワクチンしかないのですから、まずは高齢者から打っていくことになり、この年齢層は感染伝播において重要なポジションに位置する年齢層ではないのです。

つまり、効果はその後ででてくる、ということですね・

このはじめの1000万個という数は多くはありません。そして、まずは社会のなかで大きな伝播的な役割ではなく、感染を受ける世代、伝播のチェーンの一番端に位置する世代から予防接種をしていく。流行のコントロール、という面では、感染伝播を増進する層にワクチンを打っていかなければいけません。ですから、イースターまではワクチンの効果はみられないでしょう。このことは、はっきりと言うべきことです。このことを配慮して、今後段階的に緩和をしていくならば、政治的な対策、現在のロックダウンを持続させなければいけない点に対する理解と、引き続き注意深く行動しなければいけない自覚が重要です。今の段階で、ワクチンの効果に期待することは、無謀であり、気が早いと言えるでしょう。準備期間中は、引き続き非医薬的介入でコントロールする以外術がありません。

各ワクチンの効果に関する比較ではどのような意味があるのでしょうか?素人的には、20%、30%効果が低い、となると、あまりよくないワクチNんあのではないか、と思ってしまうのですが。そのようなワクチンは打ちたくありません。それでもパンデミック対策的には意味があるのでしょうか?それとも、単なる統計的に観察的数値なのでしょうか?

承認試験のデータが手元にありませんし、全てのワクチンについての文献を熟読しているわけでもないので大雑把なことしか言えません。単純に私のキャパを超えます。時間的にも全てに目を通すことは不可能です。ワクチンは私の専門分野ではないので。ですから、ここで線引きをしなければいけません。しかし、ざっくり言うと、、、例えば誰かから「ドロステン先生、先生の順番になったらどのワクチンを打ちたいと思いますか?」聞かれたら、ということですね。ここでの、効果データというものは、多くが臨床的にみつかった感染、というものから出ているので、喉の痛みだったりするのです。それよりも知りたいことは、予防接種の後に重症化が阻止されているかどうか。その効果があるほうがずっと優れているわけです。その点では全てのワクチンは重症化に対しての効果があります。この部分が、一般の人、医療関係者ではな人が自覚していない点でしょう。このワクチンは何%だ、こちらは何%だ、ということ以外に、私たちが心配する重症化、ということに関しては、全てのワクチンが大変高い効果を発揮しています。

それは、これからヨーロッパで承認されることになっているワクチンでも同様ですよね。少なくとも、会見から効果に関するデータは発表されています。まだ論文は発表されてはいませんが、先ほど、ジョンソン&ジョンソンが出ました。ここでは、85%ということでしたが、ドロステン先生、最後に、集団免疫についてお伺いします。これは、変異との関係性においても何度も議論がされていることです。集団免疫は、ポッドキャストの初めにも取り上げましたが、3分の2、大体66%、70%です。しかし、これは固定された数値ではありません。計算的にはR値に関係があり、つまり、1人の感染者が何人に感染させるか、という平均値ですが、この数値は対策によっても影響されますし、人口構成によっても変化しますので、このコンセプト、目標値、ワクチンによって達成するべき集団免疫も変わります。これは、変異によっても変化していくのでしょうか?

変異においては計算することができます。変異バリエーションは、35%感染力が増していますから、R値を1にするためには、35%分の接触制限、もしくは予防接種者が必要になってきます。このような簡単な計算は可能です。問題は、実際には紙の上に書けるような簡単なことではない、ということです。つまり、R0値が3で、Rt、つまり現時点での伝播速度が1になれば制御可能だ、ワクチンを3分の2に打てば伝播しなくなる、という計算です。これは平均値的には間違ってはいません。しかし、この他にも様々な要素が入ってきます。その一つは、接触ネットワークと接触頻度です。こう想像すると良いかと思いますが、ここに集団、、、人間ではなくても良いですが、蟻、にしましょう。蟻ウィルスがあるとして、この蟻にワクチンを打つとします。ここに、ごちゃごちゃいる蟻の集団がいて、この集団を無制御に歩き回らせながらワクチンを3分の2に打ちます。その場合の平均は、蟻ウィルスのRが3で安定して感染している蟻の数は一定数で続きます。今度は、ワクチンを打つ前に水槽を仕切って、3分の1はこちら、3分の2はこちら、と分けてからワクチンを打ったとしたら。ワクチンを打っていない集団内での保護がないのでお互いに感染しあいます。もちろんこれは、極端な例で、人工的に分けられてた集団の場合ですが、実際は、この中間くらいで、平均的に予防接種率が高い地域と、低い地域があって、低い地域では感染の流行が繰り返し起こるでしょう。これが、集団免疫の現象の一つです。例としては、風疹で、ドイツ国内の予防接種率が高いのにもかかわらず、特定の地域で繰り返して起きるのです。

ここでの良いニュースは、私たちは対策をもってネットワークを切り離し集団免疫のコントロールをすることができる、ということでしょうか。

その通りです。対策というのは、大部分が非医薬的介入です。社会のなかには強いネットワーク機能を持つ分野が存在します。ここには残念ながら学校も含まれますが、大きな会社などもそうで、ここでの接触削減は、個人が日常生活から取り除かれてウィルスに出会わなくなる、というのものではなくて、特定のネットワーク接続を遮断するものです。このウィルスには過分散という特性があることがわかっていますから、アウトブレークを阻止するという面では、予防接種率は70%よりも大幅に少なくても、軽度の非医薬的介入とコンビネーションすることで国民全体での保護効果を得ることができるでしょう。これは大きな希望であり、例えば第二四半期の終わり、つまり夏までに、ですが、ドイツ国内に効果的な集団免疫がある、という状態が望ましい。それまでに70%が予防接種していなくても、です。これは、単純に、このウィルスがクラスターを通じて拡がっていく、ということと、アウトブレーク感の伝播ネットワークが繋がることを阻止できるからなのです。

集団免疫、というテーマでの最後の質問です。少し特殊な分野に注目したく思いますが、これは何度もポッドキャストで取り上げる約束をしていながら、延期になっていたものです。しかし、変異を全体的に理解するためには、免疫回避、ワクチン、再感染といったテーマは重要です。最近、かなり多くの記事がブラジルのアリゾナ州にあるマナウスという都市を取り上げていました。ここでは、すでに集団免疫があったのですが、再度大きな流行の波が起こっています。治療のための酸素が足りない、など悲惨な様子が報道されていましたが、サイエンスの論文によると、ここでは去年の10月時点で70%のが感染していた、と。それに関わらず感染の波が来る、ということは素人的には新しい変異のせいなのでは、と思うのですが、どうなのでしょうか?

この論文は実際に存在しますが、初めから少し疑わしいと思われていた論文です。このベースは基本的にここの市民を直接調査したものではなく、例えば、輸血バンクなどからとったデータであって、市民の一部です。そこで、ラボでの検査だけではなく、抗体保有率などもみて全体の何%が免疫をもっているのか、という点での修正が行われました。つまり、検査の感度を配慮すると、実際の率はもっと高いであろう、ということです。さらなる修正因子として、入院患者の抗体率は輸血をするような軽症者よりも高いだろう、という考えからここでも修正がされています。抗体はある一定の期間で消えますから、それを考慮して、感染からラボでの検査までも間があいている、という点でもまた修正がされています。抗体がなくても免疫がありますから、この修正も間違ってはいません。つまり、比較的簡単な計算がここではされた、ということです。前置きが長くなってしまいましたが、最終的には、このたくさんの修正因子で計算した結果、10月末にはマナウスの76%が免疫を持っていたに違いない、と。ここでの疑問は、にも関わらず、年末、つまり12月に起こった新しい感染の波を解釈をどうすれば良いのか、というところで、この説明のひとつが、免疫回避ウィルスが拡がっているのだろう、ということです。

ブラジルの変異は、P1というバリエーションですね。

そうです。もう一度感染したのにも関わらず、感染する。集団免疫があるにも関わらず大きな感染の波が来る。つまり、パンデミックがふりだしに戻ってしまう、ということです。表面的な解釈ですが。ここでの問題は、大多数が感染経験を持つ集団で新しく感染が起こっても重症化はしないであろう、ということが言われていて、つまり、風邪のような流行で済むだろう、と。これには説得力があります。しかし、重症化を伴う大きな感染の波の場合では、単純に免疫回避だけが原因である、という説明を受け入れることは難しいです。そのためには、ベースとなっているデータをもう一度よくみてみる必要があります。本当に、マナウスでは集団免疫が習得されていたのか?それとも、秋に発生数が減った理由は違うところにあるのか。つまり、先ほども話したように、部分的な免疫によるネットワーク効果です。もしかしたら、免疫は30、40、50%くらいで、接触ネットワークが繋がらなくなったために、発生数が下がった。これは、先ほど話した現象の良い例で、集団免疫は簡単には計算できない、ということなのです。

つまり、エスケープ変異体というものはあるものの、また感染がゼロからはじまるかもしれない、とパニックになる必要はない、と理解しても良いのでしょうか。そして、第一四半期はまだ厳しい状況である、と。しかし、先生は今後のワクチンに関してはとても楽観的にみていらっしゃいますよね。特にヨーロッパ内では。

これを楽観的だと解釈はして欲しくありません。イースターまでには予防接種による大きな保護効果は望めなく、どちらかというとハイリスクの保護のみに限りますが、これによって、死亡率を下げることができます。ここの点を正確に理解することです。しかし、発生数の削減、という点に関しては、ここで本当にNo-Covidを目指すのか、本当になくなるまで実行し続けるのか、それとも、ドイツではそれは難しいから、少なくとも保健所が追跡調査を十分にできる範囲まで削減していくのか。ここが重要です。私にとっては、それ以外の議論点は存在しません。つまり、最大病床数の許容範囲であったり、というものについて議論をしたりするのは方向性が間違っています。これをまず言っておきたい、ということ。もう一つは、第二四半期に入ってくるワクチンの数は喜ばしいものではありますが、イースターのあとには、まだ集団免疫の効果はみられない、ということ。この第二四半期、というのも、確実に四半期の最後の月、という意味です。大変大きなロジスティックの壁があり、このオーガナイズの壁を乗り越えなければいけません。技術的な問題も出てくるかもしれません。誰にも予測はつきません。はっきりしていることは少なくとも、政府が何か大きなミスを犯した、ということではなく、議論に上がっている数は全く別のものである、ということ。とはいっても、シナリオは説明されなければいけないかもしれません。その説明をこの場ですることもできますが、学者によってイースターの後にどうなるか、というモデリングがされなければいけません。そして、緩和を早くしすぎると何が起こるのか。 イースターの後には緩和を望む声が高くなるでしょう。しかし、どこをどのくらい早く、という点では熟考されなければいけないのです。どうしてここで大きな危機感を持つ必要があるのか、というところの理解をしやすいように、シナリオの一つをあげるならば、、、インフルエンザの例に戻りましょう。巷の議論の際に、よく、「感染をなくすことはできないのだから、ある一定の段階で自然の流れにまかすしかない。」と言われますが、これには部分的にしか賛同できません。なぜなら、これはインフルエンザではない、ということと、高い致死率がある、ということです。最後に、まだ予防接種をしていない集団においての小さなシナリオをあげますが、予防接種がなんらかの理由によって、なかなか進まない状況になったとしたら。イースターの後にも実際に保護効果を持たない世代は40から60歳の世代です。その世代は、ドイツ国内に2360万人います。ここから楽観的に計算すると、初めのワクチンの効果と、残りの人たちが感染しあって自然に発生数が下がるのを待つ、というのを避けるためにも、非医薬的介入の持続、接触制限などをするわけですが、この40から60歳の0、5%、つまり1200万人中の0、5%感染しなければいけない計算になります。これも荒い計算で倍にすることもできると思うのですが、つまり、10%、40から60までの重症患者だと、120万人が数週間、2、3ヶ月で重症化することになる。そうなると、知人友人のなかの1、2人が重症化する計算になるのです。これは病院で治療できる範囲ではありません。医療崩壊します。自宅でこの働き盛りの世代の重症患者の療養をすることになるのです。ここから起こる効果は、恐怖、です。周りに重症患者が溢れると、人々は自主的に自粛をはじえるでしょう。この今忘れかけている感情、つまり感染に対する恐怖です。これが、もしかしたら、フュスト氏がインタビューで言っていたように、対策が経済にダメージを与えるのではなく、ウィルスである、というところに繋がるのかもしれません。

80%、と言っていました。経済に与える80%のダメージはウィルスによるもので、対策ではない、と。

人々の恐怖が大きくなれば、文化的なイベント、レストランが開いていても人々はいかないでしょう。病欠が多くなれば、どんな企業も生産を続けることはできません。そして、従業員も、恐怖とリスペクトから、このまま続行することはできない、と言うと思うのです。このようなシチュエーションは断固として阻止しなければいけません。ですから、早い時点で、「まだ緩和するのは早い。まだ気をつけなければいけない」と言い続けるしかないのです。来週はもちろん政治的には厳しい状況が待っているでしょう。政治方面からも、2月に緩和を急ぎすぎないように、という冷静な声が聞こえています。そして、イースターでパンデミックが収束する、という考えへの警告もされています。これに関しては、中立的に冷静に、そして可能な限り感情的にならずに議論を繰り返し続けることが重要なのです。発言も注意して行わなければいけない、というのも、今の大きな難関なのです。

そして、ひとりひとりの行動にかかっている、といえると思います。40代から60代というと、私や先生の世代ですので。今日もどうもありがとうございました。







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