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α9Ⅲ 4K120P&トラッキング動画撮影の操作性は?

動画機としても最先端の α9Ⅲ

 α9Ⅲ のグローバルシャッターは、歪みのない画像が得られる点で、動画撮影にも恩恵をもたらす。ソニー発表の公式サイトによると、動画機としての機能革新は細かな点を含めて多岐にわたり、フォーカス性能とも相まって最先端をいく動画機に仕上がっていることがわかった。野鳥などの野生生物を中心に、厳しい環境のなかで撮影することの多い私にとって、α9Ⅲ は動画撮影をレベルアップする救世主になるかもしれない。
 動画性能について、注目すべき機能をソニー公式サイトを参考にして整理してみた。

  • グローバルシャッター方式なので高速の被写体でも歪みのない映像記録

  • 4K動画記録時にフルサイズとSuper 35mm(APS-Cサイズ相当)が選択可能

  • 4K 120pでもクロップなしの動画撮影が可能

  • Log撮影時にLUTをカメラモニター画像に当てられるので仕上がりイメージを確認しながら撮影可能

  • 小走りをしながらの撮影でも安定する「ダイナミックアクティブモード」

  • AIプロセッシングユニットを搭載し、リアルタイム認識AFが動画撮影中のフォーカスをサポート

  • 認識対象被写体は静止画同様、[人物]、[動物]、[鳥]、[昆虫]、[車/列車]、[飛行機]

  • 静止画撮影と同様のリアルタイムトラッキングが狙った被写体をすばやく捕捉し高精度に追随

  • トラッキングの開始は、タッチトラッキングに加え、カスタムキーに割り当てた[押す間トラッキング]でも操作可能

  • 割り当てたカスタムキーを押すことで、フォーカスエリアの設定に関係なく、ほぼ画面全体で一時的に狙った被写体を追尾可能

  • マニュアルフォーカス時にも[押す間トラッキング]を使用でき、マニュアルでのピント合わせとトラッキングをシームレスに組み合わせ可能

  • AFで動画撮影中、フォーカスリングの操作で一時的にマニュアルフォーカスに切り換えるAFアシスト機能を搭載

参考:下のソニー公式サイト

ソニー公式website

4K 120P動画のリアルタイムトラッキングをカスタムキーで始動する!

 こうして動画機能を細かく並べてみると、今まで難しかった、例えば鳥の高速飛翔のような動画撮影のハードルが下がるのではと期待が膨らむ。この機材で、私が実際に試したい撮影シーンは、次のようなイメージだ。

ケイマフリがこちらへ向かって駆けて迫ってくるシーン。動画撮影でこれを克服できるか?

 私が住む天売島の海にボートを出して、水面に漂う1羽のケイマフリをファインダー越しに捉えるとしよう。私が、これまでずっと慣れ親しんできた被写体である。そのときの機材は次のセットとする。
  α9Ⅲ + FE300mm F2.8 GM OSS + 2× Teleconverter
 動画設定を4K 120PSuper 35mm とし、手持ちでRECボタンを押して撮影をはじめる。Super 35mmの焦点距離が1.5倍換算なら、900mm f5.6 の超望遠撮影の開始だ。ピークチャープロファイルを S-log 3 で撮影するが、LUT を当てたのでファインダー映像に色彩が載って立体的でとても見やすい。
 [押す間トラッキング]を割当てたカスタムキーを押すと、ファインダー内のケイマフリへの焦点を知らせる四角い枠が表示された。そのままカスタムキーを押し続けていると、ケイマフリが水面をパッと蹴って駆け出し、こちらに向かって飛び立った。ファインダー内で大きくなってゆくケイマフリに合焦枠が喰らいつき、カメラは高精度にフォーカスを追随しつづけた。「ダイナミックアクティブモード」が効いて、安定したカメラワークでケイマフリが遠ざかるまで追い続けることができ、撮影は終了した。

 以上が、カタログに掲載のスペックから想像する動画撮影イメージだ。
 撮影した動画は4K 120Pなので、秒間30コマ動画において、再生速度1/4スローで表現することができる。飛び立っていくケイマフリの翼や足の回転、そのとき跳ね上げた水飛沫まで、ゆがみのない精緻な画像でご覧いただくことができるのだ。これぞ正真正銘の真実を忠実に再現する作品である。

 実は、動画撮影における静止画撮影時に近いリアルタイムトラッキングは、α7RⅤ で初めて実現した。α9Ⅲ との大きな違いは、α7RⅤ では4K撮影時のフレームレートの上限が 60P で、再生速度1/2スローでの表現が限界であることだ。
 さらにα9Ⅲ には、最新の BIONZ XR & 新開発の CMOSイメージセンサー Exmor RS が搭載され、動く被写体に対するフォーカスの追随性をさらに進化させている。
 α9Ⅲ の登場で、フォーカス性能や操作性の面で、α7RⅤ からどのように進化したかに注目している。


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