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これからの住宅地を考える「マネジメントされた地域の可能性」その1 住宅地の現状をみてみる

住宅地の現状
僕は建築設計事務所を営んでいますが、最近は住宅地の管理についても関わる機会が増えました。そこでいろいろな気づきや課題などを書いていきたいと思います。

みなさんが暮らしているところは快適ですか?

緑も多く、ご近所とも仲良くできている方もいれば、近隣がうるさかったり、ゴミ収集所トラブルなどで困っている方もいるかと思います。
中には自治会がしっかりしていて、きちんとゴミ収集所の清掃をしたり地域交流や防犯パトロールをしているところもあれば、一方で自治会活動でやることが増える一方なのに人手が足りないくてつらいというところもあるかと思います。

(フォーラム)どうする?自治会・町内会:2 老いる組織

そこで、なぜこのような現状になってきているのか、これからどうして行ったら良いのかを数回に分けて考えてみたいと思います。

管理不全の住宅地
国内では、戦後の住宅不足より多くの住宅供給が求められ、戸建て住宅地や集合住宅の団地が数多く計画されてきました。高度成長期に入る頃には住宅供給も落ち着き、より快適性を求めるようになってきました。

しかし、この流れの中で昔のような地域コミュニティは希薄となりお隣がどんな人なのかすらわからないといった状況も生まれてきました。
日本では、町内会などの地域活動団体がありますが核家族化などの社会情勢により徐々にその活動も十分ではなくなってきています。

1991年4月には地方自治法が改正され、地方自治法等に定められた要件を満たし、手続きを経て法人格を得た自治会、町内会が認可地縁団体として活動しています。活動には要求される項目が数多くありますが、現状では、行政より依頼された自治会館の管理や配布物の回覧のほか、防災訓練といった最低限の活動しかできないところも多く見受けられます。

地域運営組織の課題(地縁型の法人制度の観点から)

住環境を維持するためのシステムとしてある意味唯一の自治会・町内会などの組織の衰退は、ゴミ収集所や集会所の管理、空き家などの問題に対する対処など住宅地の管理不全につながってきています。

地域組織の限界
このような住宅地における管理不全の原因は、地域組織の人手不足や組織運営における資金力不足にあると考えられます。そもそも、自治体等は加入が任意であり多くの地域で年々加入率が減少しています。

加入率減少、不要論も…「町内会」は変われるか

活動費確保のために、自治会費を増やそうにもこれまでのお金の使い方が不透明でなかなか総会決議が通らないことも多くみられます。
そうなると、ゴミ集積所にカラス対策としてダストBOXをおきたくてもおけないため、こまめに清掃するしかないのですが人手が少なく負担が減らないということになります。

このようにさまざまな課題を抱えている自治会等の既存地域組織は、活動内容の見直しや人的資源の確保および補助金頼りから自立した活動資金調達など再構築するにはかなり超えなければならないハードルがあります。

特にこれまで役職についていた有力者の影響力はなお色濃く、「俺は聞いてない」などの根回しの煩わしさからますます活動が萎縮したりもしています。

また、一番活動に参加してほしい世代が頼りにできないという現実もあります。
昔のように職住近接の頃は働きながら地域活動もでき、またそれが商売にもつながっていたのですが、今は住居と職場が離れていることが多く、その30〜40代の期待したい世代は職場でも第一線で一番多忙なこともあり、地域活動に参加する余裕がないという状況にあります。

課題解決に向けて
このような既存住宅地の課題解決の手がかりとして、最近の新規住宅地開発の現状をみるといくつか新しい可能性を見つけることができます。そこで次回の記事では、 ”これからの住宅地を考える「マネジメントされた地域の可能性」その2 最近の新しい住宅地で起きていること” をまとめてみたいと思います。


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