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#1261 ファシリテーションのポイント総整理

これからの時代の教育では、絶対解を伝達するという「ティーチング」よりも、集団において納得解や最適解を導いていく「ファシリテーション」が重要となる。

以下では、複数の観点から、ファシリテーションの重要ポイントを箇条書きで整理する。

・ファシリテーションの応用分野

①人間系:教育学習型、学習・自己変容
②社会系:合意形成型、民主性・納得感
③組織系:問題解決型、合理性・効率性
④複合系:変革型

・ファシリテーションの原則

①メンバーが主役で、ファシリテーターは脇役
 ※メンバーの主体性を発揮するために「自己選択」を促す
②ファシリテーターはコンテンツをメンバーに委ね、プロセスを舵取りする
 ※コンテンツ:情報・意見・経験・思い
  プロセス:進行・論点・関係・感情
③人と人との相互作用を最大限に活用する
  ※集団内の関係性に注目する

・「教える」より「学び合う」場を創る

①内容 ②空間 ③関係 ※②と③が重要
→物理的な空間のデザイン:話しやすい隊形、仲良しの分解、フレキシブルな移動
→心理的な関係のデザイン:チェックイン
 ※名前と所属、好きなこと、最近のできごと、これからの抱負など

・ファシリテーションにおける「見える化」の意義

①参加促進
②意見の対等性
③多様性の受容
④記録保持
⑤発問提示(見出し)
⑥構図の明確化
⑦対立の客観化

・ファシリテーショングラフィックの図解方法

①関連(線で結ぶ)
②並列(並べる)
③対立・対比(両矢印)
④順序・連鎖・因果・根拠と結論・影響(片矢印)
⑤循環・双方向(片矢印2本)
⑥分岐・集約(複数の片矢印)
⑦上部/下部・抽象/具体(見出しと事例)

・コンフリクトマネジメントの流れ

①双方の意見が対立する主張(立脚点)をつかむ
②双方の主張の理由・ニーズを探る
③②が満たされるような視点から問題を捉え直し、問いを立てる
④新たな問いに対して、様々なアイデアを出し、解決案をつくる

・教師に求められるファシリテーションの3つの役割

※どの目的なのかを自覚する
①管理職・ミドルリーダーが良好な学校運営を営む
→タスク(課題解決・合意形成)
②よりよい授業をつくる
→ラーニング(体験・学習)
③よりよい学級をつくる
→リレーション(関係性)

・ファシリテーターのマインドセット

①授業の主役は子ども
②傾聴、学びの姿勢
③良いところ探し、それを言葉や態度で示す
④対立する意見にも共感を示す
⑤子ども同士の学び合い促進
⑥子どもを異文化理解
⑦自己覚知
⑧上手に人に頼る
⑨知恵と工夫で勝負する
⑩エンドユーザー(子ども)の尊重

・ファシリテーションの型における学校教育への応用

(1)学校全体
①人間系ファシリテーション:教員研修
②社会系ファシリテーション:機関連携
③組織系ファシリテーション:校務分掌

(2)学級単位
①教育学習型ファシリテーション:教科学習
②合意形成型ファシリテーション:特別活動
 ※ホワイトボードミーティング、発散・収束・活用
③問題解決型ファシリテーション:話し合い
 ※問い→発散→収束(整理・まとめ)→振り返る

(3)複雑な問題 → 複合系(変革型)ファシリテーション

・ファシリテーション技術

①インストラクション:説明
②クエスチョン:質問
③アセスメント:分析・翻訳
④フォーメーション:隊形
⑤グラフィック&ソニフィケーション:可視化・可聴化
⑥プログラムデザイン:設計
 ※「ホワイトボードミーティング会議フレーム」
  「オープンクエスチョン」の活用

以上が、ファシリテーションの重要ポイントとなる。

私が重要だと感じるところは、「コンテンツを子どもたちに委ね、教師はプロセスを舵取りすること」である。

これまでの一斉授業では、「知識」というコンテンツを、「伝達」というプロセスを通して、全てが教師がコントロールしていた。

しかし、これからは「学習内容」「話し合いの内容」というコンテンツを子どもたちに委ね、教師はファシリテーターとして、プロセスをコントロールすることが求められる。

そして究極的には、子どもたちにもファシリテーターになってもらい、プロセスまでもコントロールできるようになってもらいたい。

それが、これからの民主主義を担う人間の育成につながるのである。

ぜひとも、上記のファシリテーションのポイントを意識し、授業や学級会を実践していきたい。

では。

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