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#1827 教育を進める上での羅針盤

今回は、石井英真氏の著書『教育「変革」の時代の羅針盤』からの学びを整理していく。


・行動主義ではなく文脈主義へ
文脈のない知識・技能を自由進度的に学習しても無意味である。
「筋トレ」をしすぎているだけであり、何の楽しみもないし、あとで活用されることもない。
「手際のよさ」を求めすぎず、「学ぶ楽しさ」を重視することが必要。

・個別化よりも個性化を
➀個別化:量的差異、学習進度・到達度、早修
②個性化:質的差異、個に応じた内容、拡充

・内容を伴わない主体性の重視は「心でっかち」を生む
「学び方」や「主体性」「〇〇力」が重視され、その育成だけがフォーカスされている。
しかし、そのような能力は中身・内容を伴わないのであれば空虚になる。
これを打破するためには、「真性の課題」が必要となる。

・学級会で培った基盤が「創造的な一斉授業」に寄与する
特別活動はこれからの時代、ますます重要となる。
それが日本型の「全人教育」の肝である。
学級会で創られた対話的な集団が、練り上げ型の一斉授業に寄与する。

・主体的・対話的で深い学びと三項の関係
➀「対象世界」との深い学び
②「他者」との対話的な学び
③「自己」に向き合う主体的な学び

・「材(対象世界)」が魅力的なら必然的に学びがアクティブになる
材に食いつかせれば、材が子どもを導いてくれるので、委ねやすくなる。
教科本来の魅力の追求の先に、結果として学びがアクティブになる。

・三角関係を重視した授業
➀共同注視:子ども、教師(垂直)、対象世界
②共同責任:子ども、教師(水平)、対象世界
③学び超え:子ども(上)、教師、対象世界
 ※教師の「コーチング」「ファシリテーション」が重要となる。

・主体性のタキソノミー
➀表面的参加:受け身(外発的動機づけ)
②関心・意欲:積極性(内発的動機づけ)
③学習態度・自己調整:方略的工夫、試行錯誤
④学び超え:思考の習慣、関心の広がり
⑤自律:自分事の問いの深化、問いの生成
⑥人間的成熟:軸・思想の形成、視座の高まり
⑦自治・エージェンシー:社会関係、対象世界を創りかえる
 ※①~④教科、④~⑥総合、⑥⑦特活

・「ホンモノ」との真正の学び
➀ホンモノから学ぶ
②ホンモノへ学びを発信する
③ホンモノと共に学ぶ

・「教科の内容を学ぶ授業」から「教科する授業」へ
➀身の回りの世界の見え方や関わり方が変わる(眼鏡)
②その教科ならではのプロセスを共有する(教材研究を開く)

・真正の学びを創る視点
①ねらいの先に人間的成長へのねがいを見据える
②「知っている・できる」「わかる」「使える」レベルを意識する
③タテ関係でもヨコ関係でもない「ナナメ関係」を構築する
④知識の吸い上げ、協働と個の往還を重視する

・対象世界への「わたり」と現実世界への「もどり」
➀「もどり」がない単元構想→尻すぼみの構造
②「もどり」があり、真正な単元構想→末広がりの構造

・二重の媒介性:「ツール」を通して、「活動」をスムーズに行うことにより、「目標」を達成する ※目標を見失わないようにする。

・ツール活用の目標
➀無意識化 ②透明化 ③日常化

・子どもの活動を「動詞」で捉える
その教科ならではの「動詞」になっているか?
集める<調べる<深める

・AIドリルは「子ども任せ」になってしまう
教師の存在により、「応答性」と「双方向性」を実現する。

・個別化・個性化の4分類
➀教師主語×個別化:個別指導、完全習得学習
②教師主語×個性化:練り上げ、個やつまずきを生かす授業
③子ども主語×個別化:プログラム学習、自習室
④子ども主語×個性化:プロジェクト学習、自主ゼミ

・学びの「協同化」をICTが後押しする
「教師対子ども」「対象世界対子ども」という一方向の学びではなく、「子ども同士」という双方向の学びを重視する。
それをフレキシブルに実現できるのがICTの強みである。

・フレックスな学び
➀自習室的な学び:個人学習の協同化、ゆるやかな協働性
②自主ゼミ的な学び:プロジェクト的な学び、学び合い、自主トレ

・フレックスな学びの類型
➀自習する学び方学習:個別の学習計画×学び方のセット×自習×振り返り
②教わって自習して適用する授業:一斉授業(教え込み)+自習+活用問題
③学び合って総合する授業:一斉授業(練り上げ)+学び合い+活用問題
④真正でインクルーシブな学び:大きな課題×練り上げと協働×自主トレや自主ゼミ×学びの舞台 ※教科学習
⑤自律的に探究する学び:各人の問い×対話と問答×自主トレや自主ゼミ×学びの舞台 ※総合学習

・真正でインクルーシブな学び(履修主義と修得主義のバランス)
①主体的・対話的で深い学び→真正の学び
②個別最適な学び→インクルーシブな学び
 ※履修主義重視→伝統的な一斉授業
 ※修得主義重視→個別化された学び

・ゴールを点ではなく線にする
特定の知識・技能という点でゴールを考えるのではなく、よりメタ的で多様なアウトプットが可能な線でゴールを考える。

・教師の成長の次元
①スキル獲得
②セオリー理解
③コンピテンシー熟達化
④パースペクティブ編み直し
 ※技術的省察→実践的省察→批判的省察


以上が、書籍からの学びである。

これを読むことで、私がこれまで実践してきた授業を根本から問い直す必要性を感じた。

詳しい内容は今後の記事で述べていきたい。

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