#1843 叱る依存

今回は、村中直人氏の著書『「叱れば人は育つ」は幻想』からの学びを整理する。


・人はネガティブ感情に陥ったとき、脳の奥底の偏桃体における「防御システム」が活性化し、闘争・逃走反応を示す。※動物的な反射
 →脳の前頭前野の活動が押し下げられ、思考停止に陥る。何も学ばない。
 →同じことを繰り返す。

・叱る:叱られる人のネガティブ感情による反応を利用することで、相手を思い通りにコントロールしようとする行為

・人は「自分の苦しみを和らげてくれるもの」に依存する。
 →脳内のドーパミン(報酬系)回路が過剰に働く。

・人は「規律違反を犯した人を罰することで、脳内報酬系回路が活性化する」生き物である。※処罰欲求
 →叱っても、子どもは変わらない。
 →「叱る依存」に陥る。

・叱ることの効果:危機的な状況への介入効果 ※現在進行形のみ

・叱る側には「あるべき姿」「正義」がある。
 →どこから来たかわからない正義ではなく、「叱る人」を主語に戻す。
 →自分の中の「あるべき姿」を柔軟に多様にする。
 →叱ることが少なくなる。
 ※「ニューロダイバーシティ」を尊重する。

・前さばき:叱らないといけない状況を生み出さないようにする対処
 →「予測力」が重要となる。
 →「期待」や「不安」とすり替わらないようにする。
 ※大人の都合:過保護、子どものため:前さばき

・教師の役割:トラブルを起こしたときに、学びの機会に変え、「どうすればいいか」を自分で考えられるようにすること
 →状況を自分で解決していくための支援をする。

・子どもは、心理的安全性という土台ができている大人となら対話できる。

・不適切行動が起きる背景
➀未学習:まだ知らない、まだ身に付いていない
 →方法を説明し、身に付ける支援をする。
②誤学習:不適切な振る舞いを学習している
 →他の方法に置き換えさせる、適切行動のメリットを伝える。

・対立の種類
➀考え方 ②感情 ③利害
 →③についての共通部分に注目させる。
 ※共通の利益・目的・着地点
 →どうすれば「平和」に過ごせるかを話し合うようにする。

・子どもの「自己決定」を尊重すると、子どもに決定権を委ねることになるので、叱ることが減る。

・冒険モード:「自分がしたいからする」「自分で決めて取り組む」
 →他者からの強制により、人の冒険モードはオフになる。

・「相手」を変えるよりも、「自分」を変えた方が早い。

・苦痛や修羅場をどうリカバリーするか、どうすれば再起のチャンスが得られるかが重要である。苦痛や修羅場を味わうこと自体を神格化しない。

・「叱ること」「パワハラ」は組織学習される。

・フィードバックの二大柱
➀鏡に映すかのように、ありのままの現状を通知する
②相手がうまくできない部分を立て直していくのをサポートする
 ※人と人のコミュニケーションである。
 ※相手をコントロールしようとしない(叱るとの違い)。
 ※相手の「自己決定」を促す。

・フィードバックが「恐怖」になってしまうのは、過去によくない経験のイメージがあるから。
 →「変化」「成長」というフィードバックの目的を伝える。
 →自己防衛せずに、フィードバックを受け入れる相手側の態度も必要。

・叱る側が自分を俯瞰的にメタ認知する。 ※セルフアウェアネス
 →やり方がうまくいかないのならば、自分を変えていく。

・教師や親は「全てをわかっていなければならない」と思う必要はない。
 →叱るモードを弱めていく。
 →「ついてこい」ではなく、「納得解を探す」リーダーシップをとる。

・トップレベルを目指すなら、「叱る」ではなく、「主体的に考える力」の育成を重視する。

・上達の原動力:「もっとやりたい」という気持ち
 →「冒険モード」で人は学ぶが、「防御モード」では思考停止になる。

・活動中、試合中に指導者は口出しできないシステムにする。
 ※指導者は、子どもの変化を「早く見たい」生き物である。

・叱っている人が言う「あなたのために」は本質ではない。
 →「自分のために」「自分の欲求を満たすために」叱っている。

・「子どもを叱ってしまった自分を叱る」という「セルフ叱る依存」に注意する。→別の方法を考える。

・2つの我慢 ※①が重要
➀目的のための自発的な我慢
②他者から強要された我慢

・ほめて相手をコントロールしようとしない。
 →「価値観の共有」を意識する。
 →「感嘆」のリアクションをする。

・「価値観の共有」のポイント
➀意思決定権を相手に委ねていること
②アイメッセージで伝えること

・「定例会議」や「特別会議」でトラブルを未然防止する。

・文脈次第で人の能力の出方は変わる。
 →その人の能力が生かせる環境をデザインする。
 ※能力は環境依存的なものである。

・「三角形」の関係をつくる。
 ※自分と相手と第三者


以上が、書籍からの学びである。

特に現在、学級経営において「叱る」ことの意味を再認識している時期だったので、とても有意義な学びとなった。

学級経営や生徒指導にぜひとも生かしていきたい。


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