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nervous light of sunday 7'ep『自己放棄/abnegation』レビュー

どうもエロリンです。

nervous light of sundayのメンバーが運営するinstill recordsの新譜7インチ(2024.08.07リリース)販売ページにて、オフィシャル?レビューを担当させていただきました。
なかなかどうして力入りすぎな長文レビューになってしまったので、自分でも記事にして残しておこうと思います。

▼instill records販売ページ


東京大森産No.1エモくどいカオティックニュースクール【nervous light of sunday】の前作「連鎖反応」から3年ぶりとなるnew EP『自己放棄/abnegation』が完成!
英訳タイトルには往年のニュースクーラーもニッコリ。

今作は重心やや低めのシンプルなリフやリズムワークの割合多めな印象で、しかしそれがモッシュピットへの強烈な誘惑と同時に、次のパートや展開への期待感を増幅させるパブロフの犬よろしくな効果を生んでおり、総じてお馴染みなギター2本の絡み&ピロピロ高音&ピーピーハーモニクス&不協和音、狂気じみたドラマー殺しな壮絶すぎるキメの連打やブラストパートなどが際立つ結果に。
近年のライブでみられる、バンド側/フロア側の双方で暴動のように荒れる様が容易に想像できる絶妙なバランス感である。

nlosが結成20年の活動で築いてきた礎の上にそのようなパブロフ的な効果があると思うと、延々とアップデートを続けるバンドの尊さをも感じさせてくれる。
全編に漂う異様に張り詰めた緊張感も間違いなく彼らの伝統芸の一つであり、それがリード曲であるM2の”神降ろし”にて飛び出すサイレンのようなギターフレーズなどで顕著に表れている。
見る者によってはギョッとするような曲タイトル、日本語詞やコーラスも健在。
意味深で毒性の強い独特な言葉選びは鋭利さをより増しており、以前からみられるポエトリーパートにくわえて時おりダブルで重ねるなど、さらに表現力が増したボーカルにも注目したい。


前作と同じく2分前後と短尺の曲が並ぶが、大仰に展開しすぎない潔さも功を奏しており内容は濃厚そのもの。
いわゆるニュースクールハードコアにとどまらず、激情/Emo Violence/Skramzなどと接近するようなスリリングさもたまらない。
様々なエクストリームミュージックからのインプットは勿論のこと、古今東西、局地的/辺境的でアンダーレイテッドな存在のアーティストたちによる突拍子もないアイデアやチャレンジングな姿勢、アティチュードやスタンスにいたるまで感銘を受けている様をありありと感じとることができる。

よく彼らの代名詞のように「90's」といった言葉が散見されるが、ここにきて回帰というよりもオリジナリティの方が凌駕してきたように思う。
世間ではトレンドのような扱いの「90's」とある種の距離を感じられるのは、それこそ彼らが突き抜けている証左に他ならないだろう。
ここまでいうと正に前作超えのクオリティ、などと言いたくもなるが、前作も素晴らしいし今作も十分に素晴らしい。それに尽きる。
時代が追いついた、といった表現があるが、彼らの場合はタイムレスな魅力をまとって追い越してしまったというのが正しいのかもしれない。

フィジカルの7インチリリースというフォーマット、H8MONGER氏(Saigan Terror、Imperium Recodings)によるアートワークや映像コンテンツなど、そのすべてが音源としての価値をブーストさせており、500枚限定ということもあって是非モノでGETしたい逸品に仕上がった。

FFO:Turmoil, Adamantium, 初期Cave In, Torn Apart, Abnegation, Burst Of Silence, Unborn, Statement, Vigil, PG.99, Orchid, Neil Perry

Text by Erolin(Burning Sign, Nodaysoff, SMDcrew, Back Yard Zine & Records)


■nervous light of sunday
「自己放棄/abnegation」ep
7inch(500limited)

■収録曲
A1-境界
A2-神降ろし
B1-悪対善
B2-黒い情操

発売日 : 2024年8月7日(水)
レーベル : INSTILL RECORDS
規格品番 : INSTILL-004
価格 : 1,500円(without tax)

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