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寺嫁お京が寺嫁お京になるまでのお話

こんにちは、寺嫁お京です。

若坊守暮らし。
いろんな方との出逢いがあり面白く楽しく過ごしている中で、高確率で聞かれるのが
「どうやってお坊さんと出会ったの?」

これが、お寺でない者同士の結婚であれば「出会いは?」という個人への興味なのですが、お寺の方との結婚となると、不思議なものでお寺ありきの質問となる傾向があります。私もそうでしたw

夫との出逢い

私たち夫婦の出会いは、社会人のテニスサークルでした。
そのテニスサークルは、職業不問、年齢不問、性別不問、テニス経験不問で構成されていて、実に多様な人種が、ただ“テニスが好き”という気持ちだけで集まり、お互いの素性を知るのは数ヶ月後の飲み会等になります。
なので、夫と知り合った時も共通点は“テニス”のみでした。
初めて、夫の職業を知った時は
「へぇ〜、お坊さんもテニスするんだ〜」と、
概ね皆さんの感想と同じ意外性を伴ったものでした。

当時の私は、お坊さんって、世間から隔絶された特殊な存在で、欲を押し殺し悟りの境地へ向かい修行、苦行ばっかりしているものだと思っていました。
今思えば、自分が知り得たわずかな情報から作り上げていた“お坊さんはこうあるべき”というお坊さん像、個人的観念であり、意外性を抱いたのは他でもない自分の中の問題だったのですね。
夫も、我らと同じく、煩悩も持ち煩悩に苦しみ煩悩を解きほぐすためにはどうしたらいいか、を考える娑婆の人間でした。

お付き合いに至るまで

お付き合いの始まりは、「結婚を前提に」という前提条件ありの嘆願(告白)でした。
以下、お付き合い前の夫が口頭で私に伝えたものです。

・自分はお寺のお坊さんであり、次期住職であること。

・お寺の継承に関しては、世襲制度が主で将来的には子どもを持てるかどうかも問題としてあるが、仮にできなくても養子をとるという選択もできる。

・住居に関しては、いずれはお寺の敷地内の住居部分に住むことになる。

・基本的に仕事(看護師)を続けてほしいが、お寺にいる時は、法事の時のお茶だし、お彼岸や報恩講などの法要への参加をしてほしい。
しかし、お寺の仕事に関しては、これ以外のことで「こんなはずじゃなかった」と思わせてしまうようなことが生じる可能性もある。その場合は、小さなことでも自分に言ってもらえれば、善処する。

・つらつらと話をしたが、僕は純粋にあなたと一緒にいたい。

これを聞いた私。
「はぁぁぁ〜〜〜〜〜。」(感心の意を込めて)

人生経験上、こんな嘆願(告白)を受けたのは初めてで夫の人となりが伝わってきたのですが、なんせ自分の人生にお寺の人とお付き合いや結婚があることは全くの想定外だったこと、
話の通り「お寺」とそれに付随するetcが付いてくる、ことが前提だったもので、1週間ほど返事に時間をいただきました。

最終的には、夫個人の人柄としては申し分なく(上からw)、一生親友のように語り合うことができるだろうという青写真は描けていたこと、
お寺の諸問題に関しては、当時の私としては未知の領域で判断材料もなかったので、「善処する」という言葉を守ってくれるだろうということを胸に置き、嘆願を受理しました。
このように結婚における夫の完璧なリスクマネジメントを通して、私自身も「こんなはずじゃなかった」と思う前に、苦情窓口である夫に何でも相談し、5年経った今でも、諸問題に関して全力で善処してくれており、リスク回避できているのではないでしょうか。

同居する?別居する?

皆さんのイメージ通り、結婚前にはもちろん住居をどうするか、という話になります。
私たちのお寺は、先代は祖父母世代になり、父母はお寺を継いでいないのでお寺の住居には祖母が住んでいます。そこに私たちが一緒に住むのかどうか、で検討に入りました。

私としては、看護師もしており生活リズムも全く異なる得体のしれない女と祖母の年齢で人生や生活を確立している者同士が急に一緒に住めるのか?という漠然とした不安(9割)があるということ、
あとは素直に新婚だし2人で過ごす時間も欲しいということは告げ、祖母との協議は直接的には行わず、全て夫に介してもらっていました。

最終的には、祖母の「同居はしなくて良い」の言葉で、お寺まで徒歩1分の近居から通勤する形を取れました。
祖母自身も同居の自信がないようなことをおっしゃっていたのと、父母も「近居」をすすめてくれていたようです。
結果、祖母とは程よい関係性を保てているのですが、近居による物理的な距離を確保することでお互い遠慮なく生活し休息もとれていることは理由の一つなのかもしれません。

結婚のための条件

お寺によっては「得度」(僧侶の資格を取ること)をすることが条件のお寺さんもあるようですが、自坊では
「取りたくなればおいおい取ったらいいよ」
というスタンスで、条件はありませんでした。
華道や茶道、書道や着付けなどの条件もなく、ただお寺を夫と一緒に守っていけるかどうかを重要視されていたようです。
後日、祖母から「お寺を共に守るための嫁の資質」を聞いたのですが…

「住職(夫)のことをどれだけ好きか」

だそうです。

この「好き」には言葉以上の意味がありそうで、なんじゃいかんじゃいありながら生涯かけて理解していくのでしょうね。

ちなみにこちら↓の記事で紹介している本には、色んなパターンの寺嫁さんの体験談が載っていますので是非ご覧になってください🎵


最後までお読みくださり、ありがとうございます。

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