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【保護者・保育士の為の一歩一歩】

小さなことでも一歩一歩改善していく。そう思って取り組んでいる数多くの中の一つが、昨日前進しました。

それは「保育園の使用済みおむつの持ち帰りをなくす」件。昨日、厚労省から通知が発出され、保護者が家に持ち帰るのではなく、園での破棄を推奨する旨が自治体に対し伝えられたのです。

一部の保育園から使用済みのおむつを保護者が持ち帰っていること、皆さんご存知でしょうか。
かなり減少したとはいえ、いまだ多くの保育園で使用済みのおむつを親に持ち帰らせる慣行が続いています。
秋田県内では園での破棄をしているところがほとんどであったため、ご存知ない方も多いかと思いますが、お隣の岩手県をはじめ約4割の自治体において、公立保育施設から保育中に使ったおむつを個別に保護者に持ち帰らせていることが団体の調べでわかりました。
この問題に私が気づいたのは、昨年春、長らく本件に取り組んできた「おむつの持ち帰りをなくす会」の皆さんからご相談を受けたのがきっかけです。
園での持ち帰りは保護者の大きな負担となっていること、
重い、臭い、子どもを連れて歩くだけで大変なのに荷物がかさばって大変、
帰りにスーパーに寄ることができない(排泄物を持って食品を扱うお店に立ち入るのは衛生面で気が引ける)、
園での破棄をしているところもあるのに自分のところはどうして?
でも子どもを預かってもらっている手前保護者としては園に要望しづらい、などのご意見を伺いました。

保育士側も、使用済みのおむつを子ども毎に分けて保管しお迎えの時に個別に間違えずに渡す手間が大変との声も。

そのような声が保護者、保育士双方からあるにも関わらず、いまだ持ち帰りが続いている理由を自治体に聞くと、
・昔からそうしていたから。特に理由はない。
・体調確認のため
・ゴミの回収業者が来るまで衛生的に保管しておける方法や場所がない。
などというもの。

なくす会によれば、「昔からそうしていたから」というのは持ち帰ることが必然であった布おむつ時代の慣例が残っているだけであること、体調確認に関しては、よほどのことがない限りおむつの排泄物を帰宅後に開いてみる人はいないこと(どうしても必要と感じられた時は写真だけお迎えの時に見せてもらうことで代用できる)、また、持ち帰りをさせるために、保育園側にも、園児ごとのゴミ箱を用意し、そこに袋をかけて、毎日間違えないようにお迎えの際に個別に保護者に渡し、ゴミ箱を消毒するなどの作業が生じており、園破棄を進めることで保育士の業務負担軽減にもつながると報告書をまとめられていました。

そのようなことから、厚労省から各自治体に園で破棄にするよう通知を出してくれないだろうか、とのご相談でした。
私自身は持ち帰りを経験しなかったものの、もっともな要望だと感じ、どのように物事を進めるべきなのかを団体の皆さんとともに考え、担当省庁である厚労省にも問い合わせ、先輩議員に相談しながら働きかけを進めておりました。

正直なところ、厚労省の担当部局の反応は当初は芳しくありませんでした。
「それは各自の自治体や園で実情に合わせて決めることですから・・・」と、他のことでは口出しをする厚労省ですが、本件には関心が薄いことが感じられました。

それでは政治側に働きかけようと、当時少子化担当大臣をされていた野田大臣に署名をお渡しできないか思案しましたが、大臣の交代などもあり仕切り直しに。その後、夫を通して同郷の御法川議員に間に立っていただき、ようやく所管官庁の大臣である加藤厚生労働大臣への署名の手交が叶うこととなりました。

大臣が多忙な中、議員会館で15分の時間を頂いての面会。
おそらく担当の課から今までの経緯と、私たちが今まで受けていた「各自治体で決めることだから」との対応を聞いているだろうから、よい反応は期待できないもしれないー。
そう半ば諦めの気持ちも抱いていたのですが、まさかの正反対。
なくす会の皆さんと共に大臣に署名をお渡しした際には、大臣ご自身もおむつの持ち帰りをしていたことなどに触れ、園破棄にした場合の費用負担などまずは調査をしたいとお話しされていました。今回の通知と参考資料によれば、この要望の翌月である10月には調査が行われており、大臣の強い意気込みが感じられます。大臣の指示のもと、迅速に検討が進められていたことが読み取れます。

そして昨日の通知に繋がりました。

長らくこの問題に取り組んできた「おむつの持ち帰りをなくす会」の皆さんの努力(署名活動と共に、全国の全自治体に独自で実態調査を行なっていました)、同僚議員である伊藤孝恵さんからの「全国調査をしてみたらどうか」とのアドバイス、夫や同郷の与党議員のサポート等、多くの想いとお力添えを頂いて動いたことの結実がこの通知でした。
当事者以外には伝わりにくい細かく具体的な案件ではありましたが、このような一つひとつの不具合の改善も、大きく構造的な子育て支援と共に取り組んでいく必要があると考えています。

厚労省からの通知が出て、私の仕事が終わりではないとも思っています。
県内で唯一、「公立保育施設からの持ち帰りあり」と団体の調査に回答していた仙北市は、自らも持ち帰りの当事者としてこの件に取り組んでおられた澤田ありょう議員の議会質問やその後の働きかけにより、昨年から園破棄への変更が進められてきました。
今回の通知の発出を契機として、自治体議員の皆さんや、自治体の長の皆さんに園破棄の必要性を訴え、変更していただけるように、通知を携え、働きかけを続けていきたいと思います。


写真は、大臣要請の時もの。
昨日本会議の帰りにすれ違い、大臣に直接お礼を申し述べる機会がありましたが、写真を撮る余裕はありませんでした。。