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【「子育て罰」をなくしたい】

寺田静

コロナ禍で「お持ち帰り」が馴染んだ世の中ではありますが、これはかなり昔から疎まれている「お持ち帰り」の件について。

皆さん、保育園で子どもがした「うんち」や「おしっこ」がふくまれた使用済みのおむつを保育園で処分せず、毎日保護者が持ち帰らなければならない地域があることをご存知でしょうか。

有り難いことに、私の息子がお世話になった園ではおむつの持ち帰りがなかったので、相談を受けるまであまり意識していませんでした。しかし、少し想像してみれば子どものうんちやおしっこを含んだおむつは意外と重く、1日で使用される紙おむつの総量は相当のもので、その重いおむつをその他の荷物に加えて毎日持ち帰らなければならない負担は大きいものです。匂いも気になります。自転車や徒歩で送迎する親にとっては、おむつを持ったまま帰りにスーパーにも寄れず、園に二人の子どもを通わせようものなら、大量のおむつを毎日持ち帰ることになり、かなりの負担です。これではまるで「小さな子を保育園に預けながら働くことへの罰のようだ」との声を聞き、今まで知らずにいたことの反省も込めて、全国で持ち帰りがなくなるよう県内外の自治体の方への働きかけをしておりました。

そして先日、かねてから使用済みおむつの持ち帰り廃止を求める「保育園からおむつの持ち帰りをなくす会」の皆さんと共に、加藤勝信・厚生労働大臣にお時間を頂き、要望書を提出させていただきました。

2022年2月に「なくす会」が実施した全国調査では、いまだ約4割の自治体において、公立保育施設から保護者が使用済みおむつを持ち帰っていることが明らかになりました。
おむつを持ち帰らせる自治体が挙げる理由の一つが、「子どもの健康状態を保護者に知ってもらうため」というもの。ですが、持ち帰ったおむつを広げて確認する保護者はほとんどいませんし、余程のことがない限りそこから得られる情報はほぼありません。子どもの健康状態が不安であれば、園の先生にお話を聞く方が有益でしょう。また、感染症の専門家によると、使用済みおむつを複数の人の手に渡らせることは、感染対策の点からみれば望ましくないと言います。そして、持ち帰らせる保育園側の負担も相当です。一人一人のおむつを分別し保管し、間違わないように一纏めにして親に渡したり、子どもの人数分ある数十個のゴミ箱を消毒したりする作業は、ただでさえ多忙な保育士にとって負担となっています。

大臣が来られる前に話し合った厚労省の担当者からは、保育園からの話として「保護者から廃止してほしいとの声も聞かない」とも。しかし、自分の子どもを預けて面倒をみてもらっている保護者の立場からすれば、「園で処分してほしい」と保育園側に言いづらいことは明らかです。

厚労省にこの苦労が理解されるのか、コロナ対策を始め膨大な所管業務がある加藤厚生労働大臣が、この一見些細な問題をどのように受け止められるだろうかと不安でしたが、大臣は開口一番、「うちも持ち帰っていたから分かるよ。臭いんだよね。おむつ一つひとつに名前も書かなきゃいけないし。(地元)岡山は車だからまあいいけど、東京の人はどうやってやってるんだろと思ってた。(体調確認と言っても)おむつ開けてみる人いないよね、中にはいるのかもしれないけど」と。
失礼ながら、子育てにあまり関わってこなかったかもしれない世代の男性である大臣にどうご理解いただくかと「なくす会」の皆さんと密かに頭を悩ませていたのですが、ご自身の子育てでおむつの持ち帰りをされていたということで、こちらから申し上げるまでもなく、「布おむつの時代からの慣習なんだろうね」とも仰っていて、「皆さんがおっしゃるところは共有する。今後実態の調査をする」旨のお話をいただきました。
園で処分するにせよ、処分費用負担をどうするか、さまざまな課題が想像されるとのことでしたが、この問題意識を大臣と共有できたことは改善の第一歩となったと思います。

東京23区では、現状持ち帰りをさせている公立の保育園はないとのこと。
それは多くの保護者からの声で自治体が動いたことがきっかけだったそうです。
問題に気づく、それを声に出す、そして改善につながる、その連鎖がこれからも広がっていくよう努力を重ねたいと思います。
「なくす会」の調査に対し、秋田県内唯一「持ち帰りあり」と回答していた仙北市も、持ち帰りを止める方向で前向きに検討していただいているとのこと。
厚労省から全国一律使用済みおむつの持ち帰りをなくす方向での通知を出していただけるように訴え続けると共に、あらゆる機会を活かして持ち帰りありの自治体への働きかけをさらに続けていきたいと思います。

It takes a village to raise a child.
子どもを育てるには村が必要だ、というイギリスのことわざ。
些細なことに見えますが、おむつの持ち帰りという「子育て罰」のような慣習が続いている日本の子育て世代の負担を少しでも軽くできるよう、問題意識を同じくする皆さんと共にこれからも努力して参ります。

写真は大臣への要望書の提出と、重さを実感してもらうように用意した使用済み「風」おむつ1日分。大臣からは「こんなに多かったっけ」との感想も。