互いに素である場合だけで十分

フェルマーの最終定理の証明を記述した多くの著書においてよくでてくる

$${{\bf x,y}}$$が互いに素であれば・・・

ということについて、一瞬わかったような気になるものの、ちゃんと理解していない気もするので、以下でよく考えてみる。

$$
\begin{align*}
x^n+y^n=z^n\\
\end{align*}
$$

を満たす整数の組$${(n,x,y,z)}$$が存在するとしたときに、$${(x,y,z)}$$の公約数$${d}$$を用いれば、$${x^n+y^n=z^n}$$を

$$
\begin{align*}
(\frac{x}{d})^n+(\frac{y}{d})^n=(\frac{z}{d})^n\\
\end{align*}
$$

と書きなおすことができる。
$${x/d,y/d,z/d}$$もまた自然数の組となる。
$${d}$$として最大公約数をとれば、$${x/d,y/d,z/d}$$は互いに素となる。

(*最大公約数とはすべての公約数を約数に持つ公約数のことであって、公約数のうち最大のものであるという意味ではない。今Wikiみて知った)

逆から考えると

$$
\begin{align*}
(\frac{x}{d})^n+(\frac{y}{d})^n=(\frac{z}{d})^n\\
\end{align*}
$$

が成り立たなければ

$$
\begin{align*}
x^n+y^n=z^n\\
\end{align*}
$$

も成り立つはずがないのである。こうやってみると当たり前なのだけど・・
したがって、

$$
\begin{align*}
x^n+y^n=z^n\\
\end{align*}
$$

の成否を考えるときには$${(x,y,z)}$$が互いに素である場合を考えれば十分なのである。

以下もう少し踏み込んでみる。

$$
\begin{align*}
x^n+y^n=z^n\\
\end{align*}
$$

に戻って、高々2つの整数$${x,y}$$が互いに素であるとするなら、$${z}$$がいかなる場合においても3つの整数$${x,y,z}$$の公約数は1以外にないため、$${x,y,z}$$は互いに素となる。

すなわち2つの整数$${ x,y}$$が互いに素であるならば3つの整数$${x,y,z}$$は互いに素である。

よって、結局


$${ x^n+y^n=z^n}$$を満たす整数の組$${(n,x,y,z)}$$が存在するかどうかを知るためには、 $${(x,y)}$$が互いに素である場合において、$${x^n+y^n=z^n}$$を満たす自然数の組$${(n,x,y,z)}$$が存在するかどうかが知れれば十分である。


おわり



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