1095日の生き様 ⑯~敗北と地獄~

すみません、しばらくぶりでした。なんだかんだで16話、そろそろ1年生シリーズ最終回も近づいてまいりました。

では続きをどうぞ。

連戦連勝 常勝軍団

さて、入学から陸上トレーニングの紹介、氷上練習の紹介も加わりハードな日々を過ごしてきましたが、ちょうど今の時期くらいになると落ち葉が目立ち日没も早くなり、イコール陸トレのコース(足元)が見えなくなり危険なので後半は全力で走れなくて仕方ない、という何となくな雰囲気が漂い始めます。

ですのでこの秋の匂い、空気感、ツンとする感じが未だに大好きです。笑

初大会(清水町杯)で初めての遠征、バスの中で寝てはいけないルールに白目で耐え抜き、その後の市内大会も含めさすが当時の駒澤高校、常勝軍団。無難に全大会連勝を重ねます。

そう、全道大会までは・・・

1年生は3名ほどしかベンチに入れなく、私は赤いジャージと赤いスタジャン(小川健太さんのおさがり)を着て、雑用と声出しに精を出します。

遠征、大会に持って行くものと言えば防具ではなく各種テープとハサミ!

先輩!シンスプリントのテーピングは、わたくしめにお任せください!

と言わんばかりに専門の方から直伝された一級テーピングが私のごますり武器でした。笑

試合では「一年、声途切らせんなやオリャー!」なんて先輩方に言われ、常に誰かの「がんばぁぁっいす!」が聞こえていないといけない決まりを必死に守ってる間に試合が終わってました。

今回の全道大会も我々が「がんばぁぁっいす!」と必死に言ってる間に先輩達は当たり前に勝つんだろうなと、駒澤の負けなんて見たことなかった自分はベンチ外なのもありすっかり他人事でした。

まさかの敗北

準決勝で緑ヶ丘(現:武修館 釧路)と当たり延長に入りドキドキ見ていたものの、駒澤が負けるはずはないと、最終的には勝つんだと勝手に見切っていました。

開始早々、自ゾンのフェイスオフから一発で引かれ元王子DFの今尾さんがトップサークル辺りから放ったシュートが無残にもGK肩口を射抜き、決勝ゴール。

初の敗北となりました。

リンクサイドで見ていましたが一瞬にして目の前が真っ白です。

先輩方もこの敗北により、その後の練習に恐怖していた(むしろ試合にも出てない我々をビビらせるような言い方)ので瞬時にそのヤバイ事態に1年生ながら気が付きました。

あぁ、俺、やっと夏乗り越えたと思ったけど、冬で死ぬんだな。

そう確信しました。

監督の不在

この後、先生(監督)は選手達だけに任せます。

「おまえらだけでやってみろ!」練習には乗らず、顔も出しません。

一見、諦めて投げ捨てているような行為ですが正確にはコソッと選手達の取り組みを影から見守っているような監督でした。

私は監督がいないのなら

「おっしゃー!パス練習だ!パワープレーだ!システムだ!」と
行くもんだとばかり思っていました。

しかしそこはあくまでも駒澤高校IH部

パック無し!1時間半ダッシュを3年生自ら選択し、むしろ先生帰ってきてよ・・・と思わざるを得ない練習メニューでコッタコタになります。

パックのありがたみがわかるだろ!
これが決め台詞でした。

た、たしかに…。
まぁスケート選手じゃなくアイスホッケー選手なのでパックを触りたいのは当たり前の事ですけど…。笑

ハイランドの製氷のおじさんが怒ったこともあります。
ラインダッシュのし過ぎでラインの両サイドが削れすぎてザンボニーをかけるまえに必ずジョーロで足し水をして、フェンスについた雪の山を雪掻きで落としてから製氷、いい加減にしてくださいと怒ってました。笑

こうして、インターハイまで氷上練習1時間半ダッシュ+陸トレも暗くなろうが夏場の勢いで追い込みが始まります。

ジェットM.S

そんな中、とある日の陸トレでした。

その日は雪?雨?で体育館で陸トレでした。

怪我をしていた、とある2年生の先輩

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現RedBullアイスクロス選手でもある、この方です。

我々が体育館のフロアを走っている時に一人でジェットヒーターの修理をしていました。

車が好きだったり、機械に強かったり、業者に頼むくらいなら自分で学んで自分で直す!という性格は当時からのものです。

体育館フロアから見える2階のウェイトスペースで一人でせっせとジェットヒーターの整備をしていました。(念のために言っておきますが高校2年生です笑)

我々は何十往復もして、くたばる寸前。
1年生は座って休むなんてもっての外、手はヒザに付けれない、休めの体勢+オジキ状態で足元のフロアを見ながら「ぜえぜえ」と呼吸するしかありません。

その時

一瞬フロアが明るくなったような気がしました。

ん?と、顔を上げると

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ジェットヒーターから吹き出す強火炎
M先輩を飲み込みほどの勢いで吹き出ていました。

火事だぁぁぁあああ!!

そう思った瞬間でした、

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M先輩は隣に準備していた消火器を躊躇なく噴射!!

プシャーーーーーー

画像3

今度は白煙に飲み込まれるM先輩・・・

それと同時に飛沫している消火剤で呼吸ができない状態に・・・
皆、急いで体育館外へ避難。

M先輩は苦笑いで立ち尽くしますが、無事に消火した模様。

空気中はまだ消火剤が飛沫
フロアは粉まみれ

どうすんの陸トレ。

3年生「オーイ!1年!大至急、全員モップ持て!!」
1年生「ハイッ!!」
3年生「先生来るまでに隅々までキレイにしろ!!」
1年生「ハイッ!!」

なんとその日は清掃作業で一日無事に生き延びることができ、
1年生皆、M先輩を神と拝んだ日でした。

それにしてもジェットヒーターの整備といい、万が一の備えといい、高校2年生とは思えない行動でビックリです。

敗北から地獄の日々が続きましたが、こうしたトラブルによるレストも入れながらチームワークを鍛えインターハイに向けてチーム力を強化していきました。

(?)


さて今回はここまで。
次回は感動のインターハイとその前夜について。

油っこい3年生達が最後の夜に見せた優しさと有終の美について書きたいと思います。

ではこの辺で。

てらを

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