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休校中の子どもたちが起こしたムーブメント。時代錯誤な SNS に“インターネット”を感じた

足掛け6年ハックフォープレイをやってきましたが、こんなことが起きたのは初めてで、こんな時どんな顔をしたらいいか分からない開発者です。

前回の note でハックフォープレイにおける「パクリ問題」について書きました。実はその最中、当のハックフォープレイで大きな進展があったようです。進展というより、大きな"うねり"と言ったほうがいいかも知れない。「オリリンピック」というスポーツを題材にしたステージを作って公開するユーザー参加型企画が、僕らの知らない内に始まっていたのです。

前置きしておくと、運営側は全くノータッチです。むしろ2日くらい経ってようやく気がつきました(笑)。一体どのようにしてムーブメントが起きたのか、(一部、想像も含みますが)経緯をまとめます。どうやらキッカケはこのステージだったようです。

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鉄道パークRさんは、前回のフェスで彗星の如く現れたクリエイターです。いつもアイデアが斬新で面白く、GW のハックフォープレイ実況@home でもほぼ毎日のように作品を投稿してくれていました。実はこのステージが、ゲームではなく、作品の投稿を呼びかけるようなメッセージだったのです。

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特筆すべきは、彼がただ声の大きいだけのユーザーでは無かったということです。彼はこの前日に、実際に「オリリンピック」企画の最初のステージを自ら投稿していました。

しかも、そのステージが「マップエディタを使って国旗を表現する」という斬新なもので、思わず僕がツイートしてしまうくらい面白かったのです。

表現の制約が大きいハックフォープレイならではの面白さですね。

この企画に最初に乗っかったのが sirotan さんでした。この方もとてもセンスのあるクリエイターで、いつもマップの作り込みがすごいです。sirotan さん最初の「オリリンピック」ステージはこんなプロローグから始まります。

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このリアルな感じが、なんとも僕のツボでした。ツンデレかよ!と(笑)

この背景(マップ)のオリンピック風のマーク、わざわざ同じのを作ってるってことですからね。背景はコピペできないので。微妙な重なり方も含めて再現しているこの拘りよう。やっぱりツンデレか!

このあともどんどん賛同者が増え、毎日のように「オリリンピック」作品が増えていきます。全部は紹介しきれませんが、いくつか紹介します。

コイキングさん投稿の「オリリンピッククライミング」。キャラクターを常に上向きにすることで、床を壁のように見せています。たまに横向くけど笑

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次にマリマリオさん投稿の「オリリンピック ラグビー」。相手を引きつけてからフェイントをかけて一気に走り抜けるのがコツ。爽快です。

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そして猫をかいたい人さんの「オリリンピック卓球女子シングルス」。CPUがいる対戦ゲームはハックフォープレイでは珍しい。シンプルに落とし込んだところがいいですね。その代わり、ギャラリーなど細部に拘っています。

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いつの間にか人気のステージも「オリリンピック」一色になりました。

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ステージが増えてくると、ネタかぶりも増えてきます。なんてことを見越して、競技の一覧をわざわざ作ってくれる方も出てきたり・・・

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ついに YouTube にのりました!なんていう「速報」も。良かったね!

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しかも、最初に始めた鉄道パークRさんは「5月24日にオリリンピックを終了します」という宣言も出しています。ムーブメントを盛り上げるために敢えて終了日を決めているのだとしたら、かなりのやり手ですね。


一人のユーザーがこれほど多くのユーザーに直接影響を与えたというのは、興味深いことです。そこには、アイデアをくれた相手に対するリスペクトがハッキリと見て取れます。

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↑こんな風にステージで会話をしている


実を言うと、僕たちはハックフォープレイから敢えてソーシャル要素を取り除いていました。リアルタイム性(チャット)は入れない。ユーザー同士が好き放題何かを言い合える場は作らない。画像や動画をアップロードすることもできない。ないないづくしのサービスですが、こうやって作品を使って子どもたちがコミュニケーションを計っているところを見るとハックフォープレイも実は SNS だったと言うことに気づかされます。

SNS よりはむしろ「掲示板」に近いかも知れません。つい最近までは新しいステージを見るためにユーザーが F5 連打する光景も見られました(流石にそれはもう自動更新に直しましたが)。時代錯誤な UI になってしまう原因は開発者の力不足も大いにあるため美談にするつもりはありません。

白状すると、今のハックフォープレイの「不自由なコミュニケーション」の様子を僕は面白いと思ってしまいました。そこに”インターネット”を感じたのです。これまでも「文化が〜」とか言ってきましたが、文化と呼ばれるものが芽生えようとしていることを初めて実感させてくれる出来事でした。

これからユーザーが増えるに従って、誹謗中傷やすれ違いなども発生するでしょう。僕たちがどれだけ制限しようとも、過去の多くのサービスが辿ってきた運命から完全に逃れることはおそらく出来ません。今の僕たちに出来ることは、今の内に少しでも歴史から学んでおくことなのでしょうね。

最後にちょっと宣伝です。2020/05/22 (金) に、新しい企画を始めることにしました。ハックフォープレイを始めたばかりの「かけだしクリエイター」を応援するライブ配信です。『ハックフォープレイの上手いユーザーが知見を共有すればユーザー同士で学び合えるのではないか?』という仮説から生まれた企画で、実況プレイしたりコメントでアドバイスを募ったりします。かけだしと言っても自分の作品を公開している方たちなので、アドバイスのしがいがあると思います。

初回放送をぜひお見逃しなく。




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