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森高千里『ララ サンシャイン』歌詞分析1


自粛が続く日々の中で、このままではいけない、なんとかしてこの気持ちが塞ぎ込みがちな日々を乗り越えたいと思う事が多々ある。でも、そんな時どう頑張っていいかは分からない。

そんな日々の中で森高千里の『ララ サンシャイン』を聴いたのだが、頑張り方の正解はここにあった。

僕が就活生の頃、どうにも気持ちが落ち込んでいた時によくこの曲を聴いて元気を貰っていたのだが、当時はその理由が分からずにいた。それから1年近く経過して、その理由をようやく発見した。

この『ララ サンシャイン』の歌詞の魅力とは、単に「頑張ろう!」というのではなく、どう頑張れば良いのか、その具体的な頑張り方まで教えてくれる事にあるのではないだろうか?


その頑張り方を森高は歌詞の中で、「前向きな思考」、それを支える「行動」、そして「休息」の3つの観点で僕らに提示してくれる。


まずは1つ目の「前向きな思考」に注目して歌詞を追いかけてみる。

イヤな事ばかりあるけど 泣いてばかりはいられない
イヤな事の後にはいい事があるはずきっと
(注1)

辛い事があったとしても、引きずっていてはいけない。きっとこの先に良い事があるはずで、そのためのイヤな事なのだと気持ちの切り替え方を提示している事が分かる。


ララサンシャイン ララサンシャイン ララサン 今日も頑張ろう
明日の為の大切な今日だから 今朝は
(注2)

ここのフレーズは強烈だ。いきなり確信を突いてくるようだ。明日を元気一杯で迎えるためには、まずこの今日を立て直していかなくてはいけない。サラッとサビでこのフレーズが歌われているが、立ち止まって考えてみると改めて凄い歌詞だと思う。イヤな事があったのは昨日なのに、既にこの時点で明日の事を考え始めている。「今日」から「明日」へと視野を広げて考えていく前向きな姿勢は凄い。その視野はますます拡大していく。


眠そうな顔してるけど さあ出掛けよう
人生には負けたくない
(注3)


最初は「今日」だったのが、サビで「明日」になり、今度は「人生」になる。そう、たった1日のちっぽけかもしれない「イヤな事」は確かに嫌な事かもしれないが、それは人生という長い目で見ればこれからもきっとこういった事は起こってくるだろう。その度にクヨクヨしていられないよという気の持ちようをここでは教えてくれる。また、前向きさの中にもちょっぴりした厳しさがあるのも良い。

ララサンシャイン ララサンシャイン ララサン 眩しい太陽
たまには歯をくいしばり生きてみよう 今朝は
(注4)

さっきまでの優しさはどこに行った?と思ってしまうくらいここでは厳しさが如実に表れてくる。たまには嫌な事にもしっかりと向き合う必要があるよというように、「アメとムチ」でいう「ムチ」がここでは繰り出される。と思いきや、「アメ」もすかさず差し出される。

悔しい気持ちもう忘れて ポジティブにいこう
物は考えようだね
(注5)

これまで色々と気の持ちようを教えてくれた訳だが、ここでは簡潔にその結論が提示されている。そう、何事も考えようで、自分自身がそれをどう捉えるかで全ては変わってくる。そして、あくまで考え方のベースはポジティブに。これが『ララ サンシャイン 』の歌詞を通じて提示される「前向きな思考」だ。

続いて、「前向きな思考」を支える「行動」に注目してみる。


ララサンシャイン ララサンシャイン ララサン 爽やかな朝
あんなに泣いた夜がウソみたいね
ララサンシャイン ララサンシャイン ララサン 今日が始まる
涙もかれた ほら朝だ 朝だ 起きよう
(注6)


外はすっかり晴れ渡っていて、爽やかな朝になっている。せっかくの良い天気なんだから、いつまでも気持ちを引きずっていては勿体無い。まずは1日を始めるためにちゃんと起きるところから始めていこうという事が分かる。

眩しい朝の日差し浴びて 朝食にしよう
泣くのはもうごめんだよ
(注7)

1日を始めていくためには、当然エネルギーは欠かせない。何を始めるにしても、まずは朝食をしっかりと摂ってエネルギーを蓄えていく事。ここでは頑張るための基礎が提示されていると言って良いだろう。

ここまで見ても、具体的過ぎるくらいに頑張り方を僕らに提示している事が分かる。だが、森高はここで止まらない。ここからは最後の観点である「休息」を見ていく。

寝不足だから辛いけれど 夕方までは頑張ろう
明日は土曜日お昼までゆっくり眠れるわ
(注8)

ララサンシャイン ララサンシャイン ララサン シャキッとするね
明日は休み そう遊ぼ 遊ぼ 復活だ
(注9)

そう、この『ララ サンシャイン』の最大の魅力は「頑張ろう」というメッセージソングの中で、あえて「休息」を取り入れてくる事にある。

前者の歌詞であればおそらく金曜日を描いているのだろう。眠たいけど、夕方まではグッと堪えようと頑張る目安を決める。後者であれば、明日は休みだから、そこでストレスを発散させようと自分にご褒美をあげるかのようだ。

これまで分析してきたように、前向きに、時には少し辛かったとしても明日の自分のために頑張る事も必要になってくる。
だが、前向きな気持ちで頑張っていたとしてもいつかは限界が来てしまう。闇雲に頑張るのではなく、具体的にどこまで頑張るのかという目標やここまでは頑張ったのだから自分にご褒美をあげるといった「休息」もしっかり挟み込んでいるのだ。

頑張る時は前向きな気持ちで頑張るで良いのだけど、休む時はしっかりと休む。このメリハリをつけた頑張りこそ、この『ララサンシャイン』が描き出す頑張り方のお手本なのだ。

ついつい在宅勤務で自分を追い込んでしまいがちなこの日々の中でこそ、頑張る時とそうでない時のメリハリをつける事を森高千里の『ララサンシャイン』が教えてくれた。

また、今回改めて気が付いたのは森高の書く歌詞はストレートで非常に分かりやすいんだけど、立ち止まって考えてみると分かりやすさの中に彼女自身のポジティブな思考が読み取れて面白かった事。この『ララ サンシャイン』に限らず、他の歌詞もこの機会に再読してみようと思う。


注釈
注1 森高千里『ララサンシャイン 』 作詞 森高千里
注2 同上
注3 同上
注4 同上
注5 同上
注6 同上
注7 同上
注8 同上
注9 同上

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