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第三回志村ゼミ原稿

テーマ図

 第59期名人戦A級リーグ2位決定戦(●岡部 ー ○神谷)

図1

序盤の変化

図2

aの前例

図3

cの前例

図4

bの変化

図5

b'の前例

図6

テーマ図の敗着について

 テーマ図の決定的な敗着は黒19だ。白20から始まる寄せを牽制できず、そのまま詰まされてしまった。(図7)

図7

それでは、この黒19を通すためにはどうすれば良かったのだろうか。結論から言えば、黒15でF8に三を引いてから形を組むのが良かった。(図8)

図8

 先にF8と三を引くことが、白の詰み筋とどう関係しているのか。それを確認するために三を引いた場合も引かなかった場合を比較してみる。(図9、10)

図9
図10

比較すれば分かると思うが、三を引くと黒29で四三を打てるため手番が逆転する。実はこの剣先を作るだけで白の上辺での詰みは消失する。こういった剣先で牽制するための三引きは時々出てくる手筋のような気がする。
 黒15でF8の三引きを入れて、白は上辺での詰みが無くなったわけだが、この後の展開としては大人しく下辺を受けるような展開になると考えられる。(図11)

図11

おまけ

 剣先で牽制するための三引きの手筋について、他にもサンプルを知っているので紹介したい。

基本図

図12

 これは名残月共通7題目の黒13で変化した局面だが、このとき、白14ではD7の三引きを入れてI6に打つ手がある。単に白14でI6と打つとそのまま黒に詰まされてしまうため、剣先を作って牽制するためにD7の三引きを入れる必要がある。今回も三を引いた場合と引かなかった場合を比較する。(図13、14)

図13
図14

図13はなぜ詰まされ、図14はなぜ受かるのか、それは白14で作った剣先がギリギリの受けを果たすからだ。(図15、16)

図15
図16

図15は受けがなく詰まされるが、図16は白24の四伸びで黒3・13の連を切れるためギリギリ受かる。
 このような剣先で牽制するための三引きのサンプルを集めてみるのも面白いかもしれない。

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