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アメリカの田舎のアイスクリームスタンドはやけにメニューの選択肢が多い

選択肢の多い文化との最初の出会い

私が小学生だった1970年代、初めて地元スーパーの地下食料品売り場にサーティーワンアイスクリーム風の店舗ができた。それまではパン菓子屋の冷凍庫で売られていたカップ入りのデリカというラクトアイスやメロン型容器に入ったメロンシャーベット、あるいはデパートの食堂で金属のホルダーに支えられて出てくるバニラソフトクリームしか食べた経験が無かったので、ディッシャーで盛られた色とりどりの濃厚アイスクリームを店先で立ち食いする文化がやってきた時は子供心に実にワクワクした。姉がリコリスという真っ黒なアイスクリームにトライして大笑いしながら食べたりもした。いくつか試した後、私のお気に入りはラムレーズンアイスクリームに落ち着き、以降はそればかり食べていたと思う。

31と銘打ったブランドでなくてもアイスクリーム屋の選択肢は多かった

アメリカに引越して来た90年代はショッピングモールが隆盛でサーティーワンアイスクリームの母体であるバスキンロビンスというチェーン店をよく見かけた。けれども2000年代に入ってからなぜかモール自体が廃れていき、今住んでいる地方ではシャッター街になったり取り壊されてしまったモールもある。そういう時代の流れに沿ってチェーンのアイスクリーム店は撤退したけれどアイスクリーム好きのアメリカ人が居なく無くなったわけではない。過疎気味の小さなコミュニティにも季節営業のレトロなアイスクリームスタンドが開いていたりする。そして毎度驚かされるのは小屋のような店舗のサイズに不釣り合いなメニューの選択肢の多さだ。冒頭の写真はかき氷のメニューなのだが、なぜか「グラニースミスアップル」と、リンゴの品種まで限定したフレーバーが出ている。グラニースミスはアップルパイなどに使う酸っぱめの緑色のリンゴの品種だ。ブルーベリー、キウィなどのフルーツ名と一緒にロックンロールとかタイガーズブラッドとかの味が想像しにくいフレーバーが一応アルファベット順に並んでいる。この夏訪れたアイスクリームスタンドの中で断トツにカラフルで読みにくいと思われたのは以前にも紹介したこのメニュー表だ。メニューもぎっしりなのにガラスに貼られたハートのシールもぎっしりなのでぜんぜんよく見えない。ここにもタイガーズブラッドが出ているのでアメリカ人には馴染みのフレーバーなのかもしれない。

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更なる異文化の重複でメニューがより複雑に

だがつい最近旅行中に立ち寄ったメキシコ風アイスクリームの店で、前者に匹敵するカラフルで不可解なメニューに出会った。まず、私がメキシコに行ったことがなく、メキシコ風のアイスクリームに馴染みがないのも要因だが、キュウリのシャーベットやらマリービスケットの入ったアイスクリームなど、本当に美味しいの?と疑問がわく、そして追い打ちをかけるようにトッピングとしてカウンターにホットチリソースが置いてあり、それがアイスクリームにかけるものなのか食べ物にかけるためにあるのかもわからなくなってくる。

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こちらは棒アイスのメニュー。

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スペシャルティーズ、特別メニューと銘打ってある看板は飲み物とスナック類とアイスクリームデザートが混在し、アルファベット順というわけでもない。

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冒頭のかき氷のメニューのようにテープで切り貼りして手書き修正されているわけでもでなく、綺麗に印刷されているし、フォントも読みやすそうなのに、色がこれでもか!これでもか!とでもいうようにやたらカラフルで目がチカチカして、コンテンツがなかなか脳に認識されない感覚が不思議でならなかった。