見出し画像

オンコートレクチャー2022 #1~#3 ガッカリしないコーチングメソッド(感想)

 オンコートレクチャーの実践報告です。3回のうち最初の1回をプレ的に行い、残りの2回はバレーボール女子日本代表ストレングスコーチの柴田さんをお招きして、TETSUと柴田さんとのコラボで練習会を構成しました。
 3回とも対象は中学女子1~2年生。それぞれ4チームずつの参加とし、大人個人での参加も可能としました。
 コンセプトは、「ガッカリしないコーチング」。選手も指導者も目の前で起こることにいちいち悲観的になったりガッカリするようなリアクションをもたず、それ以外で発揮できる思考をみんなで探究したかったです。
 参加してくれた中学生からの感想をご紹介します。

#1 プレ・オンコートレクチャー(1月9日)

画像1

〔主な内容〕
・講師はTETSU1名
・午前中3時間弱の練習
・中学女子(1~2年)4チーム、および指導者個人参加
・WーUP、オーバーハンドパス(セット)、ブロック、ゲーム交流

〔感想や振り返り〕
〇今までと違うような練習で普段では教えてもらっていないような基礎的なポイントなどを知ることができたので、自分にとっていい情報を得ることができた良い機会になったと思いました。
〇オーバーハンドのセットの基本を学んで、自分はどんなところが苦手なのかに気付くことができた。ブロックのときの肩甲骨や体の力の入れ方など普段よりも全体を使って動くことができたので良かった。
〇いろんなチームのいろんな人を見ることができてよかったと思いました。周りにいた先生方から的確なアドバイスをもらえてよかったです。そのおかげで少しは成長できたかなと思います。
〇いつもやっていることを掘り下げて練習できたのはいい経験になったと思いました。自分のできないことを質問してその場でアドバイスいただけたことは貴重だと思うので嬉しかったです。それと同時に、できていないことの多さがわかり、練習が足りないと思う日でもありました。
〇いつも言われている形というポイントではなく、タイミングや止まること、音や感触などの刺激を変えて気を付けてみることで、前よりもオーバーパスができそうな気がしました。ブロックも話を聞いてからはすごくやりやすかったと思いました。
〇オーバーパスとブロックについて詳しく学び、両方ともコツやポイントを説明してもらったうえで練習をするととても上達したと思います。普段の練習でも意識して取り組んで上手くなりたいと思いました。
〇4チームで試合はやったことはあったけど、合同の練習はしたことがなかったので、新鮮でおもしろかったし、他の学校のプレーとかをしっかり時間をとって見ることができたから良い勉強になったし、もっとがんばらなきゃいけないなと思いました。
〇バレーボールをやる上で大切なことを学べた。今年度中は試合に出ることはできないけど、自分だったら・・・ということを考えながら練習に取り組むことができた。先生方は、私たちに指導するとき少し違うことを言うこともあるかもしれないから、混乱せず、どっちの方が自分には合っていそうかを考えることも大事だということも学んだ。

〔参考になったこと・参加してよかったこと〕
〇オーバーハンドのセットやブロックなどの基礎的なことや、ブロックのタイミングやコースなどの重要なことなどのポイントをくわしく教えてもらったので、参考になりました。
〇ブロック練習のとき、今まではボールばかり見ていたが、セットの行方が判断できたらボール以上に相手スパイカーも見えていることの大切さがわかった。パスやセットするときには、まずは足をしっかり止めてからボールをあげること。
〇オーバーハンドのセットの基本をもう一度やり直して自分のできていないところとくせなどを直すことができたので、参加してよかったと思いました。ずっとブロックのタイミングは考えたこともなかったので、スパイカーをみることでタイミングもつかめることが理解できたのでよかったです。
〇ロングパスとショートパスの練習について質問し、まずは高く上げる練習をしようと思ったので、これを目標にやっていきます。参加したことで、本当に少し成長できた気分になれましたし、頭の中では理解できたので、普段の練習で実践したいと思いました。
〇私はオーバーハンドパスが苦手でいつもパス練習するときに、ミスを連発してしまって相手の子にすごく申し訳ないと感じていたけど、自分が上手く取れないと思ったら1回中断して、またやり直していいとうことが分かって、苦手意識が軽くなりました。
〇オーバーハンドのセットでは、手、足、ボールのセットのタイミングというのがすごくわかりやすくて、この事を意識してオーバーパスをしたら自分でもわかるくらいオーバーハンドのセットが上達したと思ったので、とても参考になりました。ブロックでは、スパイカーの動きを見たり、ボールの「ベクトル」を見立ててブロックするということを知り、普段の練習で取り組んでいきたいと思いました。
〇ブロックはいつもただ上に高くとんだだけだったけど、相手スパイカーのタイミングを見たり、腕ののばし方などに注意したりと、1つの動作にもたくさんのポイントがあるんだなと思いました。明日から実践していきたいです。
〇ブロック練習では、直接ボールにタッチすることはできなくても、相手スパイカーにプレッシャーをかける、などのことがわかった。今まで感じていた「どうしてこれをやるのだろうか?」というころが解決できたので、とてもよい日になりました。

画像6

#2 オンコートレクチャー(1月15日)~TETSUと柴田さんのコラボ

画像2

〔主な内容〕
・講師はTETSU、柴田氏の2名で分担
・午後約4時間弱の練習
・中学女子(1~2年)4チーム、および指導者個人参加
・WーUP(柴田氏が全体)、オーバーハンドパス(セット)(TETSUが全体)2チームずつに分けて(柴田氏:トレーニング、TETSU:チームのニーズ練習)×入替えで、ゲーム交流(適宜個別に柴田氏に質問・相談)

〔感想や振り返り〕
〇柴さんから、家でできるようなトレーニング法やマッサージなども教わり、実際にトップ選手もやっていることが知れてとても勉強になりました。また、今までは「自分から聞く」ということに消極的になっていたのですが、分からないことや知りたいことは「どんどん聞く」ことを大切にしていきたいと感じました。自分に合うサーブの打ち方や感触を見つけたり、さらに強化したいと思うところをこれからの練習で身に付けていきたいです。
〇4時間という時間があっという間で、得たものや上達したところはたくさんありましたし、ものすごく成長してるなと感じることができた練習でした。いつも同じ先生方から教わるのとは違って、新しい発見や新しいバレーへの向き合い方などを学ぶことができて、とっても貴重な時間となりました。改めて「バレーボールの本当の楽しさ」というところを知ることができました。
〇激しい厳しい練習メニューではなかったけど、とても充実感のある時間だった。学んだオーバーのポイントを意識して練習に取り組んだ。今までとは違う感覚に意識を向けて練習すると新たな発見があることを学ぶことができた。
〇とても楽しくできたし、いい機会になった。教えてもらったことを忘れずに生かしていきたい。ゲームの時に、説明があった「思い切りやっていい」というゲームの仕方はいいと思ったし、仲間に声をかける大切さがわかった。
〇合同練習をする前の部活ではうまくできなかったことが多かったが、合同練習が終わってからの部活では特にオーバーハンドパスがうまくなったと思います。体幹を保つためのストレッチなども学ぶことができたので、部活前や部活後、家でも続けていきたいです。
〇今回の練習会では、とにかく楽しんで練習することができました。普段の部活とは違い、大切なことを覚えつつも、バレーボールというスポーツの深い部分を知りながら練習することができたと思います。
〇いろいろなストレッチの方法や練習のコツを知ることができたのでよかったです。ボールを見ながら相手コートの方を見たり、瞬時に状況を判断したりする、周辺の見方も大切だと聞き、興味深かったです。練習を終えて、バレーボールの技術も大事だけど、ケガをしないことや睡眠もとても大切だと改めて思いました。
〇いつも教えてくださっている自分の中学校の先生だけでなく、いろいろな人から教えてもらったから、視野が広がってさまざまな意見を吸収できたと思いました。先に自分が何かできないかを見つけるように努力したので少し動作の改善ができました。

〔参考になったこと・参加してよかったこと〕
〇今までは、オーバーハンドのセットに苦手意識をもっていたり、試合ではミスをしたら後悔が残ってしまったりなど、自分でも気づかないうちにネガティブに物事をとらえていることに気付くことができました。最後のゲームでは、レセプションが上手くできなかった時にアドバイスと声をかけていただき、その直後にキレイにあげることができたことが心に残っています。これからは仲間の声かけも大切にし、ポジティブにとらえることを忘れないようにしたいです。
〇シバさんに足首のストレッチを教えてもらえたのがよかった。プロの選手の話も聞けたので学べることが多くあった。目の話など、プレーの細かい場所を意識すると良いとわかったので参考になった。
〇ストレッチのを最近、家でちゃんとやり始めていた頃なので、柴さんのストレッチの方法を知れてとてもためになった。日本代表の人もやっているから、自分もやってみたいと思った。自分はオーバーハンドパスがあまり上手じゃなく悩んでいたので、練習して上達できたように思う。
〇オーバーハンドパスがとても苦手だったけれど、タイミングをとるポイントや体の動きに注意や工夫をすることで、ボールが飛ばせる感じが出てきたのでよかった。
〇習って本当に良かったと思うことが2点あって、1つ目はシバさんのストレッチです。いろいろなストレッチがバレーにおいてのさまざまなものにつながることを知りとても参考になりました。2つ目はオーバーハンドパスです。今までやってきたことと違うアドバイスでびっくりしましたが、ポイントをおさえてやるだけでこんなに変われるんだなと実感しました。
〇柴さんから、さまざまなストレッチを教えていただき、人間の筋肉ってこうすれば伸びるのか、とたくさん気付くことができました。また、柴さんの「筋肉や体幹がないのではなく、使い方を知らないだけ」という言葉が個人的にはすごく心に響きました。ただやみくもに筋トレをしたり体幹トレーニングをしたりするのではなく、一つ一つの動作において、どこの筋肉をどのように使えばよいか、ということを意識するだけで、その動作の効果が変わるのかなと感じました。そして、他校の人たちの練習やプレーを見ることができ、自分も参考にできる部分が多かったので、とても良い機会になりました。
〇毎回スパイクを打つときに肩が痛くなってしまって腕が上がらなかったけど、ストレッチの仕方を学んでスパイクを打っても肩が痛くなくなりました。なので練習前に必ずやるようにしたいと思います。ありがとうございました。
〇今回の練習では、スパイクを打つときの腕の引かれるイメージが特に参考になりました。今までは腕だけで引こうとしていて、上手に引けなかったけど、上半身の動きを意識することで腕が引かれていくようなイメージをつかむことができて動きやすかったです。しばさんありがとうございました。

画像4

#3 オンコートレクチャー(1月16日)~TETSUと柴田さんのコラボ

画像3

〔主な内容〕
・講師はTETSU、柴田氏の2名で分担
・午後約4時間弱の練習
・中学女子(1~2年)4チーム、および指導者個人参加
・WーUP(柴田氏が全体)、レセプション(TETSUが全体)2チームずつに分けて(柴田氏:トレーニング、TETSU:チームのニーズ練習)×入替えで、ゲーム交流(適宜個別に柴田氏に質問・相談)

〔感想や振り返り〕
〇今回はストレッチを中心に体を動かしてみて、ストレッチをすることでスパイクなど方の動きがしやすくと感じた。また、今までミーティングをするとき周りの人の意見を聞く側だったが、これからは自分から意見を言っていくことでチームの動きがよりよくなると気づくことができた。
〇たくさんのことを学ぶことができました。中でも特に印象深かったのは、レセプション(アンダーハンドパス)とストレッチです。レセプションでは、とる位置はどこでも良いという条件で、いざレセプションをしてみると、真正面じゃなくても側面でも「ピタっ」と止まれば予想以上にセッターの方向へ返せたり、逆に動きにくい向きが分かったりと驚くことが多かったです。ストレッチでは、脚がぐねぐねになって痛そうだったり、どこに効果があるおか見てるだけだと分からないものでも、その後に動いてみると可動域が広がってびっくりしました。
〇今回はアンダーハンドパスやレセプションをやって、6つの大切なことがわかりました。シバさんの極秘マッサージを教えていただいたので、これから家でお風呂上がりのあとやってみたいと思います。体が硬いなりに頑張ったし勉強になりました。
〇レセプションはすごく苦手意識をもっていたので、今回のアドバイスによって、セッターにとっていいボールがあげることができるようになると思いました。また、ミーティングでもただ取組を振り返るだけでなく、課題に対して的確な改善策を見つけたりすることが大切だなと思いました。また、ストレッチをかなり細かくすることによって、体の動きがよかったかな思いました。
〇普段の部活では、心を鬼にしてチーム全体に何かを指摘したり注意したりしているけれど、今回は張りつめた状態でバレーに触れるのではなく、肩の力を抜いてバレーを楽しむことができたので、とても有意義な時間を過ごすことができました。また、いつも以上に集中して教わったことを吸収しようと努力しました。そして次の日からの練習では、実際に教わったとを実践し、より高みを目指すことができています。
〇想像していた練習は、どんどんボールを使って厳しく激しく練習するのかと思っていました。実際はオリンピックでも指導されたストレングスコーチのシバさんがわざわざ札幌まで来てもらい、体のケアのことについて教えてもらえて楽しかったです。最初は恥ずかしかったけど、どんどん楽しくなって恥ずかしがらずに取り組むことができました。ありがとうございました。

〔参考になったこと・参加してよかったこと〕
〇ミーティングの方法で、具体的なことまで出さないとミーティングにはならないということに納得しました。いつも、大まかな目標を立てても、そのために何をしたらいいのかまで考えていないから練習中にその目標を覚えていることはほぼないなと改めて思いました。
〇いつもレセプションで、移動して真正面に入ってボールを取ろうとすると、足が交差してしまうことが多々あり、そのたびに転んだりしていました。しかし、構えるタイミング、真正面にこだわりすぎない、止まるタイミングを意識することが大切で、それらを心がけると転ぶことも少なくなったし、安定してセッターの方向に返せるようになりました。ありがとうございます。
〇ミーティングの参加の仕方をもっと改めようと思いました。レセプションのコツがとても参考になりました。自分がどこのポジションになったときにでも活用したいと思います。ゲストの方にもたくさん来ていただいたので参加してよかったです。
〇日本代表チームのトレーナであるしばさんのストレッチは、私にもできて、普段のスキマ時間や、練習時、家でもできるものがあってこれからも参考にしたいと思いました。今までは、ミーティングもただ良かったところ、良くなかったところを言っていただけで・・・ミーティングの意味がなかったと思ったし、これからは課題を解決するために、しっかりと解決策を考えていきたいと思いました。
〇私はリベロをやることが多くて、アンダー基本的に練習することが多いんで、オーバーの練習は苦手としていて、自主練のときも避けてきました。けれど今回の練習ではオーバーへの苦手意識はなくなりました。自分はいつも高くボールをあげれず、低く平行っぽいボーになってしまい悩んでいました。しかし今回の練習でポイントをこころがけると上手くボールを出すことができました。こうやって短時間で成長を感じることができてうれしかったです。

画像5

結びに(まとめ・総括)

(1)指導者は一人で抱え込まない
 特にアンダーカテゴリーの指導者は、チームを1人で指揮することが珍しくありません。その際、技術指導(コーチ)だけでなく、トレーナー、マネージャー・・・なども兼ねている場合が多く、現実問題、一人ですべての要素で専門性を発揮することは困難です。残念なことに、このことに起因してて、「専門性」がないままの選手への指導やアプローチがなされることが多いです。特にフィジカルやメディカルなどのトレーニングやケアについては、謝った認識でなされていることもしばしばです。
 これからは、「一人で指揮する」のではなく、いろんな力を借りて、いろんな人の眼で、スタッフもチームを構成して、指導にあたることが選手やチームの利益に直結するのではないでしょうか?

(2)価値あるものには対価を。受益者負担(特に大人)
 「ぜひうちにも指導しにきてください」、「資料をください」・・・何気に会話の中でやりとりがなされがちす。しかし、第一線で活躍されている方や専門性を身に付けておられる方から発信されるもの・・・情報などの知的財産やノウハウは、そこに至るまでに膨大な時間と費用、努力と労力を費やしているものです。私たちは、それをタダで手に入れようとする風土が続く限りは、スポーツ界にあるバレーボール界にある、価値あるリソースがいつまでも価値にはならず、それぞれの分野でより良いプロダクトがなされにくいままになってしまいます。
 今回柴田氏を招くにあたっては、参加者から参加費をお願いし、氏の交通費などの諸経費にあてました。

・・・その他、
(3)トップカテゴリ―とアンダーカテゴリーとの接続と系統性
(4)「教え魔」からの脱却
(5)「教わり魔」からの脱却
(6)指導者の学びと指導のアップデート


など、今回のオンコートレクチャーであつかったトピックがあるのですが、そのお話はまた今度お伝え出来たらと思います。

最後に、新年早々、真冬・厳冬の北海道札幌にわざわざお越しいただいた、柴田トレーナーに改めて感謝申し上げます。例年にないくらいの札幌の積雪を溶かすような、アツい情熱とエネルギッシュなレクチャー大変刺激になりました。ありがとうございました。

(2022年)