かれーのにおいで感じる小さな幸せ

昨日は家でカレーを作った。日曜日には酒を控えて週始めの月曜日に備えようという思いから、最近たまに取り入れているメニューである。

カレーを食べるとなぜ酒量が減るのか?とあなたは言うかしれない。いや言わないだろう。単純に米で腹一杯になるのでそんなに飲めないということである。

酒量を減らすためといいながらこんなことを言うのもあれだが、カレーのスパイスがなんだかいい感じに酒を分解してくれるような気がするのもカレーの良いところである。

カレーと一口に言っても様々な種類がある。僕の作るカレーは、塩とカレー粉の量だけは決めてあとはその日の雰囲気で適当に肉と野菜とスパイスをぶち込むというかなりラフというかワイルドというかずぼらなものである。こんな作り方でも毎回しっかりうまいので、カレーは偉大である。

今思い出したが、最後に投入する予定だったガラムマサラを入れ忘れている。それでも問題なくうまかった。

これだけ褒めちぎったカレーにも難点が一つだけある。それは、次の日に部屋がインディな、ガンダーラなスメルで満たされることである。

換気をしてから匂いの元っぽいものを密閉してゴミに出してもまだうっすらとインディラで、そうするとなんだが洗濯物も臭っているような気がしてくる。

というかもう部屋というより、自分自身がうっすらインディアカなんじゃないかという気になってくる。

これはあれだ。満員電車のスメハラ問題と似ている!

満員電車では、好むと好まざるとに関わらず隣の人と密着しなければいけない。となると、当然隣の人の発する音やら匂いやらにストレスを感じることもでてくるわけである。特にきついのはおじさま方の匂いで、これ誰か漏らしてません?みたいなことにもなり得るのである。

そんなとき、最初はその匂いに唖然とし、息を止めたり、心を殺したりして対処するわけだが、少し時間が経って匂いに慣れてくるとふとした瞬間にある疑念にとらわれることになる。

あれ、これもしかして俺の匂い?

最近は酒を飲んだあとにそのまま寝てしまうと次の日の部屋の匂いにがなかなかなことになっているので、可能性はなくはない。また、ここだけの話し、お腹は緩めなので何かの手違いが起きてしまうということもなくはないだろう。それに、新しく電車に入ってきたひとが俺の前でしかめっ面をしている!

とこんなことをつらつら考えているうちに目的の駅につく。そして、一通り自分のにおいを点検してみて、致命的な体臭でないことを確認してほっとする。

その瞬間の「ほっ」はなかなか悪くなく、太巻きの端っこを食べたときくらいの幸福感がある。無料で太巻きの端っこである。とても経済的だ。

ピンチを乗り越えることで、幸せを感じられるというのは、人間の喜ばしい特徴なのだろう。

これからもカレーと加齢の匂いで小さな幸せを感じられる自分でありたい。

お後がよろしいようで…



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