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なながつ

僕は、僕はルッキズムが蔓延しているあの界隈のことがうっすらと嫌いで、一方でうっすらと羨ましいと思っていた。眠りにつく直前の午前10時に揺れていた隣の家の風鈴は午前11時30分に史上最悪の夢にうなされて起きたときにもクリンクリンと音を立てていて結局のところ僕は、僕は風になりたかった。線香花火がほんの8秒くらいで終わった時、僕たちも所詮線香花火と一緒で直ぐに終わっちゃうような関係なのだなと思いました。もしくは、マリオカートの風船バトル残り19秒で残基ゼロで死んで、半分の2ポイントになってしまった時と同じで、もういくら頑張っても制限時間内に4ポイントには戻せないのと同じで、同じで。僕は、僕は雨になんてなりたくなんてなかった。鳥にも、海にもなりたくなかった。夏になりたかった。しかも僕は、雨でも鳥でも海でもなかった。さらにいえば僕は、夏になれるわけでもなかった。君に花の名前のひとつでも教えられたら良かったけど僕は教えてもらったばっかりで教えてもらったのは勿忘草ではなくてトルコキキョウだったけどそれでも良かったのに雨の匂いがしてまた嫌になった。蝉の泣く声が焦燥感を煽りもう陽は見えないのに明るい空に暗い未来を重ねて絶望して、夏。なながつももう終わる。

二〇二四年七月二十二日
ニュージーンズ2周年と私21歳おめでとうございました。

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