短歌・どこかへいきたい
死にたいというより、ここじゃないどこかへいきたい。消えてなくなりたい。
消えたいけど、消えられない。
それならいっそ一生懸命に生きたいと思う。
うっかりと飛び立ちそうな日々君が文鎮となり朝ここにいる
掌の豆腐を賽の目切りするたびにかちりと指輪が泣くことの意味
懐で髪を梳かれる二十四のわたしの中でずるいと泣く子
重さとはあたたかさだと胸に抱く君のあたまに夜ごと教わる
憶えなどない青春を追思して服に着られることすら妬む
身分証よりも年齢確認にはしゃぐ心が証する年端
幸せなふたりの先しか見通さない罪でIKEAに無期禁固刑
とりかえしつかない道も君とならひとまず一緒に歩いてみたい
厭わしい反面教師の面影に思わず鏡を拳で殴る
両親に愛され育った記憶はもうこの人生では手に入らない
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