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私大文系息子の就活④

前回の➂からの続きになります。就活もそろそろ山場。
今ぐらいの時期には、内定辞退者による欠員募集的な穴場案件が、巡ってくる事が少なからずあります。
まだ就活継続中の方は、情報のアンテナを張り巡らせ、どうか最後まで希望を失くさず頑張って下さいね。
己の事がよく分からないばかりに、就活で苦労した息子を振り返りつつ、私なりの気付きを書きたいと思います。


自己分析の難しさ

息子だけに限らず『これがしたい』とか『これが好き』という事が特になく、自分の何を語ればいいのか悩む方も多いと思います。
息子曰く、一般的な大学生が、大学外で経験するであろうと思われる事がほぼ欠落していると。
私からすれば、ただのないものねだりだと軽く聞き流していました。

ですが、当の息子にとっては死活問題で、自分という人物が何をしてきて、これから何をしようとしているのか等、メモに書いては消すを何度も繰り返し、箇条書きにしても文章にならず、自分への苛立ちと今更取り返しようもない過去を呪う様な、精神的に不安定な日が続きました。
就活のワークシートを活用しても自分を納得させるだけの答えは得られず、事態の深刻さは増すばかりでした。

息子は幼い頃から、家庭事情や親の目を気にして自分の願望や感情を出せずに蓋をしてきたきらいがあり、この度の就職活動に大きな影を落としたのではないかと。
子育て中に選択する自由や喜びを得る機会を、存分に持たせてやれなかった事が原因なのかと思うと、母親としての未熟さや自責の念にかられました。

こんな息子の個性を活かせる企業を果たして見つけだせるだろうかと。
就活放棄宣言する息子を諭すだけで精一杯だった私は、これ以上は無理と判断。既に親のサポート範囲を超え、お手上げ状態でした。
自己分析が進まないばかりに、時間だけが容赦なく流れていきました。

標準規格外を活かすには

良い意味で学力のみ平均値以上で、標準的な学生像からズレているばかりに、中堅規模の企業には敬遠されて落とされてしまう。
かといって、大企業を狙いにいくと、学歴フィルターやESは通過できても、尖った個性が邪魔になり、扱いにくいと敬遠され落とされてしまいます。

要するに、全てにおいて偏りが少なくて平均点以上であれば、企業は入社後の懸念材料が減り、すんなりと社風に溶け込んで従順に勤務してくれる学生だと安心する、というのが企業の本音なのでしょうか・・・。

このままいつまでも足踏みをしている訳にはいかず、思い切って就活のプロに相談してみようと、初めて就活塾を訪ねました。
日頃から感じていた行き詰まりや、困りごとへのアドバイスを受け、疑問点等が少し解消され役立つ情報を沢山頂きました。

商売とはいえ、親身に状況を聞いて頂けただけでも心が軽くなり、担当者の方からは、まだまだ勝算はあるからと勇気付けられ、どれほど心強かった事でしょうか。
孤独な就活をしていると、冷静に自分の軌道修正が出来ずに力技で突っ走ってしまい、同じところで躓きがちです。
自分を客観視して方向性を示唆してくれるメンター的な存在は、今時の就活にこそ必要だなぁと強く感じます。

入塾には簡単な常識問題等のテストがあり、クリアーできたので入塾許可を得ました。就活うつ状態も考慮して息子のサポートを引き受けて下さるとの事で、親子共に腹を括りました。

自己分析に尽きる

企業選びや職業選択の前に、先ずは自分自身を知る事が大切ですよと言われ、ヤッパリ間違ってなかったと、私は答え合わせをしている思いでした。

自分と向き合う作業に時間を割かずに就活を始めてしまうと、必ずどこかで無理が生じ、うまく進めないという結論です。

ワークシートを活用しながら塾担当者に指導頂く中、ようやく息子も腹落ちして気持ちの整理ができ、自己探求の旅が終わりに近づいていきました。

自分の事って一番分かっているようで、やっぱりよく分からない。
一見遠回りをした様ですが、これまでの苦労が嘘の様にスムーズに進み、親の私は何より安心でき、お任せして本当に良かったです。
結構なお金は掛かりましたが、タイトなスケジュール内で無駄を省きつつ、悔いのない就活ができたので感謝しています。

就職活動するにあたっては、何はさておき一番大事なのは自己分析です。
己を知る者が己を制するとは、よくできた言葉だなぁとつくづく思います。
又、頼れる先は沢山あるに越したことはないと、改めて思います。

初めての内々定獲得

次に2次面接へと進んだ企業では、面接官が同じ大学出身者というラッキーな事も含め、息子を好意的に見て頂けた側面もあるとは思いますが、最終面接にもすんなり進め、2つの企業での失敗を糧に、初めて内々定を頂く事ができました\(^o^)/

就活の進め方に、これが正解という王道はあるかもしれませんが、普通の大学生とは少し違う感覚を持った息子が、就活塾での指導の甲斐あって、自分にしかない泉を掘り続け、自分のウリを活かしたアプローチを試みることで、就活への取り組む姿勢に良い変化が表れていきました。

企業との出会いは運?

5月後半頃になると、新卒募集はかなり少人数枠で、留学生や帰国子女等の時期をずらして応募する方向けといった採用状況が印象的で、掲載されている企業の数自体が少なく感じました。

内々定承諾書の提出を保険にして一安心した息子は、息を吹き替えしたかの様にみるみる元気になっていきました。
自分を受け入れて貰えた喜びから、ほんの少し自信を取り戻せたようです。

もう少し労働環境や福利厚生面で、より条件が良い企業へ挑戦してみようかと意欲が出てきた6月上旬。

最終的には1社しか入社できない訳で、自分の希望する企業に決まらなければ、先に内々定を貰えた所に行けばと気が楽になった途端、息子の体調も徐々に回復していきました。

この内々定を貰った企業を知ってから、現在の職場となる企業を知るきっかけになりました。
この時期・このタイミングで、こんなチャンスあるの?っていう位、何とも不思議な感じでしたが、息子には願ってもない好条件で、いわゆるホワイト企業との思いがけない出会いが巡ってきました。

高級な壺を売る

グローバル展開されている企業で、狭き門だと認識しつつも、息子の希望や英語力が将来活かせるかもと応募。
思いの外、一次・二次面接と順調に進み、面接の話の流れから、総合職の文系採用枠でありながら、営業職を探しているのではない事に気付きました。

企業側の求めている人物が、いかに自分が適しているかを売り込まないといけないのですが・・・明らか営業職に適正がない息子にとっては願ってもない話で、これを逃すわけにはいかないと!!
入念に面接練習を重ね、多少の圧迫面接にもぶれない志望理由を固め、会社内でどのような立ち位置になったとしても、ここで活躍したいとの情熱を心に秘めて最終面接に臨みました。

息子曰く『アルバイトやサークル活動をしてこなかった中身の入っていない、TOEIC915点や成績優秀等の箔だけが付いた高級な壺(=息子)を必死に売り込む様な感じだった』と。自分の就活をネーミングしてくれてましたが、なかなかうまいこと言うなあと、関西人じゃなくてもウケますね(笑)

企業選びはマッチング

最終面接の合格通知は、面接が済んでから一週間後に電話があり、7月上旬、無事就職活動にピリオドを打つことができました。

先に内々定を頂いた企業へのお詫びと深謝を伝えると、人事採用者の方から「入社後のミスマッチが避けられてよかったです」と。温かい言葉を息子に掛けてくださり、ご迷惑をかけてしまったと思いながらも、益々のご繁栄をと願わずにはいられませんでした。

就職活動って、企業と自分の相性というか、まさにお見合いなんですね。

留学せずに取得したTOEIC915点のスコアを、正当な評価として扱って頂き、息子のストイックな性分を受け入れてくださった現在勤務している会社の面接官の方々には感謝の思いでいっぱいです。

中身のない高級な壺が、これからどんな壺に変身していくのか、こわごわですが、遠くから見守っていきたいと思います。

息子の現在 

配属先は本社内の経理部門で、予想通り営業と違い安心しました(;^ω^)
勤務して3か月余りになりますが、片道80分通勤に耐えられず、会社から徒歩15分弱の位置にある賃貸物件を探してきた息子の心境の変化にびっくりしました。

当初は秋頃にと言ってましたが、自分の意志で独り暮らしを決め、6月末には不動産屋と契約し、7月8日には引越しを済ませました。
引越前後の片付けは、全て私にお任せ押し付けモード。その点はまだまだ自立する気配はなく、note投稿に大幅な遅れが出てしまいました。

最後に

自分の希望する企業への入社を勝ち取り、令和5年3月に大学を卒業し、晴れて4月3日に無事入社できました。
入社直前まで続けた近所の蕎麦屋でのアルバイト経験を通し、少しは調理の腕もあがった事でしょう。
子育て最後の大仕事と、息子の新生活がスタートした今、心底ほっとしている私がいます。

末筆ながら、就活生皆さんのご健闘を心から願っております。
現在イチ主婦でしかない私の経験が、就活生の親御さん等、どなたかの参考になれば幸いです。
ここまで4回に分け、長文にお付き合い頂きました事を感謝すると共に、
『いいね』で応援して頂いた方に、この場を借りてお礼申し上げます。
本当にありがとうございましたm(_ _)m



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