見出し画像

シンプルで不思議な造作バスの使用感

ずっとまとめたいなぁと思って文章は書いていたのに、なかなか写真を撮るタイミングがなくてズルズル遅くなってしまったお風呂のお話です。
建築士Kさんからも「こんなお風呂は初めてです」と言われた、ちょっと変わった造作バスに仕上がっておりますので、造作バスを検討中の方に少しでもお役に立てばと思っています。

造作バスのシンプルだけど不思議な形のお風呂

まずはお風呂の位置から。

玄関入ったら左手側の奥。洗面所スペースの反対側という位置取り。この辺のレイアウトは

  • 外から帰ってきたら上着などはファミリーロッカーの中へ

  • そのまま奥に行って手を洗ったり、すぐに洗い場に直行できるレイアウト

  • お風呂で脱いだり濡れたりしたものをすぐに洗濯機・乾燥機に出せること

  • 洗い終わったらすぐ横にあるファミリーロッカーへ仕舞う

というように、生活動線や家事動線を踏まえて「なるべく移動距離が少ないこと」と「洗濯物のホコリや汚れをなるべく上層階に持ち込まないこと」を想定しています。
朝も夜も着替えはこの1階ファミリーロッカーや洗面所、お風呂付近なので非常にシンプル。使い勝手も良くレイアウトとしては完璧だなと思っています。ものすごく贅沢を言うのであれば、ファミリーロッカーはもう少しそれぞれスペースは欲しかったし、洗濯機乾燥機周りはスペースが結構ギリギリで無理やりねじ込んであるのですが……。土地や予算の都合上どうしようもなかったのでこれはこれで納得しております。

お風呂は念願の造作バス

レイアウトを見るとお風呂の中が変な形になっております。最初の平面図を見れば分かる通り、我が家は造作バスです。お風呂と言うと今は主流として各メーカーが出しているユニットバス。お風呂全体が規格化されていて費用面やメンテナンス性が高く、機能性のあるタイルや電子装備など色々配慮されたお風呂を作りやすいとされていますね。その正反対が造作バス。文字通りイチから作ったお風呂です。意匠性やこだわりを強く出せるものの、ユニットバスのメリットがそのまま造作バスのデメリットとなります。(その両方のいいとこ取りをした「ハーフユニットバス」というのもあります。)
その辺の説明は「ユニットバス 造作バス 違い」とかで検索するとわんさか記事が出てくるのでここではお譲りします。
この辺りどう選ぶのかは費用面や機能面、見た目など自分的に決め手となる条件が何かによって選択肢は大きく変わってくると思います。

我が家が目指したのは「シンプルであること」です。
こんな変な形でシンプル?という気もしますが、その路線にしたかった理由は少し時を遡ります。

この家の前の前は分譲マンションに住んでおりました。とはいえ、終の棲家であるとはハナから思ってはおらず、いつか誰かに売るということは最初から考えていたため、特に使用感の激しく出やすいお風呂場というのは気をつけよう!と決めていました。
何をしたかというと、使い終わったら毎日水気をしっかり拭き取っていたのです。要は水垢やカビを可能な限り発生させないようにするためのパワープレイ。単純ですが、当然のように効果は絶大です。だって水垢やカビの発生源となりうる水気を取る訳ですから。

ただその時に困るのが、お風呂場についているこまごまとした突起や溝。シンプルにまっすぐな壁ならザザッと吹くだけなのに、突起や溝があるだけでザザッとできない。これが毎日だと非常にストレスなんです。

新しい家のお風呂は可能な限りシンプルにしてやんよ!と意気込んで協議した結果……

カランって使う?使わないよね?シャワーで十分だから、ナシで。
鏡って中に要るかなぁ…。どうせ曇るし拭くの手間なんだよね。ナシで。
お風呂の蓋って要る?あれの置き場も困るし、蓋そのものがカビやすいし。そもそも追い焚き機能が無い給湯器だから温めなおしたかったらお湯を追加投入するだけ。よし、蓋もナシで。

と可能な限り省けるものは省くことになりました。
なのでお風呂の中にはシャワーとシャワーをひっかけるバー。バスタブにお湯を張る用の蛇口(+レバー)のみとなっています。

脱衣所のポジショニング

もう一つ考えたのは、脱衣所について。
一般的な家だと「洗面所」「脱衣所」「お風呂」というのはそれぞれ独立しているか、洗面所+脱衣所とお風呂と2つに分かれているスタイルが多いと思います。それとは逆で「トイレ一体型バス」みたいにお風呂から洗面所、トイレまで同じスペースにある場合もありますね。

とりあえずトイレがお風呂と同じ場所は匂いとか汚れとか気になるから却下。
でも一般的な3つが独立しているスタイルの場合、脱衣所とお風呂をそれぞれ仕切るためドアが2つ付くことになります。

……これって要る?と思ったんです。
そもそもドアを一つ減らせば減額になるということと、もう1案と言える洗面所と脱衣所の兼用は「洗面所であれこれやってる横で素っ裸になる人がいる」という状況は避けたい。
そこで思い浮かんだのが、旅館とかの露天風呂です。
露天風呂ってたまに脱衣するスペースも外(要は湯船寄り)にありませんか?あのイメージでいけば「洗面所」「脱衣所兼お風呂」の2つで成り立つハズだ、と。
そういった条件と、さして広くもないスペースや高さの問題をあれこれ吟味した結果、最初に示したような形になりました。

詳細のレイアウトと立面図

もう少し具体的に図示します。

ドアを開けたら脱衣スペース。入って左側には棚がありまして、そこに給湯器のスイッチがあります。浴槽側にスイッチが無いのは、前述した水拭きし易いようにというのと、子供がいたずらしてシャワーを出している最中に電源OFF!冷水ジョワー!という被害をなくすためです。頭洗っている時とかにされたりするとね……。

中に入ると左側にシャワー。入り口とは反対方向に向かってシャワーが出るようになっています。これは可能な限り脱衣スペースに水がいかないように配慮した結果です。

そして湯船に浸かった時に目線の高さに窓が来るようになっています。

では立面図を見てみましょう。

南側から北側に向かって見た時の立面図です。
これで見ると分かる通り、高さがこまごまと違います。まず入り口から脱衣スペースに入ると170mmほど下がります。そして脱衣所とお風呂側は30mmほどの小さな段差が。このたった3cmの段差が良い仕事をしまして、思いっきりザバーン!とやらない限り脱衣スペースにお湯は行きません。

あと何故か点線でR状になった箇所があります。
これは湯船側の天井が一部R天井になっているのです。こちらは建築士Kさん推しのご提案ということで、少し壁で隠れた部分の天井がRに落ちることでものすごい「こもる」感じがして実際に湯船に浸かっていると落ち着きます。これは多少お値段しましたが、採用して正解でした。

忘れちゃいけない総FRP仕上げ

そしてこの脱衣スペースとお風呂。全てをFRP仕上げにしています。脱衣スペースも棚を付けてからFRPで保護して仕上げているので、この辺も濡れても全く問題無いようにできています。

湯船とサッシ、シングルレバー混合水栓と蛇口
外がほんのり見える横すべり出し窓
脱衣スペース。棚までまるっとFRP仕上げだから、ここもシャワーで丸洗い可能
扉は木製の造作扉。レバーはカワジュンのプッシュプル

メジャーなユニットバスのあれこれ機能性の高いタイルとか設備は皆無ですが、この総FRP仕上げは本当にシンプルで使い勝手もよく今まで特別困ると感じたことがありません。FRPだから濡れたら滑る!というのは勿論ありますが、それは気をつければ困るほどでもなく。子供がここで派手にすっ転んで怪我をしたことも(今のところ)ありません。
また、脱衣スペースも同じFRP仕上げなので床を毎日シャワーでざーっと洗い流せるのが本当に便利というか、楽です。
また、この脱衣スペースの棚に着替えとかを置いといても、別に直接シャワーのお湯がかかるわけでもないので湿ったりもしません。

扉は色々と検討したのですが、木製の造作扉に落ち着きました。YKK apから浴室ドアの「ドアリモ」という製品もあって、これの半外付枠 ガラスタイプも気になったのですが、お値段的な問題(1枚15万とかする)と質感的な問題で折り合いがつかず辞めました。

YKK ap ドアリモ

水場に木製は大丈夫……?という不安はあったのですが、1年経った今も特別何か不具合などはありません。思いっきり水で濡れるポジションでは無いからだと思われます。

シンプルなシングルレバー混合水栓とバスタブ

バスタブとシャワーはフォンテトレーディングのセミトータルセットです。

https://www.fonte-trading.com/set/st525-160a.html

これはシャワーとカランのセットですが、カランはバスタブにお湯を張るために使うので、湯船側に壁付けされています。
バスタブはショールームまで行って、中でゴロンとした時にどんな塩梅かは事前に確認しました。非常に良い感触で「コレだよね!」とテンション上がったのを覚えています。

あとシングルレバー混合水栓のシャワーは本当に便利だなと思います。
私と妻、子供と三者三様に適温と感じる温度が違うのですが、シングルレバー混合水栓だと微妙なレバー捌きのみで調整できるのでいちいち給湯器側をいじったり蛇口側でお湯とお水の出す量を調整したり……とかもありません。これは洗面所も同様です。(給湯スイッチが湯船側にないのもシングルレバーで温度調整ができるからです)

これ以上無いシンプルな見た目でもあり、満足感が高い設備の一つです。

湯船に浸かると目の前は窓

R天井の湯船にざぶんと浸かると、目線の先は窓があります。少し小さめの横すべり出し窓。窓をつけるならもう少し大きめにしてみたい気持ちもあったのですが、お隣などからの視線をどうしても防げないためそういった視線を気にしないレベルで開けられる開口部を設けました。

この窓は妻たっての希望で、自分よりも遥かに「湯船に浸かったときに開口部がある」ということに思い入れが強かったそうで、非常に満足しているとのことでした。最終的にはここから見える部分も少し照明(センサーライト?)を付けて、グリーンとかを植えていい感じにできたらとは思っています。いつになるやら…ですが。
今は何も無いので夜だと外が見える訳でもないですが、それでも日中お風呂がやんわりと明るさを保っているというのと、がっつり換気をしたい時に換気扇だけではなく窓を開けられるのも良いなと個人的に思います。

ギリギリの広さとスペースの活用方法で見出したお気に入りのお風呂

一番最初に家全体のレイアウトを考えているときは水回りを1.5階に配置する案もありました。でも上層階にしてしまうと造作バスはできない(水漏れとかを起こしかねない点を考えるとまずやらない)し、ユニットバスやハーフユニットバスも決め手に欠ける…ということで、我々の思いを踏まえて建築士Kさんが練りに練ったこのようなお風呂になりました。総FRP仕上げは最初工務店Wさんに難色を示されたそうですが、建築士Kさんの盛り上げ(?)により頑張って綺麗に仕上げてくださいました。素晴らしい。
本当にアレコレ諦めなくて良かったなぁと思います。

楽天ルームやってます

こちらのnoteで書いたり書こうとしているもののご紹介を楽天ルームでもやっていければと思います。こちらも是非チェックしてみてくださいね。

ランキング参加中

当ブログは「日本ブログ村」ランキングに参加中です!
メインのカテゴリーは「一戸建 建築設計事務所(施主)」カテゴリー。他にも素敵なブログが沢山ございます。是非チェックしてみてくださいね。
是非クリックしていただけると幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?