レナウンの倒産がなんか悲しい

僕が小学生の頃、
母親か父親が、引き出物か何か(記憶は定かではない)で、
たまに「傘のマーク」のハンドタオルや靴下などの詰めあわせを持って帰ってきて、

「これは高級なマークなんやで」と言いながら、
「もうちょっと大人になったら使わせてあげる」
とよくもったいぶっていました。

その「高級な傘のマーク」は
「アーノルドパーマー」のロゴだった訳ですが、

最近、新聞や週刊誌で「コロナ倒産。第2のレナウンはどこか」みたいな内容の記事をちらほら見かけて、ふと当時の記憶を思い出しました。

ニュースを見てちゃんと思い出そうとするまでは、
「傘のマークは高級」という小学生の頃に刷り込まれた認識は薄れていて、
「レナウン」という社名も「どこかの服屋さん」くらいにしか思っていませんでした。

背景は知らないけど、、有報の関連当事者取引が異常

ニュースを見たついでに、
野次馬根性で、ついつい有報を見てしまいました。

親会社の山東如意集団も中国ではアパレル大手らしいので、
取り合えず関連当事者取引を見てみると、
なんか意味不明な残高が沢山ありました。
(上記リンク先の有報のP.69~71です)

まずP.69にはこんな取引が掲載されていました。

画像1

1.レナウンは中国の関連当事者(親会社の影響下にある会社。以下同様)から原料(服の生地とか?)を仕入れ、仕入れ代金は期末には完済している(関連当事者に対して、レナウンはキチンと払っている)
→ レナウンは中国から仕入れて国内で加工・販売しているのかな?と別に違和感が生じない商流です。でも、この1行を見てから、次の2を見ると違和感がわいてきます。

2.1と同じ中国の関連当事者に原料を35億円分販売して、期末時点で35億円全額決済されていない。
→ なぜ、今まで原料を仕入れていた先に、原料を販売しているの?という違和感と、それが全額決済されていない(金額もでかい)ことから、親会社のお財布替わりされてるんじゃないの・・?と思ってしまいました。

3.またレナウンが中国に原料を売っているみたいです(しかも代金は受け取っていない)

4.1年間の「取引金額」以上の「期末残高」が積み上がっているということなので、支払いは1年以上前から滞っていたということになります。親会社の影響下にある会社だから、許されるのでしょうか。


続いて、P.70にはこんな取引が掲載されています。

画像2

5、6.またですね、、。
レナウンは衣料品を販売しているイメージがあったのですが、、なぜか「原料」を中国の関連当事者に販売し、しかも1年以上、その「原料」の販売代金を中国の関連当事者から受け取っていないみたいです。
→ 一般的な、「来料加工」でも「進料加工」でもなく、、何加工っていうんでしょうね。。中国と取引関係のある衣料品メーカーのことを想像すると、レナウンが中国にいるみたいな取引に見えてしまいます。(それでも、「原料」だけを販売することはないと思いますが。何なのでしょう。)

7.仮に年間取引金額が21百万円で一定であったとすれば、3年分以上のライセンス料が中国の関連当事者からレナウンに支払われていないみたいです。


最後にP.71に記載の取引です。

画像3

レナウンが商標権を使用している立場の場合は、全額きっちりレナウンから中国の関連当事者に支払いは行われているみたいです(期末残高=0円)。


こんな感じで、
レナウンは中国の関連当事者に対して、

・モノ(原料)を日本から輸出して、お金がもらえない
・レナウンのライセンスを中国企業に供与しているのに、お金はもらえない
・レナウンが中国から輸入したモノ(原料)のお金はきちんと払う。
・レナウンが使用する中国企業のライセンス料はきちんと払う。

という風なお金の流れ(滞り)になっていて、
「(中国企業と取引をしたら)お金は入ってこないけど、お金は出ていく」
という、まるで親会社集団のCash cowのように扱われているように見えました。


ちなみに、上述の中国の関連当事者に対する売掛金は、
全部合計すると96億円になっており、
レナウン単体のBSに計上されている売掛金合計約120億円(有報P.76)の約81%も占めていました。。(どんなけ・・)


破綻の理由が悲しい

レナウンは東証1部上場企業ですが、2010年に中国の繊維大手、山東如意集団に対して第三者割当増資を行い、対価約40億円で同社が約40%の筆頭株主になっていたそうです。

そしてこの後、山東は2013年に29億円の追加出資を行うことで、
レナウンの過半約51%を所有することになっていました。

なので、単純計算では、山東はレナウンに合計69億円出資していたことになります。

民事再生に入った2020年5月15日までの間に、
2019年12月末時点で滞っていた中国の関連当事者に対する債権96億円がどこまで回収されたのかはしりませんが、、
もし回収されずにこのままいったら、
中国のこの親会社は、出資金額(69億円)以上の金(96億円?)を取引を装って引き出して行ったということになってしまいます。
そんなことはあるのかどうかわかりませんが、、再生手続きの過程できちんと回収が進むといいなと思います。

レナウンはコロナの影響というよりは、
中国の親会社にいいようにされてひん死状態だったところに、
とどめの営業自粛で倒産、と考える方が自然な気がしました。


それにしても、上場企業を相手に、その一部の大株主が自ら大口取引の決済を滞らせて、最終的には破綻に追い込むというのは、破綻に追い込まれたレナウン(といっても、取締役の過半が親会社から送られてきた中国人なので被害者の意識もないのかもしれませんが)だけでなく、同社の少数株主が大きな損失を被ることになります。
こういった手口に少数株主はどう対抗すればよいのでしょうか。
(売れば良いと気づいた時点ではもう株価に織り込まれ始めていると思うので、やっぱり少数株主が割を食うことになっている気がします。)

以上。



なんとなく有報を見てしまって、
勝手なイメージが膨らんで、
一人で憤ったりしてしまいましたが、、

この感情は冒頭にも書いた、
「(傘のマークは)高級なんやで」という母の一言で形成されていた
僕の中のレナウンに対するブランド価値が
踏みにじられたように感じてしまったからだとおもいます。

文章が少し乱れてしまったように思います、すみませんでした。




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