漫画家を目指すのに本当に年齢は関係ないのか
先日の「40代漫画家志望に少年漫画は難しい」という記事を多くの方々に読んで頂けているようで有難いなと思いつつ、少々間違った情報を流布してしまっているのではないかと不安です。
特に決め手となったのは、月刊少年マガジンさんの新人賞で、35歳の作家さんが受賞されていたことです。お話も絵柄もとても愉快で、面白かったです。自分の年齢とそれほど大きくは変わらないので、前言を覆すようで申し訳ないのですが、自分も少年誌を目指そうと思えば目指せるのではないか、とも思ってきています。ただ、自分は「難しい」と表現したので間違ってはおらず、その作家さんはとても難しい中をかいくぐって受賞されたのだと思います。
想像であれこれ書くと主観的になってしまうので、持ち込みで編集者さんが仰ったことや実際の経験から見知ったことを元に情報を発信しています。少年誌に足切りラインがあるなら、100回以上持ち込みをしてきた中で遠回しに断られたり、感触で気づくのではないかと思います。自分は1作目の持ち込みで少女漫画誌にも出向きましたが、2作目はダイレクトな言い方ではなかったものの、遠回しに断られています。少年誌も同じなのであれば、同様の対応をされているはずですが、今のところそこまでではないです。とある週刊少年誌では、受付の時に年齢を確認されて少々引かれたりはしたものの、持ち込み自体はしっかり対応してもらえました。別の週刊少年誌では、しっかり顔と名前を覚えてもらえていて、「次の作品ができたら見せてください」と言ってもらえたのも事実です。社交辞令という受け取り方もありますが、自分はそうでもないと思います。
結局のところ、自分が作品を作って持ち込みをするなり新人賞に応募するなりして、編集者さんがうちに合っていると思ったのであれば良いのだと思います。自分は昔から青年誌系の不条理ギャグ漫画が好きで、そういう点では青年誌っぽい感性だと思いますが、ギャグ漫画以外では傾向的に少年漫画を読むことが多く、描きたい気持ちはあります。恐らく遅咲きだったんだろうなと思われる、とても人気のある全年齢の連載作家さんもいらっしゃいます。なので、青年誌やウェブ媒体と並行して、やはり少年誌にも持ち込みをしていこうと思います。その上で、編集者さんが「うちじゃ厳しい」と仰ったのであれば、その媒体は遠慮するつもりです。実際、そういった趣旨のことを言われた少年誌もあり、それ以降は気まずいので持ち込みを遠慮しています。
青年誌でも若い作家さんがたくさん受賞されているので、「少年誌だと若い作家さんとも競争しないといけない」という情報は誤りだったと思います。申し訳ないです。ただ、少年誌で「新人賞は平均年齢が爆下がりしているので、不利ですよという現実はお伝えしないといけない」と言われたのも事実です。別の媒体では「40歳(当時)だと年齢的に絵柄を変えるのは難しいだろう」と言われたこともありました。編集者さんが経験からそう考えるのであれば、そういう考え方もあると思います。
結局、年齢が関係あるのかないのか、という話ですが、「あるっちゃある」と思います。とある少年誌では「年齢が上がるにつれてデビューが難しくはなりますが、不可能ではない。作品が面白いかどうかが重要です」という回答でした。主観が入らないよう原文ママです。(表情から建前なのかなとも感じましたが…)
あくまでも自分の考え方ですが、青年誌やウェブ媒体の方が少しでも可能性があるのであれば、そちらをメインに持ち込みさせて頂こうと思っています。
作家側の問題として、中年になると体力的に厳しいというのもあり、自分も日に日に老化を実感しており、それもそうだと思います。でも、若い頃はエネルギーが有り余っていたかというと自分の場合はそうでもなく、今までの人生で今が一番頑張っているつもりなので、こちらについても、必ずしも若い人の方が有利とは言い切れないと思います。10代、20代、30代の方もそれぞれの年代の大変さがあると思います。
また、自分が青年誌を目指すのを躊躇していた作家側の問題として、社会人経験がそんなにしっかりとあるわけではなく、考え方が幼いかも、というのもあります。例えば、40代で連載デビューされて大ヒットした事例として有名な「ナニワ金融道」のような作品は自分には描けないなと思います。でも、年齢の割にきれいごとを言いたくなりがちな性分だからこそ、長い年月を経て屈折したものを抱えており、そういう病んだ部分を描けば良いじゃないかとも思っています。恥ずかしいので、本当はあまりやりたくありませんが。
背伸びをせず、自分を過小評価しないというのが重要だと思います。前職は障がい者雇用でパートでしたが、恥ずかしがらずに障がい者雇用でパートの主人公を描けば良いという考え方もあります。例えば、「34歳無職さん」という作品もあり、自分は34歳の時は無職ではなかったので、自分には同様の作品は描けないと思います。
自分の人生で空白の時間があるように感じたり、薄っぺらだと感じてしまう期間があるのは、自己肯定感の問題だと思います。どんな人生を送っていても、20年は20年で、40年は40年です。自分は美少女系のアニメや漫画をものすごく摂取しており、それを恥じらうよりは、どんどん作品に転化していこうと思います。
最後に、とある媒体では「前段階としてキャラづくりの地力を付ける必要があり、少年誌向きか青年誌向きかはそれから」という手厳しいご意見も頂きました。本当にそうですね。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?