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僕は準優勝

「やったー!僕、やったよー!やったー!やったー!」
と、喜んでいるのは、いぬうた市の、きゅん君で、
先程まで、ママと車でお出かけしていたのですが、
家に帰って来て早々に、はしゃぎまくっている、
きゅん君です。
きゅん君、何がそんなに嬉しいのですか?
「何って、今日、僕のノーズワークのコンテストだったんだけど、そこで僕はやったんだよ!」
それはおめでとうございます。
やりましたか!いやあ、素晴らしいじゃないですか!
重ね重ね、優勝おめでとうございます!
すると、きゅん君から、びっくりするような、
返答がありました。
「はあ、誰が優勝だって?バカ言っちゃいけないよ。誰が優勝なんかするもんか。僕がしたのは準優勝だよ」
えっ、優勝じゃなく、準優勝なんですか?
えーと、お言葉ですが、準優勝って、
そこまで喜ぶことですか?
だって、優勝の方には負けたってことですよね?
それは悔しくないんですか?
で、その、きゅん君の答えは、「全然」で、
そうなんですか?
それにしても、そこまで準優勝で喜ぶことですかね?
「えっ、そうかな。何か、僕、変かな?だって、準優勝が1番いいじゃないの」
いや、いや、きゅん君、1番いいのは優勝でしょう。
「そんなことないよ。やっぱ、1番は準優勝だよ。だって優勝したら、もう先がなくて、後は守りに入るだけじゃないか。そんなのつまらないじゃない。それに比べて準優勝はその先があるでしょ。ということは、夢も希望もあるってことで、準優勝や2番目やナンバーツーが最高なのさ」
なるほど。
今の、きゅん君の説明を聞けば、
ちょっと分かるような気がしますね。
「やっと分かってくれた。だから、今日は最高の日なのさ」
と、相変わらず、ニコニコと、
ご機嫌な様子の、きゅん君です。
でも、きゅん君、きゅん君のノーズワーク能力は、
どんどん進歩しているんですから、
そのうち優勝するんじゃないですかね。
それにはどうお考えですか?
その、きゅん君の答えはこうで。
「そんなの簡単だよ。僕はあくまで準優勝がいいんだから、もし、このままだと優勝しそうだなあ。って分かった時は、ちょっと手を抜くんだよ。実はこれは内緒なんだけど、今日も本当は優勝出来たんだよね。それが途中でうすうす分かったから、それからワザと失敗したりしたんだよ」
と、衝撃の事実を口にした、きゅん君です。
何と。そうだったんですか。
そこまで準優勝に固執するとは恐れ入りました。
と、そんな、きゅん君の準優勝や、
2番目や、ナンバーツー好きが判明したその時、
今までは、別の部屋にいた、ぐーちゃんが、
トコトコってやって来て、こう言いました。
「このおウチ内では、きゅん君は、そんな心配はご無用よ。何故から、きゅんは、このおウチでは、万年ナンバーツーに決まっているから。じゃあ、このおウチのナンバーワンは誰かって?それはもちのろん、この、ぐーでござんす!」
ですって。

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