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まいったはまいった

今日も今日とて、いぬうた市の、きゅん君と、
ぐーちゃんは朝も早よから、2階の寝室のベッドの上で、
わんプロに興じているのであります。
おっと、この勝負、きゅん君の劣勢ですね。
ここのところ成長のいちじるしい、ぐーちゃんに、
本日は押されっぱなしの、きゅん君です。
とにかく、ぐーちゃんの、きゅん君の首元への執拗な攻撃に、
きゅん君もたじたじな様子なのであります。
「きゅん!そろそろ降参したら、どう?」
ぐーちゃんが、きゅん君にギブアップを迫りました。
「何をー!これしきー!まだまだー!全然ー!」
しかし、きゅん君、かろうじて、この攻撃に耐えています。
「ならば、これでどうだー!」
ややや!ぐーちゃん、きゅん君の首元を、
更に深く噛んだではありませんか!
これには、さすがの、きゅん君も落城寸前です。
「どうだ!きゅん。まいったか?まいったなら、まいった!って言いなさい!」
ぐーちゃんが、きゅん君に降参を迫ります。
すると、きゅん君、思わず反射的に、
「まいった!まいりましたー!」
と、とうとう、きゅん君の降参で、
この勝負が終わったのです。
ぐーちゃんが勝ち誇っています。
「どうよ!最近の、ぐーの強さ。それもこれも、きゅんに隠れて毎日特訓してるからよ。きゅんみたいに、ぐー、ダラダラと過ごしてないから。ぐーは、きゅんと違ってダテじゃないのよ」
この強い発言も毎日特訓してるから故の、
自信からきてるのでしょう。
でも、ちょっと、ぐーちゃん、言い過ぎじゃないですかね。
きゅん君が明らかに落ち込んでいる様子です。
「そうだよな。ぐーは凄いよ。それに比べ、僕なんかダメなヤツさ。毎日をのんべんだらりと過ごしているだけだもんな。それじゃ、ぐーに勝てるハズがない。今日を以て、僕の時代は終わったんだ。いや、すでに、とうに過ぎ去っていたのに、それすらも気付かなかったのかも。ただひとつ言えるのは、これからは未来永劫、ぐーの天下と言う事さ。悔しいけど、それが事実だ」
これは、きゅん君、精神的にも完成に、
まいってしまったのではないでしょうか。
ずっとうなだれて、そうとう自信喪失しているようです。
果たして大丈夫なんでしょうか?
そんな、きゅん君の様子に、
ぐーちゃんは心配になってしまいました。
それもこれも、自分が言い過ぎたせいだと思って、
すかさずフォローします。
「そんなそんな、何をご謙遜して。ぐーなんか、まだまだですよ。まだまだ、きゅんには敵いません。今日はたまたま。たまたまよ。
きゅんが本気だしたら、ぐーが叶うハズないじゃない」
と、なだめても、時すでに遅かったようで、
「いいんだよ。ぐー。慰めてくれなくても。ぐーは優しいな。真の王者とは強くて優しいんだな。そこにいくと僕なんて、偽りの王者だったよ。ぐーに対して、優しい気持ちなんて持てなかったから。だから自業自得だ」
と、きゅん太郎のねちねちとした自虐が続き、
「あー、もうその攻撃やめてー。ぐーもまいりましたー」
と、きゅん君のまいった。に、
ぐーちゃんもまいってしまった、
ある日の、ふたりの自宅での出来事でした。

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