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ドアを開けると

毎日、毎日、散歩は朝夕かかさない、きゅん君と、
ぐーちゃんでありますが、
その御多分に洩れず、本日もママとの朝の散歩を早々と終え、
いぬうた市の自宅に戻って来ました。
全くここまではいつもの日常の風景ですが、
ママが玄関のドアを開けようとした時、
ふと、ある考えがよぎった、きゅん君です。
「待てよ。確かこの間観たテレビのアニメにこんなのがあったな。そのアニメは、ドアを開けるとそこはいつもの家の長いではなく、広大な草原であった。という内容だった。それはアニメだから、多少の誇張はあるかもしれないが、考えてみれば、いくらいつものドアだからって油断していると、その中はいつもと同じ家の中とは限らないのでは?いつもと同じなんて保証は実はどこにもないのでは?それが草原だったら、まだしも、入るやいなや足元に大きな穴でも開いていて、それが地獄に通じる穴だったら!そんなことも絶対ないとは言えないのでは?」
そんな、きゅん君の独り言は、結構大きな声で、
すっかり、ぐーちゃんにも聞こえていました。
「何をバカなことを、きゅんたら、さっきからぶつぶつ言っているのよ。そんなことある訳ないじゃない。このドアは100回開けたって、その中は、いつものおうちの中に決まっているじゃない」
と、ぐーちゃんが言い返しても、
「100回まではそうかもしれないけど、じゃあ101回目は?絶対同じなんて、誰が言い切れるのさ?」
と、負けていない、きゅん君です。
そうなると、ぐーちゃんも次第に不安になってきました。
「何だか、きゅんのいうことも一理あるような気がしてきたわ。もしかしたら、次がその101回目かも?考えれば考えるほど、このあと開けたら、いつものおうちの中じゃなく、別のものを見そうな、ぐーを止められないわ!きゅんは全く何てことを言うのよ!でもせめて見るんだったら、楽しいものを見たいものだわ。そうね。例えば、全部がオヤツで出来たおうちがいいわね。柱も壁もテーブルも全部ビーフジャーキーで出来た家」
見るかもしれないものを全てネガティブに想像する、
きゅん君に対して、
ポジティブに捉えた、ぐーちゃんの思考に、
きゅん君は新鮮な感動を覚えました。
「そうか!いつもと同じじゃないからって、それが悪いこととは限らないよね。ぐーみたく、楽しい方に変わることを考えれば、いいんだー!じゃあ、僕はドアを開けると、そこはフードが一面に敷き詰められたドッグランだったー!を想像するよ。何だか不安もすっかり一転してわくわくさえしてきたよー!」
と、ママがドアを開けるのを、
楽しみで楽しみで待っていましたが、
当たり前ですが、そこはいつもの家の玄関ホールで、
見た瞬間、とってもがっかりする、ふたりです。
そんな、家を帰って、ドアの内を見て、
がっかりする日々が何日か続いた、
きゅん君と、ぐーちゃんです。
でも、ぐーちゃんはそのたびに言いました。
「次こそ、101回目よ!」と。

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