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虹を見たかい

いぬうた市の、ぐーちゃんは虹を見たことがありません。
見たことがないどころか、少し前までは、
その存在すら知りませんでした。
ある日、ひょんなことから虹というものが、
この、いぬうた市にあると知りました。
それはたまたま観たテレビでした。
しかしそれは虹の映像をチラッと一瞬観ただけだったので、
詳しいことは全く分かりませんでした。
虹という言葉を覚えたくらいで、それがどんなもので、
いつ出て、一体それが何なのか?
なので、同じく、そのテレビを隣で観ていた、
きゅん君に聞きます。
「きゅん、虹さんって、どういう方なの?ぐー一回お会いしてみたいわ。どうしたらお会い出来るの?」と。
きゅん君が答えます。
「知らん」と。
このように、きゅん君も全然知らなかったのです。
なので仕方がないので次の散歩の時に会った、
他のわんこから情報を収集しました。
何故だか、ぐーちゃんの頭の中に虹という存在が、
色濃く張り付いて離れなかったからです。
「ねえ、あなた、虹さんって、どうゆう方か?ご存知?」
会う、わんこ、会う、わんこに、ぐーちゃん、
聞き倒します。
その結果、ぐーが虹について分かったことは。
それは空にかかるアーチ型の橋のようなもの。
それは普段は見られないが、
雨上がりなどに、ひょいと現れたりする。
それは7色である。
などなどの情報でした。
「まあ、雨上がりさんの時ですって。だったら今じゃない。だってさっきまでお雨が降っていらしたけど、やっといらっしゃらなくなったんで、ママとお散歩に出ることが出来たのですもの」
と、早速、情報に食いついた、ぐーちゃんです。
「きゅん!虹さんを探すわよ。虹さんはお空にいらっしゃるんだから、ちゃんと上を見て歩くのよ」
と、きゅん君に指示を与える、ぐーちゃんと、
「そんなに都合良く見れるもんかね」
と、そうは言われても、半信半疑で、
あんまり探す気乗りがしない、きゅん君です。
今日の散歩はいつもの散歩コースと、
違う初めてのコースを選んでいたママです。
そのためか、きゅん君、ぐーちゃん共、
見るもの見るものとても新鮮でしたが、
見上げても虹は発見出来ません。
しかし大きな通りに出た時、あるモノを見て、
思わず声を上げる、ぐーちゃんです。
「きゅん!あれじゃない!あれ、虹さんじゃない!」
その、ぐーちゃんの声で、きゅん君も、
ぐーちゃんが、見ているモノを見ます。
「どうかなあ?確かにアーチ型の橋のようだけど、7色ではないね」
「7色さんにはそのうちなるのよ。そうよ!あれが虹さんよ!」
ぐーちゃんはすでにあれを虹と思い込んでいますが、
さて、ぐーちゃんの言っているあれとは何でしょう。
ここだけのお話ですが、あれとは歩道橋だったのです。
ぐーちゃん、きゅん君、残念でした。
しかし、おふたり正解も知らないまま、何とそのあと、
その歩道橋を渡って、おふたり、
「虹を渡った!虹を渡った!」
とたいそう大喜びをして、後日そのことを、
散歩であった会うわんこ、会うわんこに口々に言うと、
皆さん、「ああ、そう。それで大丈夫なの」
とても心配された、きゅん君と、ぐーちゃんです。

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