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入り口はココ

えっ、いぬうた市の、きゅん君と、ぐーちゃん、
何処に行ったか?と思ったら、また今日も、
いぬうた市のドッグランにやって来たんですか?
「うん。そうだよ。やっとそんなに暑くなくなって、走るのが楽しい季節だからね」
と、飼い主と、ママに連れられて、車でドッグランに来た、
おふたりは駐車場を出ると、待ちきれないとばかりに、
ドッグランに一直線に向かいます。
そんなに急がなくても、
ドッグランは逃げないから大丈夫ですよ。
「そんなの分からないわ。ドッグランさんは実はとても大きな生き物さんの背中で、たまたまここでお休みしていただけかもしれないわ。ぐー、このお目目で確認するまで安心出来ないの」
ぐーちゃんはそう言って、無我夢中で、
リードを持っているママを引っ張って、
ドッグランの入り口まで走りました。
きゅん君も、ぐーちゃんに負けずと、
リードを持っている飼い主を引きずるかのごとく、
全速力で走ります。
そんなに急いだら、ドッグランの入り口を、
通り過ぎてしまいますよ。
出入り口は金属のフェンスと連なっていて、
しかも同じような作りなので、
一見、人間でも分かりにくいんですよね。
と、あら?あんなに急いでいたのに、出入り口で、
おふたり共ピタリと止まって、飼い主に早く開けるよう、
目で催促しました。
凄いですね。きゅん君も、ぐーちゃんも、
出入り口がちゃんと分かるんですね。
確かにプレートに出入り口とは書いてありますが、
もしかして、その字が読めるんですか?
「バカにするのもたいがいにしてよ。字は別に読めないけど、僕ら、ここに何回来ていると思っているのさ。もう常連中の常連だよ。もうすっかり覚えているよ」
それは大したものですね。きゅん君。
「言っておくけど、ぐーだって、それくらい分かっているわ。今だって、ぐーの方がちょっとだけ入り口さんに早く着いたし、きゅんはちょっと行き過ぎようとしたの、ぐーは見逃してないわ」
それは新事実ですね。ぐーちゃん。
じゃあ、より大したものは、ぐーちゃんということで。
「何言ってんだよ!ぐー、いい加減なこというなよ。僕の方が早かったし、ちょっと行き過ぎただなんて、とんでもないデマだよ。これは僕の沽券に関わる問題だな。早速、監視カメラのビデオ映像で審判に判定を仰がないと、僕の腹の虫が収まらないね」
そう、いきり立つ、きゅん君ですが、
ちょっとそれは大仰過ぎるのではないですか?
いずれにせよ、ここで、おふたりに、
残念なお知らせがあります。
出入り口は出入り口でも、ここは出口専用なのです。
だからここから入ってはいけないルールになっているのです。
その更なる新事実に、おふたり、
「そうだったの?あれ、飼い主はいつもここから入っていたけどなあ。全くいい加減なんだから、僕まで恥かいたじゃないか」
「本当よ。そういえばさっきから中にいる、みなさん、ぐーの方を何故か見ていると思ったら、そうゆうことでしたのね。ぐー、きっと、とんだお常識を知らない、お無法者だと思われてしまったわ」
と、きゅん君、ぐーちゃん、それぞれの反応をして、
素早く入り口専用のゲートまで移動して、
恥かいて、すっかり勢いがなくなって、大人しくなった、
おふたりは、「お邪魔します」と小さな声で、
恥ずかしいそうに、おずおずと、
入り口専用ゲートから入り直したのでありました。

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