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何か物が落ちたけど

ある日の真夜中の、いぬうた市の、きゅん君と、
ぐーちゃんの家での出来事です。
2階の寝室のベッドの上で、きゅん君、ぐーちゃん、
ママ、飼い主とみんな、ぐーすか寝ていたところ、
突然、ドーン!と真っ暗い部屋内で大きな音がしました。
これにビックリした、きゅん君、ぐーちゃん、
ママは、
一瞬で目を覚まし、飛び起きます。
「何だ!何だ!何の音だ!」
きゅん君は何が起きたのか、きょろきょろ辺りを見回して、
その音源の元を探します。
「何かが落ちた音みたいだったわ!もしかしてお月さまでも落ちたのかしら?」
と、ぐーちゃんは天井を見上げますが、
穴などは開いてなく、ホッと胸を撫で下ろします。
「よかったわ。お月さまではなくて。お月さまだったら、いぬうた市の夜が更に暗くなっちゃうもの」
「でもだったら何の音だろう?」
きゅん君が不思議がります。
ママは一回起きたものの、ふと見ると、
またもう寝ているようです。
「ママ、再び寝ちゃったな。ママには原因が分かっているのかな。しかしそのママが寝てしまった以上、それも判別するすべがない」
きゅん君が暗闇の中でつぶやきます。
そして飼い主の方を見ると、飼い主は、
今の音に全く気付いていなかったようで、
変わらず軽いイビキをたてているではありませんか。
ぐーちゃんはその呑気な寝顔に、
ちょっとカチンと来るものがあったようで、
「鈍感力とは恐ろしいわ。何かあった時、飼い主は、ぐーたちを守れるのかしら」
と、投げ捨てるように言いました。
「それに頼る考えは捨てたほうがいいよ。何事も自己責任な時代だから。だからこの謎も僕らで解かないと」
すっかり目も考え方も覚めた、きゅん君は、
ぐーちゃんにそう言いました。
「そうね。しかしこれはミステリーだわ。何かが落ちた形跡はないのに、音だけがした。一体どうゆうことでありましょう?」
ぐーちゃんが首をひねります。
「飼い主が、寝言でドーン!と、言った。とか?」
きゅん君もしばらく考えた末、
ようやく、ひとつ推測をひねり出しました。
ぐーちゃんはそれを聞いて、
「そうね。そうかもしれないわ。それくらいしか考えられないもの」
と無理矢理、自分を納得させて、
「じゃあ、一応、一件落着ということで、また寝るとしようか」
そう、きゅん君も幕引きをして、
ふたりは再び眠りにつくのでした。
ここで本当の正解をこっそりお教えしましょう。
正解は、ママが枕元にあった水筒を思わず落とてしまった。
でした、でもママはそれにすぐに気付いて、
こっそり戻したので、ふたりは全く分からなかった。
という訳です。あしからず。

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