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水底にて
水中で溺れている
そんな感覚に陥るのはだいたい電車に乗っている
ときだ。息が苦しい。今吸っているのは酸素なのかはたまた別の物質なのか。呼吸が浅くなっていくのを感じ、助けを求めようにも人、人、人、誰もが 人間を煙たがり、誰かの舌打ちでまた脈拍が早く
なっていく。
酸素を求める私は不快感のなか耳に全集中を注ぎ、歌詞のない音楽を聴く。メロディーの中を泳ぐ私はきっと自由に泳げていただろう。
海藻が揺れているように人々は吊り革につかまり、ふにゃふにゃと揺れ、岩のように固まり椅子に座り同じポーズでスマホを眺めている。
まどろんだ脳内でさまざまな事柄が浮かんでは
たちまち消えていく
わたしは揺れた
魚の群れが一斉に一点へ泳ぎだした
どこか遠くへ行き、帰ってゆく
魚の大群が一斉に一直線に動く姿は水底へ向かっているようで、
目的地に着いた私は水面へと手を伸ばした
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