『怪獣8号』(アニメシリーズ10話〜12話)
視聴環境:U-NEXT
【内容】
怪獣になる能力を持った落ちこぼれの中年カフカは、仲間の隊員を救うため、隊員たちの前で怪獣に変身して怪獣を撃破する。
しかし、そのことでカフカは、防衛隊に身柄を拘束されてしまうのだが…
『少年ジャンプ+』原作アニメ。
【感想】
この作品を観ていて、これまでのこうしたエンタメの要素を詰め込んだ物語だなあと感じました。
まず、エヴァンゲリオン後のコンテンツだと感じました。
所謂、世界系の物語手法を応用した作劇の仕方がなされていて、つまり主人公の個人的な葛藤が世界の存亡を賭けた物語に直結する…
具体的に言うと、暴走する怪獣としての自己と、制御しようとする自己の葛藤が、物語の上での大きなターニングポイントになる構造の物語。
エヴァ以降、物凄く量産され、大ヒットした新海誠の一連の作品まで、主人公の感情と感情の動きとストーリー展開、それに伴う派手なビジュアルとか…
もともと映像的な展開によく適応してタイプの物語構造なんだろうなあと…
そこには様々なメタファーを乗っけやすい…
核兵器のメタファーだったり、震災のメタファーとか、思春期の若者の暴力性や性衝動のメタファー…
『怪獣8号』はそうしたテンプレート化された物語の枠組みを通常の展開の3〜4倍速で、一気に見せているのだと感じました。
ただ、そこに少年ジャンプの三大要素である『努力』、『友情』、『勝利』を組み込むことで、そうした世界系には弱い、他者の存在を描くことが出来ているのだなあとも感じました。
それも、こうした少年誌としはかなり年齢の高い30歳超えの主人公ということで、の葛藤や弱さ、コンプレックスを持った生身の人間感を描き出せていると感じました。
最近流行りの転生ものとかは、その葛藤を前世や異世界での経験値ということで、人工的に作り出しているのに対して、年齢を積み重ねることから生み出される葛藤というオーソドックスな物語構造に戻ってきたのだなあと感じました。
ただ、この作品における経験や年齢を積み重ねた上での葛藤というのは、異世界もの以降のもののように、どこか古いタイプの葛藤とも違うように感じました。
突然、何の理由の明かされないまま、異世界の異能の能力を身につけるという展開のさせ方や、物凄いスピードの物語の進行など、明らかに違うなあと…
ある種泥臭い古典的なモラルや行動規範を持つ人物を主人公としつつも…
主人公は何だかのきっかけチートを獲得して、チートと知恵で、物語の世界で活躍する。
お伽話や神話などの物語構造を使って作劇しているのだなあと思いました。
https://www.tv-tokyo.co.jp/anime/kaiju-no8/
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