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セルフライナーノーツ(29~32曲目+α)

はじめに

前回ぶりです。テンタクル忍者です。
またしてもライナーノーツです。いつもボカコレ曲で終わっていたのに今回間が空いたので、ちょっと作曲サボってたことになります。てへ。
毎回言っておりますが、これらは作者の勝手な言いぐさで、解釈を固定するものではないので気軽に読んでください。

㉙メイル・メイル・メランコリア

メランコリアはメランコリーの名詞です。多分。
タイトルの言葉は語感で作りました。「滅入る」になったのは偶然です。

愛し合っていたのかもしれないけど、愛に憂鬱になってしまった。大体そういう歌です。
理想とする愛が大きすぎたのか、憧れの色が強すぎたのか、現実の愛が灰色に見えてしまう。目を合わせても気持ちが分からない。でもせめて、自分の目には愛の形だけは映っているのだと、錯覚させてほしい。そういう意味では、実は「目入る」は意識してました。
愛というのは、犠牲と、盲目と、憂鬱の上に成り立つものだと、何となくそういうイメージをしながら歌詞を書きました。でも実はそういう愛は僕と君の間だけではなく、街中の至る所にあったりして。皆見ないふりと知らんぷりを重ねて愛を育んでいるのかもしれない。この世に本当の愛はあるのでしょうか。

元々ボツ曲だったのですが、ボツになった理由が曲自体の良し悪しではなく音源がうまく出力できない問題だったので、改めて音源を精査して公開することにしました。ボツ曲の中でも、割と歌詞がお気に入りだったというのもあります。
というか、歌詞を見たら他の曲と結構被ってるな。夜の街灯、線路の上。いつも考えてることは同じなのかもしれない。

イラストは意図的に灰色にしました。開いた目にだけ少し色が入ってるのは、理想や憧れを欲している表現です。せめて愛の肖像を。
片目を閉じてるのも意図的(歌詞にある「見ないふり」の表現)です。手は何かこれ良い意味のハンドサインらしい。これは意図してないです。ちなみに作者が昔から癖でよくやってる手でもあります。悪い意味じゃなくて良かった。

㉚傘を九十度で持つな

いえ、作者は真面目です。とても。
雨の日の駅とか歩いてると絶対に1日1回は見かけるんですよね。傘を九十度で持ってる人。ちなみにここで言う「九十度」とは、体または腕に対しての角度を言ってます。
これ、マッッジで危ないので、やめたほうがいいです。本当に。でも本人達に直接言えないチキンなので、曲にしました。届いてくれ。ついでにいうと自分のパーソナルスペース外にまで傘をぶんぶん前後にして歩く人にも届いてくれ。

最初は知人と「あれは危ないよな」みたいな話をしてて、冗談半分で「傘を九十度で持つなって曲を作るか……」って呟いたんですけど、何か気が乗ったのでマジで作りました。
曲調に関しては、当時EDM作りたい欲が爆発してたのでこうなりました。すごいコンボだ。

何で絵を可不ちゃん本人にしたかというと、完全に気分というか、可不ちゃんに言って貰った方がいいなと思ったからです(?)
でも初めて描けたので楽しかったです。初めての可不ちゃんがこれでええんか。
あと前作がボツ曲のリバイバルだったので、ここまでご無沙汰だった可不曲が偶然連続しました。声が好きなので、これからはちょくちょく歌わせていきたいですね。

㉛青い夏にさようなら

ここで言う「青い」は実際の色というよりかは、「青春」と同じニュアンスの青です。言うならば「青夏」。
昔別の楽曲の話で「憧れは青色」みたいな話を(多分)したのですが、あの頃憧れていた青い夏とお別れしよう、という話です。もしかしたら曲中の「君」とは、夏自体のことなのかもしれないですね。

今回は割と映像にも力を入れました。カタカナを並べて言うならば、パペットピン用の髪パーツを影以外グリーンにして、クロマキーで抜いて後ろに動画素材を入れると髪の中だけ可愛いねという話です。詳しくはTwitterでメイキングみたいなのあげてました。
爽やかな映像になったんじゃないかと思います。わあい。

曲調は絶対爽やかロックにすると決めてました。青といえば爽やか、夏といえばロック。
というか夏が題材のバンド編成曲作るの2曲目なんですよね。以前作ったのはもっと暗い題材の失恋ソングみたいな感じでしたが、今回は比較的明るい曲調になりました。お別れソングではあるんですけど。

㉜ツキウサギの独白

よく聞く例え話は「月で兎が餅をついてる」ですが、海外では違う例らしい、という話を思い出しまして。
ということは月にいる兎は我々の想像上に存在していて、我々が要る限りは月に兎がいるということです。多分。
でも逆に、我々の例え話より先に月に兎が居た可能性もありませんか?
これは人間、もしくは月が誕生するよりも先に宇宙にいた兎の話です。

このツキウサギは兎故にめちゃくちゃ耳がいいので、地球にいる人間の噂話も全部聞いています。やれ月の陰謀論だの、御伽噺だの、研究がどうこうだの。
ツキウサギは視力は良くないですが、夜目がきくので宇宙での生活には困りません。宇宙に浮かぶ様々な恒星に見守られながら生きています。
そして地球はいつか無くなって、ツキウサギは自分が本当に居るのかどうか分からなくなります。自分の話をする人間が居なくなってしまったから。
でもクレーターと宇宙だけは、変わらずツキウサギを見ている。そういう話。

音色や映像は通信、記録っぽいテイストにまとめました。ツキウサギが月で記録した、或いは月から誰もいない宇宙に何らかの通信を送っている、というイメージです。独白ですしね。
このボーカルエフェクト、特徴的な割に中々マッチしてると思います。他の曲では使えそうにない。

こちら、爆裂スランプ中に生まれました。いや、ボカコレが8月5日開催だったのに、1ヶ月前までどちらの楽曲も出来てなかったんですけど。
何週間もスランプでうんうん唸っている最中に好きな歌い手さんの新歌ってみたが投稿されまして、聴いたら5時間でこちらのデモが出来ました。やっぱり創作には良質なインプットが大事なんですね。肝に銘じます。

+α キタイラヴァー

キタイというのは「危殆」のことですか、若干「期待」とかけてる節があります。

じゃあこの「危殆」というのは具体的に何を表しているのか、という中身の話。
これは絵のまま、初音ミクを表してます。
1人部屋に籠もり、雁字搦め、管に繋がれて栄養を注がれ、有刺鉄線で外に出ることもできず眠っている。そんな人間のもとに、初音ミクが舞い込んだ話です。
昔親の前でボカロを聴いてるときに「すごい怖い歌詞じゃない?」と言われたことがあります。何を聴いていたかは忘れましたが、曲によっては結構過激な歌詞も多かったので、致し方ない感想だと思います。
初音ミクが檻の外から来た。今まで自分の世界に無かったものが突然やって来て、危険だと、分かっていても、その期待に手を伸ばさずにはいられない。
そして自らも初音ミクを使い曲を紡ぐようになる。翼を焼かれ、泥に空気を奪われ、世界が失意に満ちようと、自らが終わりを紡ぐまでは危殆と期待の中に堕ちていく。いつかその先にある光に手が届くと信じて。

作者は趣味でボカロをやっていて、本業は会社員のため作曲活動は特段「危殆」ではないのですが、世の中には音楽を生業としてやってる人やボカロP活動に命をかけている人間もいるでしょう。そこには光があり、闇がある。その危うきを何となく表現しました。

で、歌詞はまだ良いんですよ。何だこの曲はと。
プロセカNEXTに出すための曲だったのですが、テーマが「フリー」だったので「おっ!フリーなら何やってもええんか!」となった結果がこれです。
まず基本的に4/4拍子の曲を作るのが99%を占めているので、作り始めたときに「何やってるんだ」という感じでしたね。特に音楽の知識があるわけじゃないので。それだけならまだしも、何で途中で拍子を変えたんだと。だってフリーって言ったじゃん!多分こんな曲を作ることは二度とないでしょう。

+α ハイスピードユニヴァース

ハイスピード(当人比)いやもちろん、BPMや早口的なハイスピードの意味合いもあるんですけど、実はコンテンツ消費のスピードを表してる面もあります。BPMの数値でいったら前作の方が速いし。

今や膨大なコンテンツの宇宙の中に居る我々、もしかしたら観測しきれてない宇宙の星屑よりもこの世にある「音楽」に分類されるものの数の方が多いかもしれません。その星屑を作る1人の制作者と、制作されているコンテンツのお話。
これは作った本人の話ですが、ハマるのも早く、飽きるのも早い。まあ珍しい話じゃないです。
あるときは誰かを熱狂させていたコンテンツも、いつかは愛を見失う。物を生み出している内はまるで自分が唯一無二のように思えるけれど、見渡せばもっと眩しい星もあるし、似たような星屑もいっぱいあるわけで。行き着いた宇宙の果てで、別のものに心奪われて好きだったものを忘れていく。
もしインターネットの宇宙に「距離」という概念があったら、僕らは何光年分のコンテンツを消費しているのだろう。

ここまでは歌詞の話。
早口曲、1回は作りたかったんですよね〜。でも今まで結局BPM128に落ち着いてしまう癖があったので、実は最近早口曲を作るための練習をしてました。前作はそれの一環でもあります。
あと以前も宇宙に関する曲を作ったことがあるのですが、実はその時も無意識にピコピコのメロディを使ってまして。作者は「宇宙」というものに無機質さを感じているということが判明しました。

あと普段は作詞のときにメロディを口ずさみながら作るのですが、今回は不可能でした。そういうこともある。

+おまけ 透明を探す

この期間中、ボカデュオに参加しておりました!チーム「プリズムパイレーツ」です。
こちらは作詞作曲には関わっていないのですが、ガッツリ映像担当として制作してますので記載をば。

何回か言ってる気がしますが、元々動画の畑の人間(何なら今も別の場では動画の畑にいます)なので、久々にガッツリ、沢山絵や編集が出来たのは貴重かつ楽しかったです。
何より、ここまで沢山絵を描きたい!編集したい!と思わせる曲が本当に良かった。初めて聴いたときから「こうしたい!」と思う画が思い浮かんでくる、イイ曲です。まだ聴いてない方は是非。

区切ろう

ハイ、今回はここで終了です。何か歌詞がネタっぽかったり変な拍子だったり早口だったりと、また癖の強い曲が多かった気がしますがそれはまあさておき……。
実はこの期間中にイベント「無色透名祭」用の楽曲も1つかいておりますので、決して!決してサボってたわけではありませんよ!ええ。こちらの楽曲も開催期間が終わり次第またどこかでMV付きであげる予定ですのでお楽しみに。

最後まで読んでくれた貴方はメチャスゴハイテクテン忍マスターです。ありがとうございます。

ではまたお会いしましょう。

2023.10.31 テンタクル忍者

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