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藤河内渓谷 氷瀑 【2023年最終ツアー】


2月に入り、日中の気温が高くなった影響で
今週末で2023年の氷瀑ツアーは終了ー。
今日も、正直氷瀑はかなりの期待薄であったが
どうしても滝に行きたいというお客さまの思いを感じ
「見れない可能性も高いが…」という前提の上
ツアーを決行させていただいた。
1対1のツアーだったため、密に色々な話ができる。
対話を通じて、参加いただいた経緯や現在の生活が
少しずつ垣間見える。
少しだけ残る氷柱を眺めながら
静けさの中の水音を聞きながら。

半分の道のりを超えたあたりから
周囲には私たち以外の気配は何もない。
ただただ自然に身を置く2人
滝はどんな状態なのか
ワクワクと不安はお客さま以上に
ガイドの私の方が大きかったかもしれない。
そんな中、終盤に差し掛かり
会話の中でお客さまがポツリ…
「疲れるけど、なんか疲れないんですよね。」

肉体的にはいい感じの疲労感だけど、精神的に疲れがなくなっていく。
(むしろハイになる)
そんな感じに近いのだろうか。
わかる気がする。

理論的に説明すれば、人間は標高700m以上の場所で30分以上活動すると血中の酸素濃度が増え
代謝や活動がより活発になるという話を聞いたことがある。
要は高地トレーニングをするランナーのようなことだ。

しかし、この説明はあくまで肉体的な話。
心の部分は、自分でしか知り得ない。
「心が求めるもの」が「自然」だったのか「美しい景色」「音」「匂い」だったのか分からないが
いろんな五感の喜びが、肉体的な疲労に優っていた瞬間だったのかもしれない。
自然ガイドをしている身としては、嬉しいことだ。
氷瀑は儚くも崩れ去っていたが
崩れゆく滝壺は
今までにないくらい神秘的であった。
ガラスを打ち砕いたような
それでいて氷面を歩いていける。
氷板をテーブルに
調理に使うのも氷から。
氷瀑終わりの今しか出来ない
贅沢な大人の遊び。
焚き火で暖もとりつつ
気づけば観音滝で1時間半。
焚き火の後の炭やゴミはしっかり持ち帰り
残したのは氷に刻まれた調理の跡。
西日射す美しい渓谷を惜しみながら
お客さまと道の駅宇目で解散。

今頃は、「そらのほとり」で
美しい星空でも見上げているのかもしれない。
本日は、素敵な景色に出逢わせていただきありがとうございました♪

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