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ZeebraとMummy-Dが語る、ZORNとBOSS

日本初の24時間ノンストップヒップホップ専門ラジオ局「WREP」(レップ)で、毎月第三金曜日21時から放送されているプログラム「第三研究室」。

Zeebra(以下、ジブさん)とMummy-D(以下、Dさん)が、「世の中に無数にいるラッパーのラップテクニックを分析・解析するWREP初のラップ研究プログラム」で、「プロのラッパー向けの番組」なのだそうです。

2021年最初の、1月15日(金)は、「『日本武道館ライブ開催記念』(1月24日開催)ということで勝手にZORN特集」でした!!

番組中でも紹介されましたが、
「去年出した(ZORNの)アルバム『新小岩』が、ビルボード・ジャパンの総合アルバムチャートで、『鬼滅の刃』のLiSAを抜いて1位を獲得! 各メディアから大絶賛!2020年のMVP』と言える活躍を見せた」と評されるZORN…

凄過ぎです…

さらに、1月24日(日)には、日本武道館で初のワンマンライブを開催し、大成功を収めたことは周知の事実ですが(私は行けませんでした… 涙)、

そんな(日本武道館ライブ前の)ZORNについて、ジブさんとDさんが語り合う「第三研究室」の特集番組は、最高でした!

YouTubeなどにも実際の音声がアップされているので、まだお聴きになっておられない方は、ぜひチェックしてみてください。

ここでは、その特集の中盤、ZORNとILL-BOSSTINO(以下、BOSSさん)のコラボ曲に言及したパートがクソ胸アツヘッズ発狂必至の内容でしたので、以下にそのパートを書き起こしたものを掲載させて頂きます(以下、「Z」はジブさん、「D」はDさん)。

*  *  *

Z:次は、MUMMY-D 選曲の方でいってみたいんですけども…

D:僕の選曲はですね、一番新しいアルバムから「Life Story feat. ILL-BOSSTINO」、BOSS THE MC ね、これをとりあえず聴いてもらおうかな。じゃあいきましょう…

D:…ということでね、今まで聴いてもらった曲(「My life」と「Letter」)とはまたガラッと変わって、これがZORNの進化系というか、最新アルバム『新小岩』からのカットで、BOSS THE MC とのタッグだよね。

Z:これをまたね、D が選んでくるってところがまたいいでございますですね

D:なんでかな?(笑)

Z:なんでかな?(両者爆笑)
   あのね、やっぱでもね、これ聴いて今思ったのはね、やっぱり、新小岩っていう場所に特別なものが何かあるかなという気がしたよね。やっぱりそれはもしかしたら、BOSSにとっての北海道なのかもしれないし(札幌ね)札幌なのかもしれないし。なんて言うのかな、まあ我々どちらかと言うと、Dは横浜だけども、東京中心に、街中、特に東京のど真ん中でこうやってきたゲームみたいな意識が少しある中で、やっぱり彼ら(BOSSとZORN)はちょっと一つ離れた所からそれを俯瞰的に見ていたという部分も凄くデカいんじゃないかなぁっていうのを今日この曲を聴くと思うよね。

D:地元イズムもまたちょっと違うっていうかね(そうそうそうそうそう)。俺もね、まあ横浜の中では、上大岡っていう所の出身だったりして、割とね、新小岩だのね、東京で言ったらね、錦糸町とかね、川崎で言ったらね、溝の口とかに近い感じなのよ。ちょっと下町っぽいっていうかね、飲み屋街があって、チンピラっぽい奴らもいたりしてみたいな所で、そういうところで凄いわかるんだけど。とりあえずこれを俺が推したのは、まずはZORNが、発声がもう変わってるでしょ。結構ハード目になっているというか、ちょっとイガイガっぽいところをグッと出して、下町のタフネスを凄い体現してるというか、「あ、これは新小岩の声だな」っていう感じが凄いすると俺は思ったのね。それから、アップデートされたビートに対するラッパーとしてのアプローチが、今までのZORN君とも全然レベチ(レベルが違う)なぐらいリズムに対する正確さとか、このテンポだから三連で詰めたりとかさ、ライミングはもっと固くなってくるんだけど、そうなんだけど、例えば、「全ての働く人間の人生に 僭越ながら俺がいいねを押してぇ」とかさ、そういうちょっとライミングと離れた面白いこと言うなぁみたいな、そういうところはライミングだけに縛られるんじゃなくて、ちょっと面白いことをフリーに一瞬言って、「おお、そうきたか!」みたいなところにもっていくとかね。

Z:そもそもね、ZORN はまずラップが上手いのよ(上手いよ~)。俺とかDとか、昔90年代ぐらいにちょっと、ちょいちょい色々ラップのテクニックを研究している中で、ちょいちょい言ってたと思うんだけど、いわゆる子音のないワード、例えば「あいうえお」だったり、「ん」だったり、「伸ばす棒(ー)」だったり、そういうところをビートに乗せないで間に”ハメる” みたいな形あるじゃない?(「詰める」って意味かな?)そう、詰めるって意味だよね。やっぱり子音があると詰めた時に、ガガガっとしちゃうから、でも子音がないところを詰めると、スムースに詰められたりするじゃない?

D:撥音便(はつおんびん)とか、何とか音便(※促音便)とかいうね、「アン」とか「イー」とか言うね、そういうやつだよね(そうそうそう)。

Z:それをやっぱりやるのが、昔からこの人(ZORN)は上手いのよ、実は。それを多分ここ最近はとにかくガッツリ魅せてるというか、それ今回の『新小岩』のアルバムに入っている曲は結構その辺がね、凄いなと思うんですよ。

D:あとね、俺が言いたいのはですね、BOSSがやっぱりこのビートに対して凄いハマってるっていうか、ZORNと全然スタイル違うんだけどこれはいいコラボだなぁと思ってね

Z:だってその掛け合いとかさなんか凄く良くできてるよね

D:そうそうそう! だからこれ(番組内で)3番まで掛けたの。「1番僕やるんで、2番BOSSさんお願いします。3番掛け合いやんないですか?」とか言うのはよく出てくる話なんだけど、それが良くなったのを聴いたことがないのよ、俺(両者爆笑)。スタジオでお互い書き合って、それがなんか効果的であったためしがないんだけど。

Z:「とりあえず、じゃあ 2、2、2、2、4、4」とかね、なんかわかんないだけど、ただ単に数学で終わっちゃうみたいなやつだよね。

D:なんか一緒にやってる感だけは出てるけど、ハマんないんだけど、これ(Life Story)3番が凄い、本当にね、二人ともやっぱりリリシストでありメッセージ強い人たちだから、一行二行でヤベェって思わせられんのよ。それがポンポンくるから凄くて、そこにきて最後にね、「これだけは覚えとけ まずは夫婦円満 俺の意見より嫁の機嫌」っていう(笑)。ZORNはね、嫁の話が凄い出てくるのよ。愛妻家なんだなぁと。「愛妻家」というと、BOSSさんも愛妻家なんですよ凄い。だからね、この二人いいなって感じがしちゃいましたね

*  *  *

ZORNの特集番組ではありましたが、ZORNを介して、DさんとBOSSさんジブさんとBOSSさんが交わったかのような雰囲気は、日本のヒップホップの歴史をご存知の方であれば、感慨深いものがあったのではないでしょうか。

ZORNの数ある曲の中から、あえて(?)BOSSさんとのコラボ曲「Life Story」を選曲するDさんもさすがですし、

さらに、後輩に当たるZORNのみならず、BOSSさんを自然体で認めているDさんもカッコイイっす。

そして、ZORNだけでなく、BOSSさんもやっぱり愛妻家」なんですね、「愛妻家最高です!!

今回の番組は、ZORNのファンのみならず、RHYMESTER(ライムスター)のファン、THA BLUE HARB(ザ ブルーハーブ)のファンも必聴のピースフルなプログラムでした!!

「Life Story 高め合ってこその Glory
 ここに俺等がいたって事を伝えてってくれますように」
(「Life Story feat. ILL-BOSSTINO」より)

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