見出し画像

マヂカルラブリー村上氏のラジオでの選曲の様子がおかしくてEMOい


マヂカルラブリーのオールナイトニッポン0

という深夜ラジオ番組をご存じでしょうか。

深夜ラジオが生活の一部となっている方には釈迦に説法な話かと思いますが、2020年から単発で3回ほど放送され、そのころからラジオリスナーの間ではその実力と面白さは話題になっていましたね。

特に2回目の単発、2020年9月のANN0での、最近のアルコ&ピース酒井氏を受け入れられない野田クリスタル氏の件は、アルピー好きの自分としては、俺得すぎる最高ラジオでした。

現在毎週木曜27:00~28:30で絶賛放送中のこの番組。リアタイはできないのですがradikoで毎週楽しく聴かせてもらっています。で、番組内に曲紹介パートが2つあり、番組前半の1つ目は野田クリスタル氏、後半の2つ目は村上氏が担当。野田パートは、らしい感じでアニソン、ゲーム音楽を中心に毎週ピックアップしているのですが・・・・

村上氏の選曲がただただEMOい

お笑い芸人の中でも、音楽に精通していてこだわりを持ってラジオ選曲をされているかたは多くいるのですが、その中でもやはり村上氏の選曲は様子がおかしい。邦楽onlyなのですが、知名度関係なく、本当に音楽が好きで、色々な音楽を吸収し、その中でもお気に入りの一曲を選曲しているような背景が透けて見えるよう。

もちろんジャンルの偏りはあるのですが、一貫しているのは、今や従来の使い方や意味からは大きく離れ、チープな表現となり下がってしまったEMO。

そう。90年代~2000年代初頭、まだEMOが音楽ジャンルを表現していたあの頃。自身の至らなさややるせなさ、不条理不合理とのコンフリクトを叫びで表現し、外への破壊衝動というよりかは、内面の諸情的感情爆発を指していたEMO。(それぞれ定義があると思いますが・・)

「まじかよそれちょ~エモい~」のほうじゃなくてEMOです。

(深夜ラジオから流れるEMO)なんて、令和の日本ではとうに死んだ文化と思っていましたが、まさか吉本芸人が復活させてくれるとは。

文字で説明するよりも実際に曲を説明したほうが良いかと思い、過去に選曲した曲をいくつかピックアップしたいと思います。



プールサイド(Bloodthirsty Butchers)

#017(2021.07.22)OA
ブッチャーズの曲は何がすごいかというと、1回聞いて情景が浮かんで、何度も聞くとその情景が鮮明になっていく感じがするところ。その情景はおそらく人によってまちまちなんだと思うんですが。こんなギタージャキジャキで、かつモヤがかかったような直系インディーギターロックは今はメインストリームではないですが、ほんと何かのきっかけで再注目されることがあるのであれば、吉村秀樹氏、そしてブッチャーズの残した作品を多くの人に聴いてもらいたい。すごいんだから。このバンド。決してポップじゃねぇよ?だけど、ポップス以外聴けないと思っている人にこそ聴いてほしい。

なお、この曲はNUMBER GIRLがカバーしていることでも有名ですよね。両方めちゃくちゃ良いです。


MIDNIGHT YAJI×KITA ~I Wanna Be Your Fuck~ (ZAZEN BOYS)

#018(2021.07.29)OA
ご存じNUMBER GIRLの向井秀徳氏率いるZAZEN BOYSが、映画「真夜中の弥次さん喜多さん」の主題歌として提供した1曲。宮藤官九郎氏の映画監督デビュー作ですが、当時すでに「IWGP」や「木更津キャッツアイ」で売れっ子過ぎる売れっ子作家だったにも関わらず、映画の内容はめちゃくちゃカルト。今おそらく地上波放送はできないんじゃないかと(主役片方ヤク中設定だし)。

で、この主題歌。ピストルズ直系のパンクで正直諸情的なEMOい要素はないんですが、深夜4時にこの曲をラジオで選曲するその心意気、ナイスです。うつらうつら聴いていた人は飛び起きたんではないかと。

この曲、確かZAZEN BOYSのどのアルバムにも収録されておらず、映画のサントラでしか聴けなかったような・・・・(間違っていたらすいません)

夏のまぼろし(ヒグチアイ)

#015(2021.07.08)OA
椎名林檎はもちろん、Cocco大好き。柴田淳や、昨今では黒木渚日食なつこ等・・・。いわゆるあーいう女性ソロミュージシャンが昔からすごい好きなのですが、、、なんてジャンルになるのでしょうか。こう、なんというか、、、明るくないやつというか。

で、ヒグチアイも同じく、あまり陽の属性を感じないところがすごい好きです。なのですが、この曲は初夏を感じさせる爽やかなタッチ。まあ、タイトルが「夏のまぼろし」で、この曲調で、ゆらゆらと陽炎が僕を笑って 手が届かないところへ 君を泳がせたのさなんてパンチライン放り込まれたらもうEMOいんですが。

初夏の7月のタイミングで夏の曲ということでこれを選曲する村上氏のセンス、ツボです。


遥かなる日々(ジャパハリネット)

#019(2021.08.05)OA
モンパチ&GOING STEADY以降、日本各地を襲った日本語パンクブーム。今30代後半くらいの方の中には、当時めちゃくちゃ聴いてシンガロングしていた方もおられるでしょう。

自分は、そもそもAir Jam世代ど真ん中の事もあり、パンクは英語だべ?という固定概念がやはりどうしてもあって。なんだかなーという感じであんまりそのブームに乗っかることはあんまりなかった。というか、若干馬鹿にしていたところがあったような気がします。

ですが、有象無象のように沸いて出てきていた日本語パンクバンドの中でキラッと輝いていたのがジャパハリネット。中でも代表曲「哀愁交差点」は東京出身の自分の心にも当時めちゃくちゃ刺さり、真夏に当時住んでた幡ヶ谷の一室で聞きながらやるせなさを噛みしめていたのを思い出します。

で、この遥かなる日々も名曲。なんというか、当時の日本語パンクはいわゆる応援歌で溢れていて、「がんばれ」や「負けるな」をすんなり受け入れられるような精神状態ではなかった自分にとってこのバンドは、そういう言葉を使わずもっと自然に心のコアにリーチしてきたというか。2015年に再結成したそうで。一回もライブ観たことないのでどっかでみたいなー。

宙ぶらの歌(長澤知之)

#020(2021.08.12)OA
ラジオをつけながらいつの間にか眠りに落ち、熱帯夜の寝苦しさによって午前4時ごろ目が覚めて。つけっぱなしのラジオから流れていたのはこの曲。

前までは頭に浮かんでいたキラキラしたものや未来の予定が、今では浮かんでこないこと、わかっているのにわかっていないふりをしてみたり。余計なことを考えず一心不乱に走ろうとした途端、その余計なことがたまらなくいとおしく感じたり。人の心をわかろうと努力するからこそ、分かり合えなかったり。色んな事を知って、色んな景色が見えるようになったけど、それのどこにも自分は居なかったり。

「そんなこといいから」と、片付けられてしまう当たり前の日常の寂しさや悲しさはどこにいくのか。そんな疑問はおそらく物心ついた時からずーっと考えているけれど、言葉にすることも出来ず、誰かに言われることもなかった。けど、この曲はそんな穴だらけの心をホワホワ埋めてくれたような気がします。

andymoriはもちろん、ALの曲や長澤知之氏の他の曲も多数選曲されている村上氏。先日、対談動画もUPされたりして、めちゃくちゃファンなのがうかがい知れます。

この宙ぶらの歌は、おそらくこの対談があったからそのタイミングで選曲したと思うんですが、個人的にこれほど深夜ラジオでかけてほしい曲はないし、脳内グシャグシャで寝たくても眠れない人を何人も救っているような気すらします。

まとめ

他にも、Avengers in Sci-fiやSPARTA LOCALSなど、わかる人にはわかるツボをついた選曲が過去にあり。で、見返してみると、そのコア具合のスピードが段々加速してきているような気がするので、今後もめちゃくちゃ期待しています(もちろんトークも。マヂラブのラジオはトークが面白いです)。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?