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【保育動画大賞受賞】保育教材として動画を活用するポイント|認定こども園七松幼稚園

 2021年4月19日~5月19日、動画配信アプリ「てのりの」は「保育動画大賞」を開催。受賞園の認定こども園七松幼稚園の亀山秀郎園長に、日頃の動画配信の工夫についてインタビューしました。「動画は保育教材のひとつ、子どもの様子は直接園内で保護者に見てもらうようにというふうに切り分けている」と語る亀山園長。「誰1人もれないように撮らないと」「良いところを見せないと」という無理はしません。直接体験をメインに、園で行ったことを家庭で振り返れることを大切にしています。

七松幼稚園様03

動画テーマは「職員紹介と玩具や活動の紹介」
年長組の先生たちがシナリオ考案!

ーー 受賞おめでとうございます!今回、応募した動画のテーマについて教えてください。

 テーマは「職員紹介と玩具、活動の紹介」です。今回の保育動画大賞には、2020年4月頃に作成した動画を応募しました。当時は登園自粛期間。子どもたちも、園に来れない日々が続いていました。そんな子どもたちに向けて、担任の先生を紹介したり、園に来たらできるようになることを紹介したりするような動画をつくろうと、職員がシナリオを考えてくれました。

ーー動画のはじまりには、「園内でかくれんぼをしている先生を一緒に探してみよう!」という呼びかけがあって、見つかった先生は「○○組の○○せんせいで~す!」と自己紹介していました。職員の紹介にもつながっていて、とてもすてきでした。

かくれんぼ

 この動画を見て、「この先生たちが緊急事態宣言明けに出会う先生たちなんだ」とまず知ってもらいたかったんです。子どもたちや保護者の方、ご家族に、「園に行ったら、こんなもので遊べるんだ。楽しみだな」と思ってもらえるような、そのためのツールとして動画を活用しています。

今回の動画のシナリオ
年長組の先生たちが、年長組になったらできる活動やおもちゃを紹介。
・先生と一緒にかくれんぼ!園内で隠れている先生を探そう!
・ねんちょうぐみになったらできること
 >たいいくのじかんがあるよ!
 >くらぶほいくがあるよ!
 >ベランダにすぐ行けるよ!
 >さをり織りができるよ!
・どんなおもちゃがあるのかな?
・子どもたちに向けたメッセージ

体育の時間

ーー動画では、年長組になったらできることを先生たちが実演しながら紹介してくれていて、「楽しそう!」とわくわくしました。

 あくまで園に来て、直接体験してもらうことがメインですが、どうしても園に来れない子どもたちに「おもしろそう」と思ってもらえたり、保護者の方にも「深く関わってみよう」と思ってもらえたりしたら、いいですよね。

 深く関わりたいと思う原動力は、やはり「人」であり「おもちゃ」であり、幼稚園の「雰囲気」から生まれると思います。そういった要素を伝えるために、この動画はある。今も、先生たちが思いを伝える媒体として、月に2本くらいのペースで動画を配信しています。

おんがくくらぶ

動画は「家庭に届ける保育教材」
ポイントは子どもが見よう見まねでできるもの

ーー宣言明けは、「子どもの様子を家庭に届ける」という使い方をされる園も多いです。七松幼稚園さんでは、先生たち自らが動画に出るコンテンツが多いですか?

 そうですね。表現遊びや歌・お遊戯など、園で行ったことを家庭で振り返ったり、園の雰囲気やクラス担任の人柄を伝えたりするような動画です。

 子どもの様子を配信することも考えましたが、難しいのは、〝わが子映ってない問題〟です。うちの園は400人園児がいるんですけど、全員映っているかをチェックするのに、先生たちすごく苦労したみたいで。

 「子どもたちのためにつくる」という先生たちの気持ちと、「わが子を見たい」という保護者の気持ち。そこに乖離が生まれないように、「動画は家庭に届ける保育教材の1つ」という位置づけで捉えています。やっぱり、子どもは生の様子を見てもらえた方がいいですからね。

ーー「保育教材」としての動画ですね。内容はどのようなものですか?

 手遊びや簡単な手品など、子どもが見よう見まねでできるものです。それから、ピアニカなどの飛沫感染のリスクもあってなかなか教えづらいものも、手元を撮影したものを配信して、家庭で振り返れるようにしました。

 子ども自身が動画を見てできるというものは少ないので、難しさの塩梅をどうするかは難しいです。たとえば製作活動の動画であれば、保護者の手助けが必要になる。そのためには、事前に家庭に教材を送るなど、あらかじめ園がサポートをした上で配信するようにしています。

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園見学ツアーにジンバル活躍
撮影のしやすさ・幅もアップ

ーー受賞園プレゼントのスマートフォンジンバルは活用されていますか?

 園見学ツアーのような形で、歩きながら園内を紹介するのに使っています。手ぶれも抑えられますし、ジンバルを逆さに持てば子ども目線の動画を手軽に撮ることができます。うまくできれば、子どもに気づかれずに自然な様子を撮影することもできます。

ジンバル

 それから、動画ではないですが、ジンバルは食育活動にも活用したんですよ。

ーー食育活動ですか?

 食育活動の一環で、子どもたちが買い物に出かけることがあったんですが、その様子を後ろから追いかけていくのに使いました。スマホでビデオ会議ツールを起動して、園で待っている子たちも教室からそのビデオコードにアクセスして、リアルタイムにやり取りができるようにしたんです。「いくらかかるけど、買っていい!?」「いいよー!」みたいなやりとりもありましたね(笑)。

ーー意外な活用法に驚きです!ICT活用を積極的に進められている七松幼稚園さんならではの柔軟な発想ですね。

 子どもたちが〝深く見てみたい〟という活動をどう見せるか。例えば、生き物が羽化・脱皮する様子や植物のつるが伸びていく過程をタイムラプスで見せる。〝生きている〟という実感を自分がいま飼育栽培しているもので感じられる。ICTは、自分が直接体験したものの知識を広げるアイデアとして使えると思います。そんなふうに、動画も活用していきたいですね。

職員紹介と玩具や活動の紹介_Moment

◎認定こども園七松幼稚園のICT活用事例を知りたい方へ
「業務効率化だけじゃない ICTを「保育教材」に|認定こども園七松幼稚園」

●学校法人七松学園認定こども園七松幼稚園(兵庫県尼崎市)
「出会いに感謝し、笑顔で「和」を広げる」が理念。ICTを活かした情報共有や動画配信、研修に多数取り組んでいることが評価され、2020年度より文科省の「幼児教育の教育課題に対応した指導方法等充実調査研究」を受託。幼児教育におけるICT活用リーフレットはこちらから。http://nanatsumatsu.com/index.html