見出し画像

手のひら先生の高麗手指鍼療法 5 二千年以上治療家は進化を考えたことがなかった その1


高麗手指鍼を研究しているうちに、治療の場である手のひらには「人間が進化してきた足跡が埋まっている」ことに気づきました。

その経緯は昨年出版した「手のひら先生の高麗手指鍼療法」に書きました。

それを気づかせてくれたのが、耳鍼発明者のフランス人ポール・ノジェ博士と東京芸術大学三木茂夫教授の「生命形態学序説」でした。

以前書きましたが私の師匠は、韓国から来た金成万先生でした。

金成万先生は元ヤクルトや楽天球団で監督をされた、野村克也さんに招かれ来日されました。

先生は「末期がんを治す鍼灸師」としてテレビで紹介されて、全国に知れ渡りました。

その先生が「高麗手指鍼で治療すると、ベテランがやっと治せるようになった病気を、初心者が治してしまうことがある」と不思議そうにおっしゃったことがありました。

先生はその時私が以下に説明することは分からなかったのです。

それを簡単に表したのが、最初のパネルです。

四億年前の祖先は魚として生き、次に鳥の時代を過ごし、600万年ほど前に人間として生きたと言われています。

三木教授の「生命形態学序説」p30~31に、受精卵が母親の子宮の中で30日間成長していく中で、この進化の記憶を再現する「人胎児の顔貌変化」が描かれています。

まさこの四億年を再現しているように見えます。

鍼灸を含めた東洋医学はこの二千年間、紀元前256年に書かれたと言われる「黄帝内経素問霊枢十八巻」に書かれていることを理解し実践することにただひたすら腐心してきました。

その結果一握りの神医と呼ばれる方が、内臓疾患から重病までを治癒させてきました。

それ以外は腰痛肩こりの専門治療として、日本の中では認知されてきました。

なぜでしょうか?

古代の治療家がいかに素晴らしい方たちであっても、人間が進化してきた生物であることまでは考えが及びませんでした。

古典の中には彼らが治療する中で疑問に思っても解決が出来なかった問題は、後の治療家たちのために戒めであったり説明できない謎として残してきました。

鍼治療は頭の先から足の先まで、全身に治療の場にしています。

その中で進化の過程をなぞって治療ができる鍼療法は、ノジェ式の耳鍼と手のひら先生の高麗手指鍼だけです。

ノジェ博士の耳鍼の研究が特に優れているのは、位相(フェーズ)の発見でした。

これは博士の耳鍼をまねた中国の耳鍼には無い考えです。

中国式耳鍼は博士の耳鍼をなぞったものなので、フェーズなんて思いも及ばなかったことです。

博士の翻訳本が何冊か出版されています。

フェーズは5から6発見されたそうです。

しかし間中喜雄監修の「耳介反射便覧」の中ではフェーズ3までしか詳細に書かれていません。

私がフェーズⅢまで検証しフェーズは進化のそれぞれの段階を表していると分かりました。

そのことから推測すると、そのほかフェーズⅣ Ⅴ Ⅵ の3回の進化の段階が耳の中に描かれたのではないでしょうか。

それが両生類か爬虫類かはたまた恐類の類であったのかは分かりません。謎ですが。

最高麗手指鍼にもフェーズは描けるのか、手のひらにもフェーズⅠからⅢまでツボが発見できるか否か検証を試みました

博士の場合は指にコンデンサーを持ち、電圧を変化させながら脈の変化を感じ取って、耳介に様々なツボが現れることを探ったそうです。

しかし本を読んだだけでは分かりません。

電圧をどのように定めたか、内臓のツボ脳神経のツボは何と対比させたのか、等々疑問が湧くのですが答えを得ることは出来ません。

そこで私の場合は独自に考えた方法で行いました。

電圧の場合は簡単に解決できました。

次にツボを決める方法ですが、これは多くの方の助けを借ましたがオーリングテストを使い、内臓などの組織標本で決定しました。

ここまで来るのには高麗手指鍼を習い始めてからおよそ20年、さらなる研究を始めてから10年以上を費やしました。


高麗手指鍼は手のひらを体に見立てて治療します。

手のひらの中に臓器のツボを見つけています。

フェーズに分けてそのツボを見つけていくと、いままでには考えられなかったところに現れます。

フェーズⅠの内臓のツボは、フェーズⅡとは離れたところに出現します。フェーズⅢはまた別な場所に出ます。

ばらばらに出るようですが同じ臓器期はフェーズごとに規則正しく表れます。

次の段階として脳神経はどう表れるのか検証しました。

ノジェ式の耳鍼では内臓のツボ群と脳神経のツボ群は重なりません。

ところが手のひらのツボの場合は、内臓と脳神経のツボが重なっているのです。

これが金成万先生が「素人でも時にはベテランと同じ治療効果を出すことがある」と仰ったその原因でした。

内臓のツボを治療に使ったと思っていたのが、実は脳神経の調整をしていたことになっていたのです。

本の中でははなぜ手のひらのツボにはこのようなことが起きるのかを説明しています。

手のひらと言う治療の場は、耳介 頭皮 体全体 顔 など鍼治療の場所とは考え方を変えないとならないでしょう。

さてここまで研究してきましたが、「はてフェーズとは何か?」と言う大命題が持ち上がりました。

実は前回の日韓高麗手指鍼学術大会の発表論文としてまとめていましたが、肝心の結論がなかなか見つかりません。

まるで半世紀前に卒論の結論を導きだすまで1か月余り悩んだことを思いだしました。

原稿をメールで提出しなければならないので、かなり慌ててしまいました。

その時に突然浮かんだのが「生命形態学序説」でした。

そこで進化の過程でその時代だけの特長としてある臓器を目印に、フェーズⅠからⅢを精査しました。

フェーズⅠの魚の時代からフェーズⅡの鳥の時代になって、大きく変わった臓器を調べました。

鰓が肺呼吸になったほか、2サイクルのポンプが4サイクルの心臓になったという風に臓器が変化しました。

フェーズⅢになると子宮が備わります。

結論として「フェーズは進化の過程を表す」のです。

では次回にどのように検証したかをちょっとだけお話いたしますね。

サポート頂いたら最先端の医学雑誌と、最先端の進化論本を購入し難病治療研究に役立てる予定です。