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人生最終盤を社会でどう支えるかを考えたい。死に関すること、介護のことなどをテーマにした文書をまとめます。
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2021年3月の記事一覧

「遺贈寄付」したい人のための注意点

(*この原稿は、毎日新聞WEBでの筆者連載「百年人生を生きる」2019年3月21日の記事です) 前回、遺贈寄付の実例を紹介し、「思い」が次世代に引き継がれることで生まれる「寄付者よし、受け手よし、社会よし」の「三方よし」のお金の流れについて述べた。今回は、なぜ遺贈寄付への関心が高まっているのか、実際に寄付しようとする際にどんな点に注意したらよいのか紹介する。 遺贈寄付への関心の高まりは、寄付を受ける側の実例をみるとよく分かる。例えば、NGO「国境なき医師団日本」の場合、20

「没イチ男女」再出発に必要な婚前契約と思いやり

(*この原稿は、毎日新聞WEBでの筆者連載「百年人生を生きる」2019年2月24日の記事です) 軽快なディスコミュージックやJポップに合わせ、高級ファッションブランドのベルサーチなどで着飾った男性たちが赤じゅうたんの上をさっそうと歩く。東京都港区三田の寺で2018年12月9日、少し変わったファッションショーが開かれた。59歳から79歳までの6人のモデルは全員、妻に先立たれた男性だ。ショーの名前は「没イチメンズコレクション」。「没イチ」とは配偶者に先立たれた人のことをいう。

寺カフェで集い語り合う 「墓友」というつながり

(*この原稿は、毎日新聞WEB「医療プレミア」で筆者が連載する「百年人生を生きる」2019年2月6日公開の記事です) 家族関係が大きく変わる中で、私たちが迎えた多死時代。少子化で後継ぎがいない、地方から都市に出てきたので菩提寺(ぼだいじ)がないといった事情を背景に、従来の「家墓」「先祖代々墓」とは異なる墓を選ぶ人が増えている。墓石を使わない「樹木葬墓地」や、都会で次々と販売されている納骨堂だ。「家」に縛られず、最後に眠る場所を自分が選ぶ時代になった。その選択が新たな「つなが

孤独に苦しむ73歳男性を救った都心の居場所

(*この原稿は、毎日新聞WEB「医療プレミア」で筆者が連載する「百年人生を生きる」で2018年12月21日に公開された記事です) 老後の暮らしを想像したことがあるだろうか。すでに老後の生活を迎えている人は、若いころに想像していたような日々を過ごせているだろうか。いま、「人生100年時代」の到来がいわれている。100歳以上の人口は約7万人。老人福祉法が制定された1963年には153人しかいなかった100歳以上の高齢者は、81年に1000人、98年に1万人を超え、その後も急速に増