No.4 拭うには勿体無い
身体を動かしたことによって同じことを体験したことによって
一体感?ライブ感?があった
彼女の大切な価値観の中にカメラで写真を撮ることがある
帰り道の大自然を、銅像を捉えていた
「うつるんです」という小さいカメラを持っていて
写真を撮る横顔や仕草が素人のそれとは違うのは一眼でわかった
ほーやるやってんなぁと思いながら眺めてた
この時は
後にその真剣さに晒されてしまうなんて知らずに
帰りの車内
汗を互いに掻き冷房をかけて少しずつ冷えてきた頃
彼女は口紅を塗っていた、正確には塗ってもいい?と聞かれていたからいいよと答えた後だ
この後思いもよらない言葉が私を襲う
彼女から「あなたに口紅塗ってもいい?」と
!?!?
びっくりしたけど迷わずいいよと見事に塗られた
これからふたりの距離感が物理的にも近付くきっかけになったのは言うまでもない
因みにこの時まで手も繋いでないのにすっ飛ばした
と改めて思った
順序なんて関係ないからそれすらも思い出になる
この時から「思い出」という言葉には遠い未來からみた過去になるものを指し示す
つまりこの人と付き合う未來があると思ってたのかもしれない
彼女は相変わらずだ、元気なまんま?いや違う
ちょっぴり疲れてた横顔も可愛かった
わたしの心の中は少しの困惑とどきどきを胸に
目的地へと進んでゆく
受け取ったはじめての口紅を拭わずに
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