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卒業の決意

※2021年3月31日に出版された「こう見えて元タカラジェンヌです」のcakes(2022年8月でサービス終了)連載時のバックナンバーを公開しています。書籍化にあたり、泣く泣くカットすることになった枕詞(どうも。からはじまるあいさつ文)付きオリジナルバージョンです※
「タカラヅカ」を支えているのはトップスターだけじゃない!100年以上の歴史を持ち、未婚女性たちが「清く、正しく、美しく」をモットーに歌い踊る宝塚歌劇団。その美しさでファンを魅了するスターの隣には、モヒカンの悪役や貫禄のあるおじさん役を全力で演じきる名バイプレイヤー・天真みちること「たそ」の姿があった……。元SMAP中居正広に「友達になれそう」と、花組トップスター明日海りおには「宝塚に新ジャンルを築いた」と言わしめた伝説の元タカラジェンヌによる、誰も知らない爆笑宝塚エッセイ。

どうも。

一言だけ言わせてください。

『はいからさんが通る』はいいぞ……。

それでは参りましょうか。ゴー♪ (ビビるくらい前置き短いですがマジでゴー♪)

私の頭の中の消しゴム


中間管理職のブルースは続いていた。

私は、元来ちゃらんぽらんな性格をしている。

基本的に行雲流水の如く生きていきたい性質なので(えらい格好良く言ったな)
「私についてきな」みたいなお姉さまに「へい!」と子分のようについていくのが好きだし、外食する時なんて一生メニューが決められないので、自動的に「シェフのおススメ」になる。

そんな、最高に優柔不断な私でも、タカラヅカに在籍し、年を重ねていけば必ず「管理職」の学年になってくる。

こんな性格のまま、上級生としてふるまわれても、下級生は路頭に迷うだけ。

続けていくならしっかりと物事を管理できる人間にならなければならない。男役10年、1人前の男役として尊敬される役者にならなければならない。

そう思うあまり、私はこの、「~しなければならない」という、通称「have to病」(勝手に名付けた)に飲み込まれてがんじがらめになっていった。

元々上に立つのが得意なタイプではなかったので、背負わんでもいいものまで勝手に背負いこみ、気が付いた頃には何をするにも緊張しまくるようになってしまった。

この頃から、少しずつ演じるということが楽しいとは思えなくなっていた……

緊張のピークを迎えたのは、2015年『カリスタの海に抱かれて』の公演中。

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