小旅行・破
博物館へ
2日目朝。
前述のようにコメダのモーニングが宿泊プランに入っているため、引換券を持って階下のコメダに行けばモーニングが出てくる。優雅な朝である。
欲を言えばこのモーニングに追加で何か付け加えたかったが、ベルに貼られた「ワンオーダーでお願いします」の文字の圧に屈した。
コメダの他のメニューの量からすると、このモーニングは実につつましやかで、正直少し物足りない。トーストは一枚でもいいんじゃないだろうか。あと、トーストに塗って出てくるものとしてバターとイチゴジャムが選べるのだが、添え物としてゆで卵・卵ペースト・小倉あんから選ぶので、ジャムの出番は基本的にないように思う。
さて、朝食を終えたものの、博物館のオープン時間までまだ少しある。怠惰な私、部屋に戻って仮眠。
小一時間程寝て起きて、帽子やタオルを持って出発。
目的の宮崎県立総合博物館は、宮崎駅の隣で下車して10分ほど徒歩。駅を出てすぐのでかい鳥居をくぐってそのまま道なりで案内板があるとの事。
歩きながら、既に昼食が取れる店を物色していたのだが、道中ではちょっとしたスイーツやコッペパンの店くらいしか目に留まらなかった。見終わってから改めて探す事にしよう、と、森の中を進む(神宮の森に隣接しているため)。
到着。しかし「水筒やペットボトルを持って展示室に入らないで下さい」の注意書き。
駅前で買ったお茶を、入り口脇のベンチに座って飲み干す私。この時点で既に汗だく、タオルはしっとりである。
干した空のペットボトルを持って入館。どっかゴミ箱は……お、自販機あるんじゃん。と、無事廃棄。しかし館内に飲める場所あるならここで飲めばよかった。涼しいし。
さて、特別展示も行われているが、まずは常設展示から攻めていく。
順路として示されているのは、宮崎の動植物。特に森の中の話からのようだ。
展示、及び説明書きや添えてある冊子によると、宮崎県は日照時間が長く、かつ夏場の雨量が多い気候的特徴から、広葉樹が多いらしい。ブナやシイ、スゲなどの樹林が山地に広がり、そこにタヌキやキツネやイタチやアナグマ、シカ・カモシカ・イノシシなどの獣。ジョウビタキやヤマゲラやトンビやハイタカなどの鳥が生息しているとの事。
また、植物も単に木だけでなく、菌類や半寄生植物などが複雑な生態系を構成していて、いわゆる草の類でも、広葉樹、及び他の植物の葉が落ちる時期に合わせて成長が活発になる時期を迎えるなど、棲み分けも進んでいるそうだ。
宮崎の動植物の多様性に触れながら進んでいくと、地質学的な側面からの展示が見えてきた。
宮崎県は火山の噴火により現在の地形が形作られており、古代では海底火山の噴火があって現在の海岸線が構築された、云々。
複雑な地層については私の地元にもちょっとしたものがあるのだが、火山が近いとやはり数が違う。また、宮崎は海と山とが近く、かつて海底だった場所が現在は山になっている、とかが、化石で明らかになっているようで。考古学的なロマンがより濃く感じられた。
特別展示
じっくりと見て回り、汗も引いたところで、特別展示へ。
「毒」展である。
生物が有する毒に限らず、人を害するものとして広く「毒」を展示している。
毒の強さを一律で測れる基準というのは難しい、とあって、ずらずらと毒の種類が並んでいるのだが、この表で見る限りは人工毒など自然毒の足元にも及ばないことになる。ボツリヌストキシンなんてあるのかないのかわからんような量でネズミ(多分)が死ぬのだ。細菌恐るべし。
テトロドトキシンと言えば、いわゆるフグ毒として広く知られた存在であるが。
実は、フグ自身がテトロドトキシンを生成しているわけではない。
毒を生成しているのは海洋性細菌であり、これを食べた生物、さらにその生物を食べる生物によって生物濃縮が起き、結果としてフグがこの毒を強く有するということなのだ。はぇーである。
なので、完全養殖環境で無毒のエサで育てられたフグには毒がない。食べ放題だひゃっほう。
名前が愉快な生物は低くない確率で有毒、の代表例、スベスベマンジュウガニさんである。↑の画像にもあったが、フグ毒を持ってるそうだ。
有毒生物って、食べると美味いやつと、食べても不味いやつに分けられるが、確かスベスベマンジュウガニさんは後者である。
霊長類で唯一の有毒生物だそうだ。
あと、写真は撮ってないけど有毒哺乳類として有名なカモノハシさんも展示があった。後ろ足の爪にだけ毒があるとか、本当に不可思議で素敵。
カメラ(スマホ)を向けた途端活発に動いてファンサしてくれた気のいいウツボさん。水槽の上の方に「食べると美味い」って書いてあって切ない。
クラゲを暗い部屋で水槽に入れて、光を当てて鑑賞する展示は、今やあちこちの水族館で見られるものだが、実際に生態展示を行うとなると中々に細心の注意が必要であるらしい。
何故なら、博物館スタッフのコメントとして書かれていたのだ。ごく軽い気持ちでクラゲの生態展示やろう、と決めたけど、先達から色々教わったら全然甘くなくて泣きそう(誇張含む)と。
そんなわけなので、今後よそのクラゲ展示を見る時はスタッフの苦労を偲ぶ事にする。
ありがちではあるが、だからといって冗談で済ませてはいけない。「人を害するもの=毒」という図式においては我々自身も毒たり得るのだ。
とは言え、『毒との付き合い方』として、人類がどのように毒を利用し、また薬として使用してきたかも併設展示されていたので、毒であるというだけで必要以上に忌避する事はない、という感じだった。
直接的には無関係なのだけど、何故か毒展の入り口天井に吊られていたメガロドンさん(模型)。
サイズについて諸説ある中で、無難な中間サイズであるところの約10mで作られてはいるものの、それでもデカすぎて全体が写真に収まらない。一般客も写り込むし。
最大サイズ説の15mだったらもっとヤバかっただろうなぁ。こんな肉食動物が多数泳ぎ回ってるとかサメ映画よりホラーだぜ、古代の海。あ、いやでも霊体化して壁をすり抜けてくるサメの方が怖いか……
再び常設展示~帰宿
特別展示を見終わり、2Fロビー(特別展は2Fでやってた)に出た私。ふと見れば民芸品のサンプルが展示されている。釣られてふらふらとそちらへ歩いて行くと、民俗学的な常設展示があったので、これ幸いと眺めて回る。
宮崎県は海に面しているため、古くから漁業が盛ん。また、農家での手仕事(工芸品の作成)も伝統的に行われて来たとの事。
こんなバカデカいザル?を竹で編んだりとかしてたそうな。
これは極端な例としても、普段の作業(採集)に使う背負い籠・背負い袋を竹で編むのはごく一般的な事だったらしい。
この模型には大変興味を惹かれた。飛んでるカモに網を投げつけて獲るとか、いかにもワイルドで力isパワー。たまらん。武士の鍛錬としても行われたってのがまたツボる。現在でも一部地域でやってるってんだから見てみたい。動画とかどっかに落ちてないかな。
こういう魚売りの形態は初めて見た。江戸時代の魚売りと言えば天秤棒に桶を提げ、それを担いで振り売りするものだが。地元は漁港からはちょっと遠いのでこういう文化には馴染みが薄い。
他にも炭焼きだとか猟銃での狩猟だとかが紹介されていた。山と海と森の恵みで宮崎の人々は暮らしてきたんだなぁ(小並感)。
さて、流石に展示を3つも見て回ると足腰が限界だし、腹もだいぶ減った。
ランチを探すか、と、すまんほほで調べてみるも、駅方面にはいい店がなく、よさげな店は別方向でしかもランチ営業が終わってしまっていた。
ならばやむなし、とりあえず宮崎駅前まで戻ってしまおうと歩き出す。
なんかいたので撮った。
駅に着いて時刻表を見ると、一時間に2本くらいしか来てない。幸い次は5分くらいで来るので助かったが、乗り過ごしたら30分は待つことになっていた。セーフ。
宮崎駅に直結してるビル(多分デパートの類)の飲食店街から、うどん屋をチョイス。冷やし肉うどんに味噌おにぎりをプラス。よーく冷えたコシのあるうどんが美味い。ザクザクとした天かすも小気味よい。添えられたワサビが甘辛い肉を爽やかに締めてくれる。温玉のまろやかさもありがたい。つゆも残さず飲み干してご馳走様(おにぎりも美味かった)。
宿に戻り、今日の晩飯を考える。麺類が続いてしまうが、餃子が食べたいと思っていたのでラーメン屋を探す。
行った店が京都風だったのは、今にして思うと少し外してしまったかもしれない。九州らしい豚骨系の店に行くべきだったか。
だが、これはこれで。生姜の利いたさっぱりしたスープにたっぷりのカツオが香り、細麺によく絡む。ネギの食感、柔らかいチャーシューもいい。
餃子は小ぶりなものが10個。味噌をつけるのは初めてだが、普通のタレよりこっちの方が気に入った。ただ、恐らく宮崎の一般的な餃子とは違うのではないかと思う。次回は正真正銘の餃子を食べよう。
明日はいよいよフォロワーたちとのプチオフ。wktkで眠れないが床に就くのであった。
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