九州大学:他県民は居心地が悪い

 大学に知り合いがいない。このような不安を入学時に覚えた人は少なくないだろう。私もその一人である。私は福岡、もとい九州の人間ではないため、九大に知り合いはおろか、学校の先輩・後輩、さらには進学塾での旧友もおらず、人一倍大きな不安を抱えていた。無論我々も黙っているだけではない。Twitterやその他のツールを駆使して友人(少なくとも知り合い)を確保しようと躍起になったものだ。「大学の講義は情報戦である」という話を聞いた人はなおさら東奔西走しただろう。しかしながら、ここで最大の壁にぶち当たる。それは「九大生の情報発信不足」である。Twitterの検索欄で「九大・スペース・文学部」と調べても、定番の友達集めや「春から〇〇部」といったハッシュタグ、学部や研究室の公式アカウント、果ては教授の悪口さえも出てこないのだ。やっとの思いでアカウントを見つけても、九大という名前の上に「北」という文字がついており、北九大の活発性と九大の消極性を一度に学ぶことになるだけである。この消極性は九州以外の人間の第一歩を奪うだけではない。新たな知り合いを作る機会を失った迷える新入生は、妥協案として高校時代の同級生との結束をより強めるという判断をとり、このことはさらに「孤独な部外者の排除」に繋がるだろう。これは愚の骨頂と批判されるべきだが、それにとどまらず、実際に被害を生んでいることを知るべきだ。ただでさえ部外者の肩身は狭いにもかかわらず、憎きコロナの影響が加わることで、ネットの中でも身動き一つとれないよう念入りに拘束され、挙句の果ては、周囲と断絶されたままこの“絶海の孤島”に収容されることになるのだから、その精神的苦痛は計り知れない。九大のイメージが落ちる理由の一つとしてその立地が挙げられることは少なくないが、立地は「研究施設設置の用地確保」という大義の前には目をつぶるしかなく、我々にはどうすることもできないだろう。しかしながら、排他的かつ活動範囲が狭く、活動の情報発信が極端に少ないことは、間違いなくもう一つの九大の弱点であり、且つ、今すぐ個々人の努力でいかようにも変えることができるだろう。クラブやサークルの情報発信に関しては間違いなくコロナの影響が大きいと思う。しかしながら、それを考慮した上でも、Twitter、公式line、インスタグラム上での発信は他校と比べても少ない。更新がされていないなどはざらにある。DMを送っても反応がないことから、素敵な顔文字と共に添えられた「DMで募集しています。」の言葉は偽りの看板であったことが分かる。現存するサークルの公式アカウントがないことなどしょっちゅうだ。コロナによって対面での勧誘が禁止されていたため、ほとんどの人は知り合いのつてでサークルに所属したという。では我々はいったいどうすればよかったのだろう。
 大学は学問の場所だ。国家直属の研究機関と言っていい。生徒が孤独であろうが、精神的にやられようが、ましてやサークルや部活、学部が一切の鼓動を止めようが、何ら問題の無いことなのかもしれない。しかしながら、我々にとってそれは「好ましい現状」と胸を張って言い切れるのか。現状に満足している人ほど、胸に手を当てて考えてみてほしい。運よく、または果てしない努力の末、Twitter上で気の合う人にめぐり逢い、気の合う居場所を見つけることができた人も、共に考えてほしい。私は断言できる。これは由々しき事態だと。発信ツールはTwitter、line、インスタグラム、etc.何でもいい。是こそ唯一にして最大の解決方法である。旧帝大でここまで排他的な大学は九大いがいないだろう。もっともっと新入生を歓迎しつくしてほしいと思って3年目である。

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